やんばるの大自然の魅力を伝え、未来へつなぐエコツアーガイド

やんばるの大自然の魅力を伝え、未来へつなぐエコツアーガイド

Reading Material

あそぶ

初回投稿日:2024.08.08
 最終更新日:2024.09.09

最終更新日:2024.09.09

やんばるの大自然の魅力を伝え、未来へつなぐエコツアーガイド クリップする

まるで鏡のように穏やかな水面を眺めているだけで心が安らぐ、慶佐次川(げさしかわ)は、メヒルギやオヒルギ、ヤエヤマヒルギなど天然記念物のマングローブが群生し、2016年には「やんばる国立公園」に指定された。その後、ここに生きる全ての動植物の捕獲が禁止され、豊かな自然が色濃く残り、静かな景観が維持されている。

しまんちゅ旅はじめました

アットホームで質の高いガイドスキルと安心安全に注力したエコツアー

慶佐次川のマングローブ

沖縄本島北部の東村、慶佐次川にある広大なマングローブ群。そのマングローブの中をカヌーで散策し、手の届く距離で見ることができるエコツアーや、やんばるの大自然を自転車で駆け抜けるサイクリングツアーをガイドするのが、エコツアーpukapukaのオーナー、藤元康匡(やすまさ)さんと京子(きょうこ)さん。アットホームで質の高いガイドスキルと、安心安全に注力して、ガイドをしながら慶佐次川(げさしかわ)のマングローブや東村(ひがしそん)の魅力を伝えている。

直感を信じた沖縄移住

気さくで話しやすい人柄の持ち主・康匡さんと京子さんは、いつの間にかお客様からも「やっさん」「京子さん」と呼ばれる親近感抜群のツアーガイドだ。
 
康匡さんと京子さん

ふたりは今から21年前の2003年に大阪から移住した。大阪では会社勤めをしながら、実業団のラグビーで汗を流す毎日。ある時、実業団が解散し、心にぽっかり穴が空いてしまったやっさん。そんな時、思い出すのは沖縄の海。宮古島(みやこじま)へ新婚旅行に行った時に見た綺麗な海を忘れることができず、心の支えとなっていたそう。
 
慶佐次川

「沖縄に住んでみたい。人生一度きり! 今しかない! 行ってみよう!」そんな直感を頼りに夫婦で沖縄へ移住を決めた。

地域に根差し、信頼されるツアーガイドになるまでの道のり

やっさんはリゾートホテルスタッフとして勤務しながら、憧れだった沖縄での生活をスタート。当初は沖縄本島北部の名護市(なごし)で生活し、2年後にはさらに豊かな自然を求めて手付かずな自然が色こく残る東村に引っ越した。

やっさん

元々、海、山、川が大好きだったやっさんは、東村が誇る沖縄本島最大のマングローブに魅了された。特に陽が昇り切らない静かな慶佐次川のマングローブのトンネルにカヌーを止めて深呼吸する時間は何にも変え難い贅沢な時間だ。そんな魅力をたくさんの方にも共有したいと思い、慶佐次川のマングローブで自転車とカヌーのツアーガイドになることを決意した。

東村

沖縄本島の中でも1番人口が少ない地域である東村。移住者が受け入れてもらえるのか心配だったやっさんは、まずは地域の集まりや催事に積極的に参加し、自身のことを知ってもらうことからスタート。笑うと目が細くなる優しい笑顔と、気さくで話しやすい人柄が地域の方々との距離感を縮め、瞬く間に信頼を得ていった。

やっさん

同時にツアーガイドとしてのスキルも深めていく。自然の中で楽しむエコツアーは、人命に関わる危険と常に隣り合わせ。様々なツアーガイドの研修に参加し、人命を預かる責任感を改めて強く感じた。約2年の修行期間を経て利用者の安心安全の確保に注力し、開業に漕ぎ着けた。

スキルを磨き続け、安心安全がベースにあるからこそ楽しめる体験

やっさんはホワイトウォーターと呼ばれる泡立つほどの急流河川で必要とされるスキルを本土で学び、「日本レクリエーショナルカヌー協会」のリバーシニア公認指導資格を取得。また「NPO法人沖縄県カヤックカヌー協会」や東村の認定ガイドとして活躍している。

