沖縄の世界遺産を巡る旅〜9つの文化建造物と亜熱帯の豊かな森〜
沖縄の世界遺産を巡る旅〜9つの文化建造物と亜熱帯の豊かな森〜
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初回投稿日:2019.08.25
最終更新日:2024.12.18
最終更新日:2024.12.18
世界遺産は、国連の下部組織であるユネスコが「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)で定義する、未来へ引き継いでいくべき人類共通の宝のことを指します。「文化遺産」「自然遺産」「複合遺産」と3種類あり、沖縄県内では、9つの建造物や城跡が「世界文化遺産」に、2つの区域が「世界自然遺産」に登録されています。
日本の中でも独自に歴史や文化を築いてきた、沖縄(琉球)の世界遺産を巡りましょう。
目次
琉球国最高の聖地「斎場御嶽(せーふぁうたき)」
琉球王国最高の聖地とも言われる「斎場御嶽(せーふぁうたき)」は、沖縄開闢(かいびゃく)の神”アマミキヨ”が創成した七御嶽(ななうたき)のひとつと伝承されています。琉球国最高神女の”聞得大君(きこえおおきみ)”の就任儀式「御新下り(おあらおり)」が行われ、格式の高い霊場として位置付けられています。国家的な祭祀が行われていた斎場御嶽は、首里王府直轄の御嶽として管理されていたため、誰もが出入りできる場所ではありませんでしたが、1879年の琉球処分以降、立入ることが可能となりました。
斎場御嶽
- 住所 /
- 沖縄県南城市知念字久手堅539(※駐車場は「がんじゅう駅・南城」になります。)
- 電話 /
- 098-949-1899(緑の館・セーファ)
- 開館時間 /
- [3月~10月]9:00~18:00 [11月~2月]9:00~17:30
- 休息日 /
- 毎年6日間(旧暦5月1日~3日、旧暦10月1日~3日)
- 料金 /
- 大人300円、小人(小学生~中学生)150円
- Webサイト /
- https://okinawa-nanjo.jp/sefa/
琉球王国の繁栄を見守ってきた「首里城」
約450年続いた琉球王国の政治や文化、外交貿易の中心地となった「首里城」は、中国の宮廷建築と日本の文化が共存する鮮やかなお城です。県内で最大規模を誇る王城で、国王とその家族が居住する王宮であると同時に、王国統治の行政機関”首里王府”の本部でもありました。首里城のシンボルとも言える”正殿”は、日本と中国の建築様式が取り入れられた琉球王国最大の木造建築物です。残念ながら、2019年の火災によって焼失してしまいましたが、2026年の完成に向けた復元工事を見学することができます。
首里城
- 住所 /
- 沖縄県那覇市首里金城町1−2
- 料金 /
- 大人 400円、高校生 300円、小中学生 160円、6歳未満 無料
- 開園時間 /
- 8:00~18:00(入場締切 17:30)
(シーズンで開園時間が変わるため、ホームページでご確認ください)
- Webサイト /
- https://oki-park.jp/shurijo/
首里の国王が道中の安全を祈願した「園比屋武御獄石門(そのひゃんうたきいしもん)」
首里城公園内にある「園比屋武御獄石門(そのひゃんうたきいしもん)」は、国王が城外に出る時に、道中の安全を祈願した拝所”園比屋武御嶽(そのひゃんうたき)”を守るため創築されました。神社でいう拝殿にあたり、木の扉以外は琉球石灰岩で作られています。聖地を巡礼する行事や、最高神女(のろ)である聞得大君(きこえおおきみ)の即位式でも、最初にここを参拝したといわれています。
園比屋武御獄石門
- 住所 /
- 沖縄県那覇市首里真和志1-7 付近 首里城公園内
- 料金 /
- 無料
- 営業時間 /
- 見学自由
王の遺骨が改葬された「玉陵(たまうどぅん)」
1501年、琉球王国の黄金期とよばれる時代をつくりあげた尚真王が父・尚円王(しょうえんおう)の遺骨を改葬するために築いたのが「玉陵」です。板葺(いたぶ)きの宮殿を模した石造建造物で、墓全体は石垣で囲まれた外庭と内庭に区画されています。三つに分かれた墓室の”中室”は洗骨前の遺骸を安置する部屋とされ、”東室”に洗骨後の王と王妃、”西室”には墓前の庭の玉陵碑に記されている限られた家族が葬られたそうです。墓室の前には当時の首里城正殿前の石欄(せきらん)を思わせる鳥獣花などが彫られた石欄が取り付けられています。
玉陵
- 住所 /
- 沖縄県那覇市首里金城町1丁目3
- TEL /
- 098-885-2861
- 料金 /
- 大人 300円、小人 150円
- 営業時間 /
- 9:00~18:00(入場締切 17:30)
中国の使者をもてなした回遊式庭園「識名園(しきなえん)」
琉球王家最大の別邸「識名園」は、池の周りを散策しながら四季の移ろいを楽しむ廻遊式(かいゆうしき)の庭園で、王家の保養や中国からの使者・冊封使をもてなす場所として使われました。江戸時代の大名がよく造ったとされる”心字池”や、中国様式の六角堂にアーチ型の石橋、池の周囲に積まれた琉球石灰岩など、さまざまな国の文化をうまく取り入れた琉球王国独自の設計が見どころです。
識名園
- 住所 /
- 沖縄県那覇市真地421‐7
- TEL /
- 098-855-5936
- 営業時間 /
- [4月~9月] 9:00~18:00(入場締切 17:30) [10月~3月] 9:00~17:30(入場締切 17:00)
