沖縄の工芸を暮らしに《tituti OKINAWAN CRAFT》

沖縄の工芸を暮らしに《tituti OKINAWAN CRAFT》

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初回投稿日:2024.08.11
 最終更新日:2024.08.29

最終更新日:2024.08.29

沖縄の工芸を暮らしに《tituti OKINAWAN CRAFT》 クリップする

那覇市にある壺屋やちむん通り入口のすぐ近くにお店を構える「tituti OKINAWAN CRAFT(ティトゥティ オキナワンクラフト、以降 tituti)」は、陶芸・織物・紅型の3名の作家とコーディネーターが運営するクラフトショップです。

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伝統を繋いでいくための、新しい工芸の形

金城雅子さん

「tituti(ティトゥティ)のブランドが立ちあがった2007年頃、異分野の作家の作品が集まる場所ってほとんどなかったんです」

そう話すのは、titutiでコーディネーターを務める金城雅子さん。
沖縄では当時、工芸には伝統とつくことが多く、紅型や織物などを高校や大学で学び“伝統工芸”として制作している人たちがほとんど。そして紅型組合や織物組合など、それぞれ同業種で集まって販売ルートを作っていくというのが一般的な流れでした。そして伝統工芸品は然るべき場所に並んでいて、日常の暮らしの中ではあまり馴染みがないものだったそうです。

tituti 店内

そんな中、新しい沖縄の工芸の形を模索しようと活動し始めたのが、異分野の工芸作家で構成される「沖縄新工芸研究会」でした。集まったのは伝統的な技術を大切にしながらも、自分の作品として暮らしの中に落とし込める作品を作っていた作家たち。

「自分たちは何を作っていけばいいのか、どうすれば伝統を繋いでいけるのか、文化を繋いでいけるのかを模索していく会でした」

tituti 店内

titutiの前身でもあり、新しい視点を持った沖縄新工芸研究会は「暮らしの中に工芸を入れていくことでより広く知ってもらい、流通させていくことができるのでは」と、織物・紅型・ガラス・木工・陶芸・竹細工・漆芸など異分野の作家が集まり活動をしていました。

物産展

展示会や物産展に一緒に出展したり、異分野の作家同士でコラボレーションの作品を作ったり。活動を通してお客さんの反応を直接感じることができるのも活動の中での収穫だったそうです。そしてお客さんからの「どこで買えますか」という言葉に応えるかたちで、2010年にtitutiとして実店舗が生まれました。

伝え、受けとり、表現する場所

tituti 外観

tituti(ティトゥティ)とは、沖縄のことばで「手と手」という意味。
「つくり手」である作家から「つかい手」となるお客さまを繋ぐブランドでありたい、という思いから名付けられました。

お店を運営しているのは陶芸作家の金城有美子さん、織物作家の長池朋子さん、紅型作家の田中紀子さん、そしてコーディネーターを務める金城雅子さんと店舗スタッフの皆さん。作品をつくる作家本人も月に数日ずつお店に立つという少し珍しいスタイルなのは、沖縄新工芸研究会での経験があったからこそ。

tituti 内観

「直接販売ができる場所があるということは、作家にとって大きなことなんです」

もの作りを生業にする作家は、作品をお店に卸したら販売はお任せするのが一般的。けれどtitutiのメンバーは、実際に使うひとの顔が見たい、どんな人が手に取ってどんな風に使うのか、何を手に取ってどこに興味を持つのか、直接肌で感じたいと言うのだそう。

商品

そして、どんな作品を並べるか、どう並べるか、何と組み合わせ、どうやって提案するか、その全てをお店任せではなく、自分で感じたとおりに創意工夫を重ねているのだそうです。

だからtitutiは、作家からお客さんへ作品に込めた想いやストーリーを伝える場所であり、作家自身がお客さんから刺激を受けとって表現に繋げていく場所でもあるのです。
 

