懐かしい未来のために、今できること。「竹富島地域自然資産財団」

懐かしい未来のために、今できること。「竹富島地域自然資産財団」

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歴史文化

初回投稿日:2024.07.21
 最終更新日:2024.07.22

最終更新日:2024.07.22

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石垣島(いしがきじま)から高速船で約10分、年間を通して多くの観光客が訪れる竹富島(たけとみじま)は、周囲約9キロ、島民約340人ほどの小さな島です。美しい町並みは、重要伝統的建造物群保存地区に指定され、国の有形文化財にも登録されています。

自然と共にある暮らし

東の「あいのた」集落、西の「いんのた」集落、南の「なーじ」集落の3集落内には、赤瓦屋根の民家が立ち並び、琉球石灰岩の石垣と白砂の道が懐かしい沖縄へとタイムスリップした気分にさせてくれます。
 
この町並みは、島民が長い年月をかけて大切に築いてきたものです。台風が来れば、民家を囲む石垣が崩れたり、掃除をしなければ、白砂の道や庭は雑草で覆われたりしますが、島民はその都度補修や修繕、清掃などを行い、協力し合いながらこの美しい町並みを守ってきました。

竹富島 風景

竹富島の動植物にもこの土地ならではの特徴があり、その存在は島民にとってとても大切なものとなっています。例えば、リュウキュウアカショウビン。春になると島に渡ってくる色鮮やかな赤い鳥で、キュロロローという独特の美しい鳴き声を披露してくれ、島民はその到来を毎年心待ちにしています。集落内を歩いていると時折見かける絶滅危惧種II類で天然記念物に指定されているヤエヤマセマルハコガメや、長い足で走る姿が愛らしいシロハラクイナも、この島で共に暮らす貴重な仲間たちです。

 リュウキュウアカショウビンとヤエヤマセマルハコガメ
リュウキュウアカショウビンとヤエヤマセマルハコガメ(竹富島地域自然資産財団提供写真)
 
竹富町の町花であるショウガ科の月桃(げっとう)は、花だけでなく葉や茎の香りも良く、民具作りの材料や料理など多くの場面で幅広く活用され愛されている植物です。

島を守り未来につなげていくために

竹富島には、年間約50万人もの観光客が来訪していて、近年ではオーバーツーリズムや観光開発など多くの問題に悩まされています。自然と共にある竹富島の大切な暮らしを守り、この島の魅力を未来へとつなげていくために、30代から50代の島民が中心となり、理事長には法人設立の前年度まで公民館長として活動をしていた上勢頭篤(うえせど あつし)さんを据え、2019年5月に「一般財団法人 竹富島地域自然資産財団」を立ち上げました。

この法人は、100年後の竹富島が今のままであるために「自然保全」を柱とした活動を実施しています。

上勢頭篤さん

「島の若い人たちが未来の島のために頑張っています。今日、明日で結果が出るとは最初から思っていません。少しずつでも活動を長く続けていくことで、先代から受け継いできたこの島の良さを未来の子どもたちへとつないでいけると思っています。そして竹富島が好きだと言ってくださる観光客の皆さまや、この島を応援したいと思う人たちと共に、竹富島の未来を作っていきたいと思っています」(竹富島地域自然資産財団 理事長 上勢頭篤さん)

財団の取り組み

地域おこし協力隊で、財団の事務局を担当している玉木 大悟(たまき だいご)さんに財団での主な取り組みについて伺いました。
 
玉木 大悟(たまき だいご)さん

「近年の活動としては、学者や専門家の協力者と共に御嶽の森のリサーチや、大学のゼミ生などを対象にした学習会の開催などを行っています。その他にも、ビーチクリーン活動や、外来種の調査、国指定重要文化財 旧与那国家の管理、港にゴミ箱を設置し、収集、分別などの活動を行っています」(玉木さん)
 
御嶽の森のリサーチ(竹富島地域自然資産財団提供写真)
御嶽の森のリサーチ(竹富島地域自然資産財団提供写真)

ビーチクリーン(竹富島地域自然資産財団提供写真)
ビーチクリーン(竹富島地域自然資産財団提供写真)

岐阜県出身の玉木さんは、家の前に流れていた川の観察施設で、10年間自然観察指導員として働き、その後住んでいた川の河口域、愛知県の干潟で環境省のレンジャーとして1年間働きました。川や干潟の自然を見た後は、山を知りたいと思い、長野県の山の中で、ネイチャーガイドとして1年間働きました。その時に思ったのは、山には海と比べてゴミが少ないということ。ゴミの問題を抱えている海を知りたいと思い旅行先で訪れた竹富島で海岸を歩きながらビーチクリーンをしたことがきっかけとなり、地域おこし協力隊へと応募し、竹富島に移り住みました。
 
