さんしんの音で心をひとつに。「ゆかる日 まさる日 さんしんの日」
さんしんの音で心をひとつに。「ゆかる日 まさる日 さんしんの日」
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歴史文化
初回投稿日:2025.03.01
最終更新日:2025.02.28
最終更新日:2025.02.28
目次
終戦記念日に甲子園で黙祷する姿から着想
沖縄の音楽に欠かせない存在であり、あらゆる芸能、年中行事の母体となっている楽器、さんしん。3月4日は、そのさんしんが主役となる「ゆかる日 まさる日 さんしんの日」。沖縄はもちろん、県外、そして海を越えて世界中に、さんしんの音が鳴り響きます。
「ゆかる日 まさる日 さんしんの日」は、1993年に、沖縄のラジオ・テレビ放送局「琉球放送」が提唱して始まりました。「ゆかる日」は、“佳かる日・佳日”から縁起のいい日・めでたい日の意味、「まさる日」は、“優る日・勝る日”の意味で、「さんしんの日」をよりめでたく、特徴づけるために重ね言葉で名づけられました。3月4日となったのは、「さんしん」の語呂合わせから。今では、沖縄のカレンダーや手帳に掲載されるほど、大切な1日として暮らしの中に浸透しています。
![ファイル背表紙]()
「ゆかる日 まさる日 さんしんの日」(以下「さんしんの日」)の生みの親のひとりは、当時琉球放送のラジオ局長であり、1963年に放送開始した民謡リクエスト番組「民謡で今日拝なびら(みんようで ちゅう うがなびら)」のプロデューサー、パーソナリティとして活躍されていた上原直彦(うえはらなおひこ)さん。きっかけは、8月15日終戦記念日の正午に、甲子園球場で高校生を始め球場全体が黙祷をささげる姿でした。終戦記念日や6月23日慰霊の日の正午には、すべての人々が平和を祈る。それと同じように、さんしんをみんなで一斉に弾くことで、沖縄中をひとつにして、平和を祈る想いが共有できるのではないか。そこで、古典音楽の代表曲で、沖縄の祝いの席には欠かせない「かぎやで風(かじゃでぃふう)」を正午から1時間に1度、正時ごとに演奏(唱)するのはどうか?というアイデアが生まれたのだそうです。
上原さんが主に活動してきた現場「ラジオ」には、時報音という便利で正確なものがあります。ラジオ時報が正時を告げるのと同時に、「かぎやで風」の演奏(唱)が始まる。「さんしんの日」はこうした遊び心と共に、「沖縄の家々の床の間に飾ってあるさんしん、眠っているさんしんを、そして国内外にあるさんしんを、この日だけでも一斉に弾くことができたら……」。そんな壮大なロマンをもってスタートしました。
「ゆかる日 まさる日 さんしんの日」は、1993年に、沖縄のラジオ・テレビ放送局「琉球放送」が提唱して始まりました。「ゆかる日」は、“佳かる日・佳日”から縁起のいい日・めでたい日の意味、「まさる日」は、“優る日・勝る日”の意味で、「さんしんの日」をよりめでたく、特徴づけるために重ね言葉で名づけられました。3月4日となったのは、「さんしん」の語呂合わせから。今では、沖縄のカレンダーや手帳に掲載されるほど、大切な1日として暮らしの中に浸透しています。
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「ゆかる日 まさる日 さんしんの日」(以下「さんしんの日」)の生みの親のひとりは、当時琉球放送のラジオ局長であり、1963年に放送開始した民謡リクエスト番組「民謡で今日拝なびら(みんようで ちゅう うがなびら)」のプロデューサー、パーソナリティとして活躍されていた上原直彦(うえはらなおひこ)さん。きっかけは、8月15日終戦記念日の正午に、甲子園球場で高校生を始め球場全体が黙祷をささげる姿でした。終戦記念日や6月23日慰霊の日の正午には、すべての人々が平和を祈る。それと同じように、さんしんをみんなで一斉に弾くことで、沖縄中をひとつにして、平和を祈る想いが共有できるのではないか。そこで、古典音楽の代表曲で、沖縄の祝いの席には欠かせない「かぎやで風(かじゃでぃふう)」を正午から1時間に1度、正時ごとに演奏(唱)するのはどうか?というアイデアが生まれたのだそうです。
