石垣島の大自然のなかで生まれるやきもの atelier.TENCHI

石垣島の大自然のなかで生まれるやきもの atelier.TENCHI

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初回投稿日:2025.04.24
 最終更新日:2025.04.09

最終更新日:2025.04.09

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さまざまな絵柄や肌合いのやきものをつくるatelier.TENCHI(アトリエ テンチ)。石垣島(いしがきじま)の市街地から少し離れた自然に囲まれた工房で、あたたかな存在感のあるやきものがひとつひとつ作られています。

atelier.TENCHIの工房

市街地を抜けて、どんどん緑が濃くなっていく道すがら、小高い丘の上でぱっと視界がひらけたと思ったらぽつんと建物が。そこは、やきものが作られるatelier.TENCHI(アトリエ テンチ)の工房。海と山をのぞむその工房で作陶をするのは下地京子さんです。
 
atelier.TENCHIの下地京子さん

地元大阪で高校生だった頃から、沖縄への漠然とした憧れがあったという京子さん。専門学校を卒業し新卒で石垣島のリゾートホテルへの就職を決めたことから石垣島生活がスタートしました。ホテル勤務の後、飲食店や雑貨店で働き、絵を描くことも始め、結婚、出産の後もイラスト作品を販売しながら生活をしていました。

この景色と出会い、「ここで陶芸がしたい」と始めることに

やきものはというと、ずっとやってみたいという憧れは持っていたのだそう。ある日のドライブ中に、今の工房となる海を見下ろす建物を発見、誰かの倉庫と思われる建物だったけれど、その場で「ここで陶芸がしたい!」という衝動にかられ、そのことが頭から離れなくなったのだそう。
 
そこを借りることができるのか、調べようにもなかなか情報が得られないまま、陶工房 天竺の陶芸教室に通い陶芸を始めました。
 
徐々に技術を身につけ、自分の好きなものを作っていくにつれ、「本当にやりたいことってこういうことだったんだ」と目が覚める思いだったのだとか。
 
それから半年ほど、とんとんと事が進みなんとその場所を工房としてつかわせてもらえることになったのだそう。それが2019年の年末のこと。建物や庭を整え、そうして、atelier.TENCHIを2022年にスタートさせました。

さまざまな肌合いのかわいいやきもの

atelier.TENCHIのやきもの

さまざまなフォルム、マットなものやつやのある質感、そしていろいろなデザインがある京子さんのうつわですが、なかでもぷっくりとした立体感のある釉薬の意匠が多いのが特徴。白いお皿に描かれているのは、島の植物、月桃の実。白いマグにはスズメウリが描かれています。石垣島に住んで25年経った今でも常々感じる島の自然の豊かさ。そこに自生する植物などを絵柄のモチーフにすることも多いそう。
 
atelier.TENCHIのうつわ

近頃好きでよく作っているお茶碗は、開いた花びらのような動きのあるもの。きちっと形を決めているのでなく、あえてちょっとずつ違ったものを作っているのだそう。
 
ヘアゴムやブレスレットとして販売しているウデカミカザリ

こちらはヘアゴムやブレスレットとして販売しているウデカミカザリ。
 
粘土は仕入れた土をブレンドして使用し、釉薬は、土そのものの色が活きるように色を配合しているのだそう。自ら考えた手法で釉薬がけをするデザインも多く、陶芸歴が長くなく「知らないからこそできることがあるかも」と話します。
 
atelier.TENCHIの窯

窯にぎゅっとつまったやきもの。窯炊きの前には、かならず窯の前で手を合わせるのだそう。

「この場所に巡り会えたこと」

atelier.TENCHIの工房内

京子さんは、ひとり、やきものと向き合う時間が楽しくて仕方がないといいます。窓の外にはきれいな海と青々とした山の緑が見え、たっぷりの光が差し込み、風の通る工房。すぐそばで息づく動植物の存在を感じながら日々制作をしています。
 
atelier.TENCHIからの眺め

「やきものの道を目指したのが20代前半だったら、今の表現はできていないと思う」と話す京子さん。しかるべきタイミングでスタートできた自分のしごと。自分がいいと思うものを作って、それを選んで日常でつかってくれる人がいる。それほど嬉しいことはないと日々感じているのだそう。
 
TENCHIの名前の由来は、工房のあるこの場所が「天と地がつながるところだな」と、ぱっと出てきたワード。この場所だからこそ生まれるものをこれからも慈しみながら表現していく。
 
atelier.TENCHI
https://www.instagram.com/atelier.tenchi/?hl=ja
 ※工房での販売はおこなっておりません。
 
商品取扱店
石垣島 苔吉、Kayak八重山工房
沖縄本島 樂園百貨店

笹本 真純

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