現在、玉木さんと一緒に、地域おこし協力隊のメンバーとして財団の活動を担ってくれる人材を募っているそうです。自然保護活動や、島の歴史や文化などに興味のある方にとっては、竹富島の未来を担う活動に参加できるチャンスと言えるでしょう。

それぞれができる事を

財団の理事メンバーの一人である大浜 信一郎(おおはま しんいちろう)さんは、他のメンバーと共に、ビーチクリーンや集落内の箱から回収されたペットボトルの蓋を再利用して、海亀のキーホルダー作りを行っています。
 
大浜さん

「集められた蓋を選別して、綺麗なものを細かく切って、機械に入れて溶かし、パーツを作ります。パーツができたら組み立てて、キーホルダーを完成させます。これは時間のかかる作業で、僕は、時間のある時に財団の事務所に通って作っています」(大浜さん)

海亀のキーホルダー
海亀のキーホルダー

こちらのキーホルダーは、大浜さんが営んでいる丸八レンタサイクルと、東の集落の端にある友利レンタサイクルに設置されているガチャガチャの機械を1回300円で回すことで手に入れることができます。こちらは財団の入島料として扱われているため、海亀のキーホルダーは、入島料の返礼品となります。
 
港に設置されたゴミ箱は、観光で訪れる人たちに入島料の返礼品として活用してもらっています。
 
ゴミの処理は、全て財団メンバーと島民のボランティア

ゴミの処理は、全て財団メンバーと島民のボランティアによって行われています。

 作業風景(竹富島地域自然資産財団提供写真)
 作業風景(竹富島地域自然資産財団提供写真)

昨年集められたゴミの中でも、ペットボトルゴミは66,000本以上ありました。
 
ペットボトルや缶の中にタバコの吸い殻やゴミを詰めて捨てる人がいるそうです。ゴミを捨てる時は、片付ける人のことを考え、ペットボトルは空にしてマナーをしっかりと守りましょう。
 
これらの活動は全て財団メンバーと島民のボランティアで行っています。現在、財団の仕事を担っているメンバーは、本職の合間を縫って活動をしているため、思うように時間が取れないという悩みを抱えています。

懐かしい未来のために「入島料」をお願いします

「竹富島地域自然資産財団では、観光で訪れる皆さまにご協力いただき、1人300円の入島料をお願いしています。入島料は、自然環境保全活動費、財団運営費、収受業務に係る費用に使用されます。また、入島料の1/3以内を自然環境トラスト活動に使用しています。
 
私たちの活動は全て入島料でまかなっています。現在、財団メンバーは本職の合間に活動していますが、もし入島料の収益が増えれば、専門職のスタッフを雇用することができたり、竹富島から旅立っていく子どもたちが、大人になって帰ってこられる職場を提供することができたりします。自然と共にある竹富島の暮らしと文化を、私たちは観光客の皆さまと一緒に守り、未来につなげていきたいと思っています」(常務理事 市瀬健治(いちのせ たけはる))

常務理事 市瀬健治(いちのせ たけはる))

入島料の収受は、入島券(通称:うつぐみチケット)を購入していただくことで行います。入島券は、券売機および竹富島内各所にて販売しています。券売機は石垣島の「ユーグレナ石垣港離島ターミナル」および竹富東港「かりゆし館」に設置されています。

販売機
販売機写真(竹富島地域自然資産財団提供写真)

かりゆし館では、入島料の返礼品として、オリジナルステッカーや草玩具などを提供しているそうなので、カウンターでスタッフにお声をかけてみてくださいね。

竹とんぼ

ステッカー
 

「ありがとう」と「おねがいします」の思いを込めて

どこか懐かしくて、竹富島ならではの穏やかで美しい景観。それは、長い年月をかけて島民が島の自然を敬いながら築き上げてきたもの。あなたなら、入島料にどんな思いを込めますか?
 
「今までこの風景を残してくれてありがとう。そして、このままの風景をこの先100年後まで!」

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一般財団法人 竹富島地域自然資産財団

住所 /
沖縄県八重山郡竹富町竹富207-1
TEL /
0980-85-2800
Webサイト /
https://taketomijima.okinawa/
インスタグラム /
https://www.instagram.com/taketomijima_zaidan/

水野 暁子

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