上原さんが主に活動してきた現場「ラジオ」には、時報音という便利で正確なものがあります。ラジオ時報が正時を告げるのと同時に、「かぎやで風」の演奏(唱)が始まる。「さんしんの日」はこうした遊び心と共に、「沖縄の家々の床の間に飾ってあるさんしん、眠っているさんしんを、そして国内外にあるさんしんを、この日だけでも一斉に弾くことができたら……」。そんな壮大なロマンをもってスタートしました。
ラジオの時報音に合わせて「かぎやで風」を演奏
「さんしんの日」当日、琉球放送RBCiラジオでは、公開生放送を通して、午前11時から午後8時までの合計10回、時報音に合わせて「かぎやで風」の演奏(唱)が放送されます。放送時間は、午前10時から午後8時40分まで。なんと10時間40分に渡って、さんしんの音や話題をラジオで聞くことができるのです。放送中は、さんしんの始祖「赤犬子(あかいんこ)」を祀った読谷村楚辺の「赤犬子宮」から演奏を中継したり、ラジオカーで県内各地からレポートを届けたり、県外や海外と中継をつないだり、さまざまな場所でさまざまな人たちが、さんしんを弾き歌い、さんしんにまつわる話を繰り広げます。
![「かぎやで風」の工工四(楽譜)]()
ステージには大きな「かぎやで風」の工工四(楽譜)が飾られる。写真提供:琉球放送
公開生放送のイベント会場に足を運べば、その場でライブを鑑賞できる楽しみも。ステージでは、古典音楽、民謡、琉球舞踊、各界の実演家たちが会派・流派を超えて協力し、その技芸を披露。観客は、さんしんを持参すれば、客席から出演者と一緒に「かぎやで風」を演奏(唱)できるという、貴重な機会も設けられています。
これらの内容は、1993年の第1回「さんしんの日」から毎年続いてきたスタイル。放送の開始・終了時間が少し前後したり、コロナ禍に無観客でイベントが行われたことはあるものの、3月4日に1日まるごとラジオでさんしんの魅力を堪能できることは、これまで32年間ずっと変わっていません。
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ステージには大きな「かぎやで風」の工工四(楽譜)が飾られる。写真提供:琉球放送
公開生放送のイベント会場に足を運べば、その場でライブを鑑賞できる楽しみも。ステージでは、古典音楽、民謡、琉球舞踊、各界の実演家たちが会派・流派を超えて協力し、その技芸を披露。観客は、さんしんを持参すれば、客席から出演者と一緒に「かぎやで風」を演奏(唱)できるという、貴重な機会も設けられています。
これらの内容は、1993年の第1回「さんしんの日」から毎年続いてきたスタイル。放送の開始・終了時間が少し前後したり、コロナ禍に無観客でイベントが行われたことはあるものの、3月4日に1日まるごとラジオでさんしんの魅力を堪能できることは、これまで32年間ずっと変わっていません。
沖縄の人にとって特別な存在「さんしん」
記念すべき第1回のイベント会場は、那覇市の「パレットくもじ市民劇場」。司会は、もちろん「さんしんの日」生みの親である上原直彦さん。ハワイの日本語ラジオ局「KZOO」の番組「かりゆしとともに」と中継も行われました。当時、アシスタントディレクターとして現場を担当し、現在は「さんしんの日」総合ディレクターを務める森根尚美(もりねなおみ)さんは、第1回のことをこう振り返ります。
「初めての『さんしんの日』だったので、イベント会場はもしかしたらお客さんより出演者の人数のほうが多かったかもしれません。私もどんなイベントなのかあまりわからないまま会場に行きましたが、時報ごとに30人以上の人たちが入れ替わり立ち代わり舞台にあがって、しかも沖縄芸能の錚々たる顔ぶれで、ものすごいイベントだなと衝撃を受けたのを覚えています。私は、ステージの横で電話メッセージを受ける担当だったんですけど、驚いたのは、皆さん『さんしんの日、おめでとうございます』とお祝いの言葉をくださること。沖縄の人たちにとって、さんしんはそれだけ特別なものなんだなと感じました。中でも、忘れられないのは、あるおばあちゃんが泣きながら電話口で『私たちの時代は、さんしんは男性の楽器とされていて、女性がさんしんを弾くなんて……と言われていたのよ。こうやってさんしんをみんなに広めるイベントをしてくれてありがとう』と。今の気持ちを琉歌にしたと言って詠み上げてくださって、私はそれを必死で書きとめ、放送内で紹介してもらいました。33年前、第1回のこのおばあちゃんの言葉があったから、私はずっと今まで、この仕事を続けていられるのかなと思います」
