染色工房「カタチキ」、沖縄の紅型や型染めを現代の暮らしの中に。
染色工房「カタチキ」、沖縄の紅型や型染めを現代の暮らしの中に。
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歴史文化
初回投稿日:2024.11.21
最終更新日:2024.11.21
最終更新日:2024.11.21
2024年の秋に那覇市首里(しゅり)の町から南城市(なんじょうし)の静かな住宅地へと工房を移し、新たな心持ちで作品づくりに向き合っている染色工房「カタチキ」を紹介します。
始まりは琉球舞踊
伝統的な紅型や型染め、また独自に編み出した染色を行っている沖縄県首里出身の染色家、崎枝由美子(さきえだ ゆみこ)さんは、3歳から大学進学まで琉球舞踊を習っていました。その経験の中で、紅型や絣を着る機会があり、踊りではなく衣装設計に興味を持つようになり、沖縄県立芸術大学へと進学し、美術工芸学部染色コースを専攻しました。
![カタチキ 染色家 崎枝さん]()
![カタチキ 工房での様子]()
「当時は、まさか独立して今のような活動をするとは思ってもいませんでした」と語る由美子さんは、大学卒業後、呉服関係の職場に就職し、4年間営業などに携わった後、紅型作家 故 藤村玲子氏の工房に弟子入りし、付き人として藤村氏が他界されるまでの約1年間、紅型の伝統技法や沖縄の伝統文化を学び吸収しました。
![カタチキ 染色している様子]()
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「当時は、まさか独立して今のような活動をするとは思ってもいませんでした」と語る由美子さんは、大学卒業後、呉服関係の職場に就職し、4年間営業などに携わった後、紅型作家 故 藤村玲子氏の工房に弟子入りし、付き人として藤村氏が他界されるまでの約1年間、紅型の伝統技法や沖縄の伝統文化を学び吸収しました。
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姉妹で「カタチキ」を立ち上げる
2011年の3月11日に起こった東日本大震災をきっかけに、東京で仕事をしていた妹の裕子さんが沖縄に帰島し、姉妹で「カタチキ」を立ち上げました(「カタチキ」は紅型(びんがた)の昔の呼称で、型を付けるという意味でカタチキと呼ばれていたそうです)。大学で服飾を専攻していた裕子さんは、東京でファッション雑誌の現場仕事などをしていました。
「全く仕事の畑が違っていた妹でしたが、『カタチキ』を一緒に立ち上げ、10年間一緒に活動しました。染色に関しては、私が全て担当していました。妹は、どちらかというとプロデューサー的な存在でした。雑誌のインタビューの対応や、パンフレットの作成、小物類の縫製なども彼女が担当していました。妹は、2年ほど前に『カタチキ』を退職して、今は私1人で活動しています」
![カタチキ 型紙を染めている様子]()
現代の暮らしの中から見える風景だったり自然だったりをモチーフにすることが多いと話す由美子さんのテーマは、「現代に寄せたものづくり」です。藤村先生について紅型を習っていた時は、和服用の反ものの着尺を先生の型紙を使って染めていました。「カタチキ」では、今を生きる人に寄り添い、洋装に合うものづくりをしています。
![カタチキ 染色の際に使う道具]()
植物のブーゲンビリアやサガリバナの他にも、沖縄建築の一部であるコンクリートブロックに空洞をつくって柄をデザインした「花ブロック」をモチーフにしたデザインのスカーフなども独自の製法で染めています。
![カタチキ 花ブロック]()
「全く仕事の畑が違っていた妹でしたが、『カタチキ』を一緒に立ち上げ、10年間一緒に活動しました。染色に関しては、私が全て担当していました。妹は、どちらかというとプロデューサー的な存在でした。雑誌のインタビューの対応や、パンフレットの作成、小物類の縫製なども彼女が担当していました。妹は、2年ほど前に『カタチキ』を退職して、今は私1人で活動しています」
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現代の暮らしの中から見える風景だったり自然だったりをモチーフにすることが多いと話す由美子さんのテーマは、「現代に寄せたものづくり」です。藤村先生について紅型を習っていた時は、和服用の反ものの着尺を先生の型紙を使って染めていました。「カタチキ」では、今を生きる人に寄り添い、洋装に合うものづくりをしています。
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植物のブーゲンビリアやサガリバナの他にも、沖縄建築の一部であるコンクリートブロックに空洞をつくって柄をデザインした「花ブロック」をモチーフにしたデザインのスカーフなども独自の製法で染めています。
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商品づくりから作品づくりへ
コロナ禍は、由美子さんにとって、自分の仕事を見直すきっかけとなり、作品と向き合う時間だったと話します。
「コロナ禍以降、紅型のデザインと自分の技法を掛け合わせての表現を模索しています。まだ定着はしていないのですが、少しずつ手ごたえも感じています。このような作品づくりに向き合えるようになったのも、小物類や立体ものの商品をたくさんつくって、量をこなせるようになっていたからだと思います。つくれるものがたくさんあると表現の幅も広がります」
![カタチキ 作品を仕上げる様子]()
「コロナ禍以降、紅型のデザインと自分の技法を掛け合わせての表現を模索しています。まだ定着はしていないのですが、少しずつ手ごたえも感じています。このような作品づくりに向き合えるようになったのも、小物類や立体ものの商品をたくさんつくって、量をこなせるようになっていたからだと思います。つくれるものがたくさんあると表現の幅も広がります」
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染め続けるということ
由美子さんのつくりだす作品からは、新しいものと古いものが合わさった時に生まれる化学反応のようなおもしろさが垣間見え、想像力を呼び起こします。
「沖縄出身だということを強く意識してはいないけれど、自分の中にある沖縄がデザインやモチーフに自然と滲み出てくるのではないかと思います」
![カタチキ ティッシュケース]()
![カタチキ 染色された扇子]()
由美子さんは、「使う人を思いながらつくる」を軸に、他者がいてこその表現、使い手とのコラボレーションを大切にものづくりをしています。
「歳をとっても続けていければ良いなと思っています。小さい工房で小さなおばあちゃんが染めているみたいな」と朗らかに笑う由美子さん。
![カタチキ 笑顔の由美子さん]()
「時代の流れで、人も物事も変わっていくので、伝統を踏まえながらも、柔軟でありつづけ、時代に対応できる自分でいたいと思っています」
取材・文/沖縄CLIPフォトライター水野 暁子
撮影/沖縄CLIPフォトライター 舘 幸子
「沖縄出身だということを強く意識してはいないけれど、自分の中にある沖縄がデザインやモチーフに自然と滲み出てくるのではないかと思います」
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由美子さんは、「使う人を思いながらつくる」を軸に、他者がいてこその表現、使い手とのコラボレーションを大切にものづくりをしています。
「歳をとっても続けていければ良いなと思っています。小さい工房で小さなおばあちゃんが染めているみたいな」と朗らかに笑う由美子さん。
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「時代の流れで、人も物事も変わっていくので、伝統を踏まえながらも、柔軟でありつづけ、時代に対応できる自分でいたいと思っています」
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取材・文/沖縄CLIPフォトライター水野 暁子
撮影/沖縄CLIPフォトライター 舘 幸子
KATACHIKI カタチキ
- TEL /
- 098-917-0708
- 営業時間 /
- 10:00〜17:00
- 定休日 /
- 水、日
- Webサイト /
- https://www.katachiki.com/about/
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