沖縄のシークヮーサーで作る ローカルワイン Occi

沖縄のシークヮーサーで作る ローカルワイン Occi

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放送日:2024.11.25 ~2024.11.29

初回投稿日:2024.12.02
 最終更新日:2024.12.03

最終更新日:2024.12.03

沖縄のシークヮーサーで作る ローカルワイン   Occi クリップする

琉球歴文化体験モニタープログラム

occi  沖縄市 フルーツワインのお店
中央パークアベニューにあるフルーツワイン「Occi」のワイナリー。黄色い看板が目印
 
 
沖縄市の中央パークアベニューの一角に、沖縄のシークヮーサーを使ったローカルワイン「Occi」(オッチ)を製造する小さなワイナリーがあります。
 
Occi(以下オッチ)は、Okinawa・Citrus(Craft)Ciderを組み合わせた造語。
 
ビールでもない泡盛でもない、沖縄生まれの新しいお酒です。

シークヮーサーで作る 新しいお酒

ワイナリー「オッチサイダリー」の代表を務める笹尾奈美さんは以前、洋菓子の製造販売の会社にいました。

菓子の原材料に、シークヮーサーの果汁を絞った後の残渣が必要になり、農家や搾汁業者を回ってようやく探し当てたところ、残渣だけでなく、果汁も買い取ってくれるならば、という条件付きでした。
 
大量の果汁をどうやって消費できるのか、ストレート果汁、シロップやジャムなどの加工品を作っても、消費仕切れない量の果汁です。
 
当時の会社の社長が、「青森などにあるリンゴで作ったお酒、シードルみたいなお酒をシークヮーサー果汁で作るのはどうだろう?」と発案しました。
 
「すでに、若い人はお酒を飲まないよねという感じがあり、私自身がビールを好まないこともあって、どうせなら、お酒が苦手な人、飲まない人が飲みたくなるようなカクテルや酎ハイなど、フルーツの味がする新しいおいしいお酒をシークヮーサーで作ろうと、プロジェクトチームが立ち上がりました」
 
と笹尾さんは振り返ります。
 
その後、開発途中で笹尾さんは会社を退職し、コロナ禍へ突入しました。
コロナ禍は、飲食店でのお酒の提供はなく、会食も憚られる状況でした。
 
「友人と会うのはもっぱら海。コンビニで各々の好みのお酒を買って、夕日を見ながらのんびり、周囲を気にせずお酒を飲む。最初は楽しかったのですが、そのうち飽きてきて。その時に、そういえば、シークヮーサーのお酒はどうなったのかな? と思い、当時の社長に連絡を取ることにしました。
 
するとコロナ禍で、プロジェクトが中断されていました。私は、アイデアはとってもいいと思っていたので、このプロジェクトを止めないでください、OEMで誰かに作ってもらってでも、商品を世に出してください!と社長に話していたんです。
 
すると数日後、連絡があり、もし笹尾さんがこのお酒を大事だと思ってくれるなら、会社を立ち上げて、作ってみないか?と打診されて。
 
数日悩み、友人や家族にも相談していましたが、海で飲むシーンや乾杯のお酒として県内外でも広がったら楽しいなとやる気になってきて、やります! と答えていました」

occi フルーツワイン造りが行われている様子
発酵から充填まですべてがこの小さなスペースで行われます

たった一人で 事業を形にする

笹尾さんが事業を引き継いだ2020年ごろ、オッチはまだ完成しておらず、レシピと呼べるものはありませんでした。
 
酒造免許を持たない笹尾さんは、2021年に会社を設立。
 
プロジェクトチームもお世話になっていたうるま市にある沖縄県工業技術センターのスペースを借りて、研究を重ねます。最初は1リットル程度の少量から始め、現在のレシピになるまで何度も試作を繰り返しました。
 