![「赤犬子宮」広場での演奏会の様子]()
第1回に行われた「赤犬子宮」広場での演奏会の様子。写真提供:琉球放送
![読谷村立古堅小学校、読谷小学校のさんしんクラブの合同演奏の様子]()
第1回「赤犬子宮」広場にて。読谷村立古堅小学校、読谷小学校のさんしんクラブの合同演奏の様子。写真提供:琉球放送
第2回から第4回は、那覇市の「沖縄県立郷土劇場」、第5回から9回は「沖縄コンベンションセンター」、第10回からは「読谷村文化センター鳳ホール」で開催。第2回以降は、その反響の大きさを物語るかのごとく、会場に観客が押し寄せ、行列ができるほどに。途中退席する人は少なく、会場に入りたい行列の人は増える一方。そこで、より多くの人に観ていただきたいと、後に3部構成の観客入れ替え制となりました。「さんしんの日」への期待が大いに伝わるエピソードです。
第1回目のポスターを良く見ると、「さんしん」が「三弦」という漢字で表記されています。実は、さんしんは、「三弦」、「三線」、「三味線」という漢字で表記されたり、「しゃみせん」「じゃみせん」と呼んだり、さまざまな表現があります。このことが課題にのぼり、第2回目以降は、誰もが共通して呼べるひらがなで「さんしん」と表記することになったのだそう。その効果か、本イベントが広く知られるにつれ、当初バラバラだったその表現も、一般的に「さんしん」という呼称で定着し出したという説があるのだとか。
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「さんしんの日」は、回を重ねるごとに、県内各所はもちろん、県外、海外へも大きな広がりを見せてきました。これまで特別放送で電話をつないだ場所は、福岡、長野、大阪、神戸、愛媛、香川、熊本、千葉、京都、名古屋、神奈川、東京、札幌、ハワイ、オハイオ、シカゴ、ブラジル、ボリビア、ロサンゼルス、南アフリカ、インド、イギリス、スイス、ペルー、フランス、北京、タイ、上海、台湾、ドミニカ共和国など。正時に現地で演奏(唱)される「かぎやで風」を中継したり、各地で独自に開催される「さんしんの日」の取り組みを紹介するなど、さんしんを縁に生まれた、たくさんの人とのつながりを伝えてきました。
![「かぎやで風」の工工四(楽譜)]()
写真提供:琉球放送
「初めての『さんしんの日』だったので、イベント会場はもしかしたらお客さんより出演者の人数のほうが多かったかもしれません。私もどんなイベントなのかあまりわからないまま会場に行きましたが、時報ごとに30人以上の人たちが入れ替わり立ち代わり舞台にあがって、しかも沖縄芸能の錚々たる顔ぶれで、ものすごいイベントだなと衝撃を受けたのを覚えています。私は、ステージの横で電話メッセージを受ける担当だったんですけど、驚いたのは、皆さん『さんしんの日、おめでとうございます』とお祝いの言葉をくださること。沖縄の人たちにとって、さんしんはそれだけ特別なものなんだなと感じました。中でも、忘れられないのは、あるおばあちゃんが泣きながら電話口で『私たちの時代は、さんしんは男性の楽器とされていて、女性がさんしんを弾くなんて……と言われていたのよ。こうやってさんしんをみんなに広めるイベントをしてくれてありがとう』と。今の気持ちを琉歌にしたと言って詠み上げてくださって、私はそれを必死で書きとめ、放送内で紹介してもらいました。33年前、第1回のこのおばあちゃんの言葉があったから、私はずっと今まで、この仕事を続けていられるのかなと思います」
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第1回に行われた「赤犬子宮」広場での演奏会の様子。写真提供:琉球放送
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第1回「赤犬子宮」広場にて。読谷村立古堅小学校、読谷小学校のさんしんクラブの合同演奏の様子。写真提供:琉球放送