異分野だから生まれる新しいかたち

tituti 店内

「この色でこういう形があるといいよね」とか「こういう取手が使いやすそう」など。titutiでは、そんな作家同士のアイデアの出し合いやアドバイスなどの会話が交わされることも日々交わされている。

それぞれが違う素材を扱っているので、ほかの分野については細かくは知らないけれど、全てを知らないからこそ純粋にユーザー側の視点で「こういう物がほしい」と気軽に言える関係性があるのだそう。

作品づくり

作家がひとりで作品づくりをしていると、自身が持っている知識や経験から「これは出来ない」と自分でストップをかけてしまうことがあるのだそう。例えば、織物の幅はある一定以上は大きくできないとか、この順番では染められないとか。制作をする上で制限はあるけれど、皆んなで会話をする中で「なんとか努力してみよう」とか「こうしたら出来るかもしれない」と、工夫が生まれたりするそうです。

商品

「作家自身が、新しいことにどんどん挑戦していこうという気質の人たちなんです」と、金城さんは誇らしげに話してくれました。そうして生まれた作品もtitutiには並んでいるのです。

伝統を繋いでいくということ

伝統工芸

沖縄県には国指定の伝統工芸品が16品目あり、この数は東京都・京都府に次ぐ多さ。伝統工芸品は、その品質を保証するために技法や原材料が細かく定められ、古くから伝わる技術が変わらずに大切に受け継がれています。

このように“伝統工芸”という枠の中で同じ技術を繋いでいくのはもちろん大事なことですが、金城さんたちが考えるのは工芸を暮らしの中に落とし込んでいくこと。

商品

「身近にあったり暮らしの中にあることで、もっと伝統を繋いでいけると思うんです」

長い歴史の中で見ると、きっとどこかのタイミングで挑戦者がいて、自分なりの工夫や感覚・視点で新しい技術を生みだしたり、少しずつ変わっていくことによって保たれていくものもあるはず。

商品

「このお店の味、ずっと変わらずおいしいよね」と皆が思う味も、実はその時代時代のひとの味の好みに合わせて少しずつ変革して味を守っているという話を聞いたりもする。「たぶんそれって工芸でも言えるなって」。

変わらずに“伝統工芸”として継承していくことも、少しずつ変わりながら身近な暮らしの中で育んでいくことも、沖縄の工芸を繋いでいくための在り方だと考えています。
 

暮らしの中の沖縄の工芸

商品

titutiの店内には3名の作家の作品と、コーディネーターである金城さんが純粋に「いいな」と感じた作品たちが「暮らしの中の沖縄の工芸」をテーマに心地よく並んでいます。気持ちまでも明るくしてくれるサンゴブルーの器、おおらかで日常使いにぴったりな紅型のバック、鮮やかに彩られ余白までもうつくしい紅型。

商品

そのカラフルな色合いは、沖縄の光の強さに映える色。沖縄で作られるからこそ出てくる自然な色です。それでいて、物だけが浮いてしまうということはなく、暮らしに馴染むバランスのよさがあります。

絵画

「ひとりのアーティストとして工芸という分野で表現者をしているんだなって、最近すごくそれを思います」

titutiに並ぶ作品から感じるのは、自由さとものづくりに対する芯の強さ。伝統工芸というところだけに拘らず、自分が表現したいもののためにものづくりに一生懸命邁進していく。

「こういう人達が、繋いで、次の世代を作っていくんじゃないかなって思います」

店内

titutiがあるのは観光でも人気が高い、牧志公設市場や壺屋やちむん通り近くの沖縄の文化や伝統が交わる街の中。お気に入りのひと品を見つけたら、いつもの暮らしに取り入れてみませんか。
 

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tituti OKINAWAN CRAFT(ティトゥティ オキナワン クラフト)

住所 /
沖縄県那覇市牧志3-6-37
TEL /
098‐862‐8184
営業時間 /
9:30〜17:30
定休日 /
火曜
Webサイト /
http://www.tituti.net/

上村 明菜

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