2022年9月に酒造免許を取得し、ワイナリーとしての設備を整えるまでに、約3年の月日がかかりましたが、2023年の夏、ようやくオッチは販売をスタートしたのです。
 
occi 代表の笹尾さん
代表の笹尾奈美さん。周りの協力を借りながらも、ほぼ一人でシークヮーサーのお酒を商品化させました
  
occi シークワーサーの実
皮の油分が発酵を妨げるのでは?と、誰もお酒作りに手を出さなかったシークヮーサー

occi フルーツワインに使用されるシークワーサー
搾汁作業では、果実の繊維質の部分と果汁とに分けます

occi 発酵する前の工程
果汁は一度澱引をしてから発酵へ

occi 発酵中に小さな気泡ができている
小さい気泡は発酵の証。これがおいしい微炭酸になります
 occi 発酵が進んでいる様子
さらに発酵が進んだ状態

occi 手作業でフルーツワインを瓶へ詰めていく
1本ずつ手作業で充填していきます

occi ラベルも1枚づつ丁寧に手作業で貼っている
ラベル張りももちろん笹尾さんと、家族の協力ですべて手作業で行います

ワイン作りの常識にはない 発想

オッチは、ブドウで作るワインや、リンゴで作るシードルと同じく、シークヮーサーの果汁を醸造したお酒。糖度が少ないシークヮーサーは加糖することで酵母の発酵を助け、また、酸度の高い果汁はカビなどを殺菌する手助けをしています。
 
自然の香りと発酵のおいしさを生かすため、香料もアルコールも添加しない、素材のありのままのシンプルでナチュラルな醸造方法です。
 
 「ワインを作っている人からしたら、甘みもないのに、なんでシークヮーサーをワインにしたの? と言われることもあります。
 
ブドウやリンゴは製法が確立していますが、果実をまるごと絞るシークヮーサーは、皮に油分があるので、その油が発酵を妨げるのではないかと言われていました。
 
今のところ、最初に必ず果汁を澱引きして、余分な油分は除外。
その後希釈し、砂糖・酵母を加えて、3〜4週間かけて発酵させています。
 
発酵が完了したオッチは、再度澱引きして、充填の準備をしますが、
その澱も少し加えることで、シークヮーサーの香りがより際立ち、おいしくなります。

地域で育てていきたい お酒

研究を重ねながら、友人のソムリエや飲食店の方のアドバイスを受けて、シークヮーサー本来のおいしさを感じるシンプルなオッチを完成させた笹尾さん。
 
もともとは、昼間やビーチでおいしく飲めるお酒をいうコンセプトがあったので、オッチはおつまみだけでなく、パンやお菓子などのスイーツとの相性もよく、月に2〜3回の直売所オープンデイでは、試飲や知り合いのお店のパンやスイーツとのペアリングを提案しています。

occi 試飲会の様子
ワイナリー兼直売所で開催する月にオープンデイでは気軽に試飲することができます

occi 沖縄市のZazouでもワインを購入出来る
オッチ完成後、すぐに飛び込み営業をした、沖縄市ゲート通りの老舗ベーカリー「Zazou」でもオッチを購入することができます

occi Zazouの店内でのイートインスペース
Zazouでは、店内でのイートインでもオッチとパンを楽しめます

occi シークワーサー収穫体験の様子
シークヮーサーの収穫体験で、シークヮーサーの現状を再認識しました

農家さんとのコミュニケーションを 大切にしていきたい

今日は、やんばるのシークヮーサー農園「たからの山農園」で収穫を体験させてもらいました。
 
笹尾さんが事業を引きついだ当時は、2000年のちゅらさんブームをピークに、シークヮーサーの買取価格が下がり、搾汁業者が果汁を買い上げて、冷凍で在庫を抱えていると聞いていたそうです。

「じゃあ、オッチを作ることによって、今、溜まっているストックを少しでもなくしていきたい、という思いもあって、プロジェクトを止めたくなかったという経緯もありました。
 
農業は自然相手ですから、豊作の時もあれば不作の時もある。今は、シークヮーサーを使った商品も増えたこともあって、過剰在庫になっていることはないと、今日、農家の高良吉美さんからお話を伺えてよかったです。
 
オッチを作り始めた時からの私の夢は、コロナが明けたら必ず観光の方が国内海外から戻ってくるので、その時に、沖縄の海を眺めながらや海上で、ビールや泡盛同様に、沖縄のワイン、オッチを召し上がっていただくこと。
 
また、ブドウでできたワインと同じように、その年に収穫したシークヮーサーを使ったオッチを作ること。◯年もののオッチとか。
 
いつか高良さんのオーガニックなシークヮーサーで、新しい商品も生み出せたらなと、今日は夢が広がりました

まずは、シークヮーサーやオッチの認知度を高めて、沖縄のワインというキーワードが当たり前になるよう、産業としても育てていけたら、こんなに嬉しいことはありませんね」
 
occi  フルーツワインのハーフボトル
オッチのハーフボトルも誕生しました
Occi  (720ml・360ml)/アルコール度数6.5%/オープン価格

オープンデイはインスタグラムでご確認ください

ワイナリー・直売所

Webサイト /
https://occicidery.com/
Instagram /
https://www.instagram.com/occicidery.okinawa/

沖縄CLIP編集部

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