第2回から第4回は、那覇市の「沖縄県立郷土劇場」、第5回から9回は「沖縄コンベンションセンター」、第10回からは「読谷村文化センター鳳ホール」で開催。第2回以降は、その反響の大きさを物語るかのごとく、会場に観客が押し寄せ、行列ができるほどに。途中退席する人は少なく、会場に入りたい行列の人は増える一方。そこで、より多くの人に観ていただきたいと、後に3部構成の観客入れ替え制となりました。「さんしんの日」への期待が大いに伝わるエピソードです。
第1回目のポスターを良く見ると、「さんしん」が「三弦」という漢字で表記されています。実は、さんしんは、「三弦」、「三線」、「三味線」という漢字で表記されたり、「しゃみせん」「じゃみせん」と呼んだり、さまざまな表現があります。このことが課題にのぼり、第2回目以降は、誰もが共通して呼べるひらがなで「さんしん」と表記することになったのだそう。その効果か、本イベントが広く知られるにつれ、当初バラバラだったその表現も、一般的に「さんしん」という呼称で定着し出したという説があるのだとか。
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「さんしんの日」は、回を重ねるごとに、県内各所はもちろん、県外、海外へも大きな広がりを見せてきました。これまで特別放送で電話をつないだ場所は、福岡、長野、大阪、神戸、愛媛、香川、熊本、千葉、京都、名古屋、神奈川、東京、札幌、ハワイ、オハイオ、シカゴ、ブラジル、ボリビア、ロサンゼルス、南アフリカ、インド、イギリス、スイス、ペルー、フランス、北京、タイ、上海、台湾、ドミニカ共和国など。正時に現地で演奏(唱)される「かぎやで風」を中継したり、各地で独自に開催される「さんしんの日」の取り組みを紹介するなど、さんしんを縁に生まれた、たくさんの人とのつながりを伝えてきました。
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写真提供:琉球放送
ラジオ番組「民謡で今日拝なびら」との深い関わり
「『さんしんの日』は、ラジオ番組『民謡で今日拝なびら』が母体となって生まれたイベント。番組のちからが大きいと思います」と語るのは、フリーラジオパーソナリティの島袋千恵美(しまぶくろちえみ)さん。2014年より「民謡で今日拝なびら」にて、メインパーソナリティ上原直彦さんのアシスタントをスタート。現在はレギュラーパーソナリティに。「さんしんの日」では、2004年よりイベント会場の司会を務めています。
![第23回のイベント会場の様子]()
第23回のイベント会場の様子。司会の上原直彦さん(左)、島袋千恵美さん(中)、狩俣倫太郎さん(右)。写真提供:琉球放送
「『民謡で今日拝なびら』では、直彦さんがうちなーぐち(沖縄の言葉)でお話をされて、リスナーの方がハガキで寄せてくださった民謡のリクエスト曲をご紹介するんですが、この番組に参加した当初、私はまったくうちなーぐちが話せなかったし、民謡も深くは知りませんでした。ただ、その前に『シャキッとi』というラジオ番組内で、80歳以上の方々にインタビューする『ご長寿アイランド』というコーナーを10年以上担当していて、550人にお話を聞く機会があったんですね。そこでは歌い出す方もいらして、うちなーんちゅの喜怒哀楽に寄り添うのは三線音楽だと知りました。その経験が土台となり、『民謡で今日拝なびら』で直彦さんとご一緒させていただいてからは、たくさんのことを学ばせて頂きました。島うたの中には宝がいっぱい詰まっていて、その時代の暮らしぶりや人々の思い、歴史や背景が見える。沖縄の言葉、音楽、文化、歴史は本当に奥深く、世界に誇れるものがあると痛感しました」
![「民謡で今日拝なびら」生放送の様子。]()
「民謡で今日拝なびら」生放送の様子。木曜日担当のパーソナリティ島袋千恵美さん(左)と前川守賢さん(右)
「さんしんの日」総合ディレクターの森根尚美さんは、「民謡で今日拝なびら」の制作ディレクターも務めています。
「沖縄では、時代の移り変わりとともに新しい歌が生まれて、この時代にこういうことがあったんだと歌で学ぶことができます。なので、長年制作に携わってきて思うのは、この番組はまるごと沖縄、沖縄そのものだということ。そして『さんしんの日』は、直彦さんがこれまで民謡界の方たちと育んできた絆があって成り立っているイベントだと感じます。直彦さんは、たくさんの民謡の作詞をされていますが、そのつながりから、うた者の皆さんが直彦さんに信頼を寄せて、だからこそ難しい要望にも応えていただき、長年ご協力いただけているのだと感じます」