沖縄マリンレジャーセイフティービューロー

さらに、沖縄県の海や河川で行われるスポーツやレクリエーションでの事故防止のため、安全対策指導や啓蒙活動を行う一般財団法人「沖縄マリンレジャーセイフティービューロー」管轄のOMSB水難救助員認定制度に準じて水難救助員にも認定されている。

やっさんのツアー

そんなやっさんのツアーなので安全性は言わずもがな。でも、リスクばかり気にしていても楽しくない。いつもの自分よりほんの少し積極的に楽しもう。だって、そばには頼れるやっさんがいるんだから。

やんばるの森を駆け抜けるサイクリングツアーも人気

世界自然遺産に登録された「やんばるの森」や、慶佐次川のマングローブの横目に農道を駆け抜ける「サイクリングツアー」では、お客様から要望や体力についてヒアリングし、それぞれに合わせたツアールートを提案してくれるので、体力に自信がない人でも安心だ。

アップダウンのコース

いざスタートしてみるとアップダウンのコースに息が切れる。
 
「あぁ〜きつい。。。」「わぁ〜きれい。。。」
 
ヘルメットに付けたインカムを通して、心の声が聞こえてくる。

サイクリングツアー

お客様の体力・精神力に合わせて辛そうな時はペースを緩め声をかけて励ましたり、まだまだいけると判断すればちょっとハードなコースへ案内することもある。状況に合わせたオーダーメイドの「サイクリングツアー」を瞬時に構成してくれるからこそ、安心して楽しむことができるのだ。

東村の自然

「風景はもちろんですが、風を切る音や鳥などをはじめ様々な生き物の鳴き声も楽しんでほしいですね」と語るやっさん。運が良ければ天然記念物で県鳥でもあるノグチゲラが木をつつく、ドラミングの音も聞こえてくるそう。五感を研ぎ澄まして、東村の自然に囲まれた道を走り抜ける爽快感は格別だろう。

人と人のあたたかな繋がりを増やしたい

「沖縄にいる親戚のおっちゃん達に会いに来たような感じで来てくれる」ことが何よりも励みになるというふたり。スタッフとお客様としてではなく、「人と人のあたたかな繋がりを増やしたい」という丁寧なガイドとアットホームな接客が二人の魅力だ。
 
やっさん

「二人に会いに来たよ!」「やっさん・京子さん!ただいま!」
 
今では多くのリピーターさんに恵まれ、家族ぐるみで8年のお付き合いになるお客様もいる。最初は小さかったお子様もすっかり大きくなり、大人顔負けのアクティビティが出来るように。そんなお子様の成長を一緒に実感させてもらえることはきっと感慨深いはず。地元に住む二人だからこそのローカル情報も惜しみなく教えてくれるので、まだまだ知らない沖縄の新しい発見もあるかもしれない。

自然に寄り添い生活する二人。「何もない」からこそ気づける魅力を知ってほしい


自然を相手にするエコツアーでは海の潮目に合わせて予定を立て、お客様と一緒に自然の中に入っていく。プライベートでも陽が昇ると同時に活動し、日が沈むと同時に自宅に戻る。自然に寄り添う生活をしているふたりの笑顔はすごく輝いて見えた。

カニ

「本当に好きなことを仕事にしているので、ストレスフリーで楽しんでいる」。京子さんはやっさんの魅力について話してくれた。
 
やっさんから感じる京子さんの魅力は「誰とでもすぐ仲良くなれるフレンドリーな人柄」。京子さんはサンダルの形でくっきりと模様のように日焼けした足を私たちに見せて、笑わせてくれた。

日焼け

そんなアットホームで親近感抜群のやっさんと京子さんだからこそ、たくさんのお客様からリピートされるのだろう。楽しい思い出だけでなく、沖縄に親戚家族が増えたようなあたたかい気持ちになれるはず。
 
カヌー

コンビニやガソリンスタンドが無い生活に苦労することも多い。でも「何もない」からこそ気づける自然の豊かさや魅力が東村にはある。その魅力をたくさんの方に知ってほしいと、やっさんと京子さんは願っている。

(株)村上佑写真事務所

関連する体験

同じカテゴリーの記事

しまんちゅ旅はじめました