- 料金 /
- 大人400円、小人(小学生~中学生)200円
- Webサイト /
- https://www.city.naha.okinawa.jp/kankou/bunkazai/shikinaen.html
築城の名手が築いた「座喜味城跡(ざきみじょうあと)」
座喜味城跡は、旧北山勢力を監視し首里城との連携を深めるため、15世紀の初頭、築城家として名高い護佐丸(ごさまる)によって築かれました。城壁や城門の石積みの精巧さはグスクの中で随一といわれ、当時の石造建築技術の高さを示す貴重な史跡となっています。石垣は、石をかみ合わせて積み上げた「相方(あいかた)積み」と、日本の築城様式にも見られる「布積み」で築かれています。また、アーチ石門には強度を高めるためのクサビが中央に打ち込まれており、他のグスクには見られない護佐丸の築城技術の高さがうかがえます。
座喜味城跡
- 住所 /
- 沖縄県読谷村座喜味708-6
- 料金 /
- 無料
- 営業時間 /
- 見学自由
- Webサイト /
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/173575
自然の地形を活かした難攻不落の城「勝連城跡(かつれんじょうあと)」
15世紀頃、海外貿易により勝連(かつれん)に繁栄をもたらした阿麻和利(あまわり)が居城した、沖縄の世界遺産のなかで最古のグスクです。 優雅な曲線を描く城壁は、自然の地形を巧みに利用しながら築かれており、難攻不落の城ともいわれています。城内には豊作を祈る肝高(きむたか)の御嶽や井戸、火の神を祀った場所も残されています。標高約100mの高台にあるため、頂上の曲輪からは周囲360度を見渡すことができ、沖縄有数の景勝地としても有名です。
勝連城跡
- 住所 /
- 沖縄県うるま市勝連南風原3807−2
- TEL /
- 098-978-2033
- 営業時間 /
- 9:00~18:00(17時30分最終受付)
- 料金 /
- 大人600円、小人(小学生~中学生)400円
- Webサイト /
- https://www.katsuren-jo.jp/
築城当時の原型を最も留めている「中城城跡(なかぐすくじょうあと)」
14世紀から15世紀の間に築かれたと推測される「中城城跡(なかぐすくじょうせき)」は、沖縄に残るグスクの中でも特に保存状態がいいグスクといわれています。北東から南西にほぼ一直線に築かれた城は、先中城按司(さちなかぐずくあじ)によって築かれ、北の郭と三の郭は、座喜味城跡(ざきみじょうあと)から移ってきた護佐丸(ごさまる)によって増築されました。琉球石灰岩で積まれた城壁は、自然の岩石と地形的条件を巧みに生かし、美しい曲線で左右対称に作られています。
中城城
- 住所 /
- 沖縄県中城村泊1258番地
- TEL /
- 098ー935ー5719
- 料金 /
- 大人 400円、中高生 350円、小学生200円
- 営業時間 /
- [3月~10月]8:30~18:00 [10月~4月]8:30~17:00
- Webサイト /
- https://www.nakagusuku-jo.jp/
息をのむ絶景が見どころ「今帰仁城(なきじんじょうあと)」
今帰仁城(なきじんじょう)は、13世紀に建てられたと言われているグスク。沖縄が「琉球王朝」として統一される前の「三山県立の時代」、北部の覇者北山王(ほくざんおう)の居城でした。
堅牢な造りをした城壁は、「野面積み」といわれ、県内でも最も古い造りの一つだと言われています。
今帰仁城跡は、高く積まれた石垣やその立地から、眺望の良さも見どころです。
今帰仁城跡
- 住所 /
- 沖縄県国頭郡今帰仁村字今泊5101番地
- TEL /
- 0980-56-4400
- 営業時間 /
- ・通常期間(1~4、9~12月)
8:00~18:00(最終入場17:30)
・夏期延長期間(5~8月)
8:00~19:00(最終入場18:30)
- 料金 /
- 大人600円、中高生450円、小学生以下 無料
- Webサイト /
- https://www.nakijinjoseki-osi.jp/
希少な動植物が生息する琉球列島の「世界自然遺産」
2021年「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が、日本で5番目の世界自然遺産に登録されました。沖縄本島の登録区域は、名護市以北の国頭村(くにがみそん)、大宜味村(おおぎみそん)、東村のやんばる3村)にまたがる約7,721ヘクタール。1億年前から生き続ける亜熱帯照葉樹林の森には、ヤンバルクイナやリュウキュウヤマガメ、テナガコガネなど、希少な固有種や絶滅危惧種が多く生息し、「奇跡の森」とも呼ばれています。
沖縄県内のもう一つの登録地域、西表島(いりおもてじま)は、島全体の約7割の区域が世界自然遺産に登録されました。国内最大のマングローブ原生林や、国の特別天然記念物イリオモテヤマネコ、リクガメやカンムリワシなど、数多くの希少な動植物が息づく生物多様性上重要な島として認定されています。
いかがでしたでしょうか。中国様式の建造物や石積みの城跡、亜熱帯の森林など、歴史や気候の違いから、日本本土とはまた違った風情の世界遺産を楽しんでもらえると思います。
※それぞれのスポットの情報は取材当時のものです。
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