![「さんしんの日」の司会を務めてきた島袋千恵美さん]()
これまで20回、「さんしんの日」の司会を務めてきた島袋千恵美さん。特に印象深いエピソードを尋ねてみると……。
「個人的なエピソードで言えば、ずばり陣痛の日です(笑)。出産間近だったので、その年は司会をお休みしていたんですけど、ラジオから流れる『さんしんの日』を聞いていたら、いてもたってもいられなくなってイベント会場に行っちゃった。どうしても会場で皆さんと三線文化を共有したかったんですよね。そしたら陣痛が始まって、会場から病院へ行くことになって。後から『からだが大事なときに会場に来るなんて』と直彦さんに叱られました(笑)。司会としては、毎回リスナーの皆さんが本当に素敵なメッセージをくださるのが胸に残っています。それこそBEGINの歌みたいに『おじいの形見のさんしんを持って来ました』とか、『さんしんの日に入籍してから2人で会場に来ました』とか。「沖縄県三線製作事業共同組合」の方が調べてくださったんですけど、沖縄でのさんしん保有率は、一世帯あたり0.79丁、およそ一家に一丁。これは、車社会といわれる沖縄県内での自家用車保有率の割合とほぼ同じ、というデータがあるそうです。さんしん一丁、歌1曲、それぞれにいろいろな方のドラマがあっていつも感動します。今年もどんなドラマに出会えるか楽しみ。皆さんからのメッセージをお待ちしています」
![第32回で司会を務めた嘉 大雅さん(左)と島袋千恵美さん(右)]()
第32回で司会を務めた嘉 大雅さん(左)と島袋千恵美さん(右)。写真提供:琉球放送
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第23回のイベント会場の様子。司会の上原直彦さん(左)、島袋千恵美さん(中)、狩俣倫太郎さん(右)。写真提供:琉球放送
「『民謡で今日拝なびら』では、直彦さんがうちなーぐち(沖縄の言葉)でお話をされて、リスナーの方がハガキで寄せてくださった民謡のリクエスト曲をご紹介するんですが、この番組に参加した当初、私はまったくうちなーぐちが話せなかったし、民謡も深くは知りませんでした。ただ、その前に『シャキッとi』というラジオ番組内で、80歳以上の方々にインタビューする『ご長寿アイランド』というコーナーを10年以上担当していて、550人にお話を聞く機会があったんですね。そこでは歌い出す方もいらして、うちなーんちゅの喜怒哀楽に寄り添うのは三線音楽だと知りました。その経験が土台となり、『民謡で今日拝なびら』で直彦さんとご一緒させていただいてからは、たくさんのことを学ばせて頂きました。島うたの中には宝がいっぱい詰まっていて、その時代の暮らしぶりや人々の思い、歴史や背景が見える。沖縄の言葉、音楽、文化、歴史は本当に奥深く、世界に誇れるものがあると痛感しました」
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「民謡で今日拝なびら」生放送の様子。木曜日担当のパーソナリティ島袋千恵美さん(左)と前川守賢さん(右)
「さんしんの日」総合ディレクターの森根尚美さんは、「民謡で今日拝なびら」の制作ディレクターも務めています。
「沖縄では、時代の移り変わりとともに新しい歌が生まれて、この時代にこういうことがあったんだと歌で学ぶことができます。なので、長年制作に携わってきて思うのは、この番組はまるごと沖縄、沖縄そのものだということ。そして『さんしんの日』は、直彦さんがこれまで民謡界の方たちと育んできた絆があって成り立っているイベントだと感じます。直彦さんは、たくさんの民謡の作詞をされていますが、そのつながりから、うた者の皆さんが直彦さんに信頼を寄せて、だからこそ難しい要望にも応えていただき、長年ご協力いただけているのだと感じます」
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これまで20回、「さんしんの日」の司会を務めてきた島袋千恵美さん。特に印象深いエピソードを尋ねてみると……。
