西表島の自然の中で生み出される素朴で優しい器たち「工房風花」

西表島の自然の中で生み出される素朴で優しい器たち「工房風花」

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初回投稿日:2024.04.05
 最終更新日:2024.04.05

最終更新日:2024.04.05

西表島の自然の中で生み出される素朴で優しい器たち「工房風花」 クリップする

石垣島(いしがきじま)から高速船で約40分、手付かずの大自然が広がる西表島大富(いりおおもてじま おおとみ)の小高い丘の上に小さな窯元「工房風花」があります。

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農業から陶芸の道へ

工房風花

北海道出身の中里ゆき(なかさと ゆき)さんは、20代の頃から農業に興味があり、西表島にもサトウキビ刈りのアルバイトで来たことがありました。20代の後半で身体に不調を感じたことがきっかけで、以前から興味を抱いていた陶芸の道へと進むことを決意し、栃木県益子にある職業訓練校へと通うようになりました。

中里さん

中里さんは2年ほど訓練校で技術を学んだのち、沖縄県読谷(よみたん)村の「北窯」(きたがま)に弟子入りをして本格的に陶芸と向き合う時間を過ごしました。「北窯」で5年半ほどの修業を終え、一度は北海道へと戻ったものの昔のサトウキビ刈り仲間の誘いもあり、導かれるようにして西表島へと渡りました。
 
中里さんは、以前サトウキビ刈りのアルバイトでお世話になった農家さんの土地の一部を譲り受け、2019年に工房を建て「工房風花(かざはな)」として独立をはたしました。

お皿

「この場所は、みんなが手伝ってくれて、一緒につくった場所なんです。大工が本職ではないのに技術がすごいんです。そして助けてくれたそのハートがすごくて。今でも手伝いに行ける時は畑の手伝いに行っています」と話す中里さんの工房には、陶工でありながら、畑仕事の時に被るクバ笠が壁にかかっていたり、窓からは、一面に広がるサトウキビキ畑が見えたりと常に西表島の自然や農業と共にある姿が垣間見えます。
 

使う人に寄り添う優しい器

優しい器

中里さんは、沖縄の粘土を使用し、灯油の窯で器をつくっています。

工房

器をつくる時に大切にしていることは、「使いやすさ」「薄く軽くなりすぎないこと」そして「程よい重さ」だそうです。
 
中里さんのつくる器には気負った部分がなく、見ているとふっと肩の力が抜けるような、素朴で使い手にそっと寄り添ってくれるような、そんな優しさを感じます。

器たち

私が工房を訪れた時、中里さんは窯を焚き終えて、次は何をつくろうかと考えを巡らせているところでした。

道具

現在、中里さんがつくる器は、工房で販売している他は、地元の小さいお店と石垣島の何軒かのお店で販売しています。また本土にある数軒のお店からの注文も受けています。
 
「いろいろなスタイルで仕事をする人がいて、それぞれに合ったやり方があると思います。知っている人の中には、工房に人が来ると作業の時間をとられてしまうから販売は工房では行わないという人もいます。私は、やっぱり工房に来てくれるお客さまの声を直接聞けたり、反応を見られたりするのが好きなので工房で直接器を販売しています」

中里さん

焼きものの仕事は天候によって作業の進み具合が変わるので、いつも天気や季節を意識して感じていると話す中里さん。

「工房の作りも外と境界がない感じなので、風や雨、鳥の声などとても近くに感じられて良いです」(中里さん)

作品
 

地域との繋がりから生まれる心地よい暮らし

中里さんは、器をつくりながら、サトウキビやかぼちゃを栽培する農家さんや、同じ集落内にある共同売店を手伝っています。

工房の道具

「畑仕事はずっと好きだったので、西表島に住んでまた自然に手伝える機会ができてうれしいです。身体を動かすと体調も良いし気分転換にもなるので、ちょうどいいです。共同売店も地域のお店なので、勤めていると顔を覚えてもらえるし、何かと助けてもらうことも多いです。地域とのつながりの一つとしてこれからも勤めたいです。工房、畑、売店と今はとても良いバランスだなと思います」
 
今後の目標を聞いてみました。
 
「すぐには難しいとは思うのですが、そのうちに、西表島、できればこの集落の辺りで粘土を見つけて、小さいもの、少量でも何かつくってみたいと思っています。あとは、これからも変わらずに、自分の中の風通しを良くしながら、使いやすくてごくふつうの、良い器をつくっていきたいです」

工房風花 外観
 

工房風花

住所 /
沖縄県八重山郡竹富町字南風見仲屋敷7-60
TEL /
090-8635-7542
定休日 /
不定休、要事前確認
Webサイト /
https://www.instagram.com/kazahana_touki/

水野 暁子

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