泊まらないともったいない!「竹富島で過ごす素顔の島時間」

泊まらないともったいない!「竹富島で過ごす素顔の島時間」

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歴史文化

初回投稿日:2024.10.23
 最終更新日:2024.11.05

最終更新日:2024.11.05

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八重山諸島(やえやましょとう)に位置する竹富島(たけとみじま)は、石垣島(いしがきじま)から高速船で約10分と、日帰りで行ける観光地として多くの人が訪れる人気の穏やかで美しい島です。今記事では、竹富島在住のフォトライターが、日帰りでは体験できない竹富島でのおすすめの過ごし方をご紹介します。

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竹富島ってどんな島?「竹富島ゆがふ館」

竹富島のフェリーターミナルから歩いて約2分の場所に環境省の建物である竹富島ビジターセンター「竹富島ゆがふ館」があります。こちらの施設には自然環境や文化、歴史などについての展示物や資料がたくさんあり、竹富島について深く知ることができます。

竹富島ゆがふ館 館内 
スタッフから展示物などについての解説を聞くこともできるので、希望される方は、館内窓口にてスタッフにお声かけください。
 
館内には竹富島の「うた」や「民話」などを聴くことができるセクションがあり、ぜひ竹富島の言葉を聴いて島の存在を近くに感じてみてほしいです。土地の言葉が持つ響きには、その土地独特で特有の雰囲気を感じることができると思います。
 
竹富島の民謡が聞けるセクション

竹富島 ゆがふ館

住所 /
沖縄県八重山郡竹富町字竹富2350番地
Webサイト /
https://taketomijima.jp/

集落内をのんびりお散歩しよう

港からバス、または自転車を借りて集落内へ。
 
竹富島には、東(あいのた集落)、西(いんのた集落)、南(仲筋集落)の3つの集落があり、各集落の出入り口には、魔除けの意をもつスンマシャーがあります。
 
スンマシャーは、土や石を円形に積み回し、上にはガジュマルなどの木が植えられていて、病魔や凶事が集落に進入するのを遮るためにつくられたといわれています。
 
魔除けの意をもつスンマシャー
 
竹富島の民家の造りや、集落の在り方は、風水思想に基づく作りとして知られています。私たち島民が何気なく心地の良い暮らしができているのは、このような思想に守られているからかもしれません。
 
のんびり集落内をお散歩していると、いくつもの井戸に遭遇します。竹富島は、1976年に石垣島からの海底送水の水道管が敷設されるまでは、庭に雨水をためるタンクを設置したり、島にいくつもある井戸を活用したりして生活をしていました。
 
竹富島の集落で見られる井戸
 
島の中心部には、島民が集まる「まちなみ館(公民館)」があり、その前には竹富島出身の偉人である西塘氏を祀る御嶽、西塘御嶽(にしとうおん)があります。
 
まちなみ館で集まりがあれば、集まった島民みんなで西塘御嶽に向かい手を合わせてから会を始めたり、中学生は部活などの大会前に西塘御嶽に手を合わせに向かったりと、島の日常の中で常に島民を見守っている大きな存在です。(竹富島には御嶽(オン)と呼ばれる拝所が数多く点在しています。御嶽は、島民にとって大切な場所であり神聖な場所であることを忘れずにマナーはしっかり守りましょう)
 
沖縄本島では、対でシーサーが設置されることが主流ですが、竹富島では赤瓦屋根の上に一つだけシーサーがのっていることが主流です(屋根を葺く職人が瓦と漆喰で作っていたからだそうです)。このように、八重山諸島と沖縄本島では同じ沖縄県でも歩んできた歴史が違うことから、違った文化を見つけることができます。
 
お盆のような島と歌われるほど起伏のない穏やかな竹富島ですが、赤山公園のなごみの塔のある場所は小高くなっていることから、赤瓦屋根の町並みを上から望むことができます。
 