「個人的なエピソードで言えば、ずばり陣痛の日です(笑)。出産間近だったので、その年は司会をお休みしていたんですけど、ラジオから流れる『さんしんの日』を聞いていたら、いてもたってもいられなくなってイベント会場に行っちゃった。どうしても会場で皆さんと三線文化を共有したかったんですよね。そしたら陣痛が始まって、会場から病院へ行くことになって。後から『からだが大事なときに会場に来るなんて』と直彦さんに叱られました(笑)。司会としては、毎回リスナーの皆さんが本当に素敵なメッセージをくださるのが胸に残っています。それこそBEGINの歌みたいに『おじいの形見のさんしんを持って来ました』とか、『さんしんの日に入籍してから2人で会場に来ました』とか。「沖縄県三線製作事業共同組合」の方が調べてくださったんですけど、沖縄でのさんしん保有率は、一世帯あたり0.79丁、およそ一家に一丁。これは、車社会といわれる沖縄県内での自家用車保有率の割合とほぼ同じ、というデータがあるそうです。さんしん一丁、歌1曲、それぞれにいろいろな方のドラマがあっていつも感動します。今年もどんなドラマに出会えるか楽しみ。皆さんからのメッセージをお待ちしています」
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第32回で司会を務めた嘉 大雅さん(左)と島袋千恵美さん(右)。写真提供:琉球放送
さんしんを通して世界へ「平和」を発信
2025年3月4日、第33回「さんしんの日」の漢字一文字のコンセプトテーマは「和」。ホームページには、「今年は戦後80年の節目。日々の暮らしに『さんしん』音楽が傍らにあるのは『平和』なればこそ。『さんしん』1丁で世代も流派も超えて『和合』する。今年も沖縄から世界へ『かぎやで風』を響かせてまいりましょう」(一部抜粋)とあります。
![イベント会場では観客席から出演者と一緒に「かぎやで風」を演奏]()
イベント会場では観客席から出演者と一緒に「かぎやで風」を演奏できる。写真提供:琉球放送
今年のラジオ生放送は午前10時からスタート。午後5時47分から午後8時40分までは、国立劇場おきなわ小劇場より公開ライブの生放送(有料)が行われます。司会は、島袋千恵美さん、そしてRBCアナウンサーの嘉 大雅(よしみたいが)さん。会場では、若手からベテランまで琉球古典音楽、琉球舞踊、民謡の実演家が出演、特別コーナーではRBCアナウンサー仲村美涼(なかむらみすず)さんによる平和朗読も行われます。
最後に改めて、森根尚美さんと島袋千恵美さんに「さんしんの日」への思いを聞きました。
![第1回のポスターと第33回のポスターを手に、森根尚美さん(左)と島袋千恵美さん(右)]()
第1回のポスターと第33回のポスターを手に、森根尚美さん(左)と島袋千恵美さん(右)
「沖縄文化の象徴であるさんしんを大事にする、そのさんしんを通して平和を発信していくということは、ラジオ放送局としての要、軸だと思います。『さんしんの日』を聞いてくれた子供たちが、少しでも『さんしんっていいね、沖縄音楽って楽しいね』と思って大きくなってくれたら、きっとこの『さんしん文化』がなくなることはないと思っています。そういう未来につながってくれたら嬉しいですね」(森根尚美さん)
「戦争でうちひしがれた心を癒やしてきたのは、さんしん。喜びも悲しみも共にある楽器だと思います。以前、世界各地に住むうちなーんちゅに『あなたが、うちなーんちゅだと思うときは?』というアンケートを実施したら、1位が『三線の音を聴いたとき』だったそうです。皆さん、沖縄のルーツを誇りに思っていて、音を聞くだけでうちなーんちゅだと思える楽器があるって、素晴らしいですよね。さんしんは、うちなーんちゅの魂。さんしんの文化には、人の心の明るさ、たくましさ、肝心(ちむぐくる)があります。近年、上原直彦さんが体調を崩されて、『民謡で今日拝なびら』、『さんしんの日』も勇退されてから、大黒柱を失ってしまったような不安な時期を過ごしましたが、スタッフや出演者の方々、リスナーの皆さんに支えて頂いて、司会を務めることができています。私にとって『さんしんの日』は、仕事の域を超えた大事な日。今年も心をひとつに、みんなで一丸となって『さんしんの日』をお届けしたいと思います。ぜひ、ラジオや会場で、世界に誇る沖縄のさんしん文化を体感してください」(島袋千恵美さん)