なごみの塔のある赤山公園からの景色
なごみの塔のある赤山公園からの景色

最終便の船が出航した後に訪れる島本来の静けさ

石垣島に渡る最終便の船が出港すると、竹富島には島本来の静けさが戻ります。
 
私は、仕事を終えホッとひと息つきたい時は、コンドイ浜へと向かいます。ビールを片手に、向かいに見える西表島や小浜島の上空を一刻一刻と染めていく夕日をゆったりと眺め、その日の疲れを癒します。お日さまが沈んでからの空と海の色は、言葉に表せない美しさに包まれ、自然界の魔法にかけられた気分になります。
 
竹富島の夕景

夜空を眺めながらお散歩

夜になったら、懐中電灯を持ってぜひ集落内をお散歩してみてください。夜の生きものたちに出会えるチャンスです。
 
夜風を切る羽音がし、鳥かな?と見上げるとそこにはフルーツバットがいたり、ホーホーという鳴き声の先には手のひらに乗るサイズのかわいらしいリュウキュウコノハズクが木にとまっていたり、道を横切る姿は蟹かなと思い、近寄ればヤシガニだったりと竹富島ならではの生きものたちに出会えます。
 
道の脇や茂みの中では、オオシママドボタルが光っています。幼虫が陸上で育つ陸棲ホタルです。竹富島では9月から1月頃に飛んでいます。体長6cmにもなる幼虫も光って地面を歩き、こちらはほぼ1年中見ることができます。
 
空を見上げれば満天の星。電灯などがない集落のはずれに敷物を持っていき、ゴロリと寝転んで空を見上げれば星空に吸い込まれていくような感覚を味わえます。
 
竹富島の星空
 
鳥や虫の鳴き声や、島の風に漂う南国の花の香りに包まれて、竹富島の夜時間をぜひ全身で体感してほしいです。

早朝の海へ

旅先では、お天気や体調にも左右されますが、もしいつもより少し早起きできたら、ぜひ早朝のコンドイ浜へ行ってみてほしいです。特に満潮時の早朝のコンドイ浜は、清々しい気で満ちていて、新しい一日を最高の気分で始めることができます。
 
早朝のコンドイ浜
 
ヨガや瞑想の場としても早朝の浜は適しています。コンドイ浜に比べて島の東側に位置するアイアル浜は集落から少し離れていますが、朝日が昇ってくる方向であることからコンドイ浜とはまた違った朝の海辺を感じることができます。(潮の流れが早いため、アイアル浜は遊泳禁止です)
 
アウトドアアクティビティが好きな人は、マイコーヒーセットなどを持参して朝日の見える浜で至福のコーヒータイムはいかがでしょう。
 
自然の風を感じながら、のんびり本を読んだり、ポストカードでお便りを書いたり、あえて携帯やパソコンから少し離れて、デジタルデトックスの時間を過ごすのも竹富島での有意義な時間の過ごし方と言えます。

古民家でのんびりじーまみ豆腐作り体験

朝食の後は、西のいんのた集落内に佇む古民家「じーまみ家」で、沖縄の伝統郷土食であるピーナッツのエキスをベースに作られるじーまみ豆腐を作る体験がおすすめです。
 
じーまみ家のじーまみ豆腐作り体験
 
体験をリードしてくれる岡野さんの気さくで飾らない人柄は、親しみやすく、ゆんたく(おしゃべり)がはずみます。初めてじーまみ豆腐作りにチャレンジする人も安心して落ち着いて体験できます。自分で手作りしたじーまみ豆腐のおいしさを、ぜひ堪能してみてください。
 
じーまみ豆腐とお茶

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時間に追われることなくゆったりと過ごす島時間の中で、思いがけない景色や体験にきっと出会えるはず。旅のスタイルをほんの少し変えるだけで、身の回りのことや自然のこと、広い世界のことまで、違った角度から見るおもしろさに気づくことができるかもしれません。

夕日に揺れるブーゲンビリア
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水野 暁子

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