(データ)
第33回「ゆかる日 まさる日 さんしんの日」
2025年3月4日(火)開催
<ラジオ生放送>
10:00~17:30
RBCiラジオ各生ワイド番組
「ミュージックシャワーplus+」、「具志堅ストアー」、「民謡で今日拝なびら」にて生放送
<公開生放送(有料)>
17:47~20:40
国立劇場おきなわ 小劇場
前売り:3,000円(税込)、当日:3,500円(税込)全席自由席
※チケット販売場所:国立劇場おきなわ、RBC Live STORE
オンライン配信の視聴チケット:1,100円(税込)
※チケット販売場所:RBC Live STORE
【さんしんの日オフィシャルサイト】
https://www.rbc.co.jp/34day/
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イベント会場では観客席から出演者と一緒に「かぎやで風」を演奏できる。写真提供:琉球放送
今年のラジオ生放送は午前10時からスタート。午後5時47分から午後8時40分までは、国立劇場おきなわ小劇場より公開ライブの生放送(有料)が行われます。司会は、島袋千恵美さん、そしてRBCアナウンサーの嘉 大雅(よしみたいが)さん。会場では、若手からベテランまで琉球古典音楽、琉球舞踊、民謡の実演家が出演、特別コーナーではRBCアナウンサー仲村美涼(なかむらみすず)さんによる平和朗読も行われます。
最後に改めて、森根尚美さんと島袋千恵美さんに「さんしんの日」への思いを聞きました。
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第1回のポスターと第33回のポスターを手に、森根尚美さん(左)と島袋千恵美さん(右)
「沖縄文化の象徴であるさんしんを大事にする、そのさんしんを通して平和を発信していくということは、ラジオ放送局としての要、軸だと思います。『さんしんの日』を聞いてくれた子供たちが、少しでも『さんしんっていいね、沖縄音楽って楽しいね』と思って大きくなってくれたら、きっとこの『さんしん文化』がなくなることはないと思っています。そういう未来につながってくれたら嬉しいですね」(森根尚美さん)
「戦争でうちひしがれた心を癒やしてきたのは、さんしん。喜びも悲しみも共にある楽器だと思います。以前、世界各地に住むうちなーんちゅに『あなたが、うちなーんちゅだと思うときは?』というアンケートを実施したら、1位が『三線の音を聴いたとき』だったそうです。皆さん、沖縄のルーツを誇りに思っていて、音を聞くだけでうちなーんちゅだと思える楽器があるって、素晴らしいですよね。さんしんは、うちなーんちゅの魂。さんしんの文化には、人の心の明るさ、たくましさ、肝心(ちむぐくる)があります。近年、上原直彦さんが体調を崩されて、『民謡で今日拝なびら』、『さんしんの日』も勇退されてから、大黒柱を失ってしまったような不安な時期を過ごしましたが、スタッフや出演者の方々、リスナーの皆さんに支えて頂いて、司会を務めることができています。私にとって『さんしんの日』は、仕事の域を超えた大事な日。今年も心をひとつに、みんなで一丸となって『さんしんの日』をお届けしたいと思います。ぜひ、ラジオや会場で、世界に誇る沖縄のさんしん文化を体感してください」(島袋千恵美さん)
(データ)
第33回「ゆかる日 まさる日 さんしんの日」
2025年3月4日(火)開催
<ラジオ生放送>
10:00~17:30
RBCiラジオ各生ワイド番組
「ミュージックシャワーplus+」、「具志堅ストアー」、「民謡で今日拝なびら」にて生放送
<公開生放送(有料)>
17:47~20:40
国立劇場おきなわ 小劇場
前売り:3,000円(税込)、当日:3,500円(税込)全席自由席
※チケット販売場所:国立劇場おきなわ、RBC Live STORE
オンライン配信の視聴チケット:1,100円(税込)
※チケット販売場所:RBC Live STORE
【さんしんの日オフィシャルサイト】
https://www.rbc.co.jp/34day/
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