紅型とわたし《紅型ナワチョウ》
紅型とわたし《紅型ナワチョウ》
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歴史文化
放送日:2024.10.28 ~2024.11.01
初回投稿日:2024.11.05
最終更新日:2024.11.05
最終更新日:2024.11.05
紅型に恋して 沖縄移住
南城市の工房で、「紅型ナワチョウ」ブランドを制作する縄トモコさん。
縄さんと紅型の出合いは、偶然、立ち読みをした一冊の雑誌でした。
「沖縄の伝統工芸の特集で、紅型染めが紹介されていました。その鮮やかな色合いと、沖縄の染め物という存在に衝撃を受けて、よしっ、沖縄に行って、わたしも紅型をやろうって。ひと目で恋に落ちてしまいました。
当時、わたしは22歳で、沖縄に行ったこともなかったんですけど(笑)。
お世話になる工房を決めるなど準備を進め、2003年の夏、沖縄に移住しました」
ひと口に紅型といっても、作るものは工房によってまったく異なります。
最新の材料で帯や着物を制作する工房と、昔ながらの手法を大切にする家族経営の工房と、二つの紅型工房で修業を重ねた縄さん。
まるで家族のように接してくれた師匠たちには、今でも感謝の気持ちでいっぱいですと話します。
「紅型はどの工程も手間暇がかかりますが、わたしには全てが大切な時間。手を動かし続けることで自分自身、心が穏やかになるんです。きっと目に映る色や形に、知らないうちに元気付けられているんでしょうね」。紅型に恋する瞳はキラキラと輝いています
縄さんが心ひかれた紅型とは
そもそも紅型とは、沖縄の紅型染めの手法の総称。例えばデザインを描いて型紙を彫り、その型紙を顔料を使って染める、それらすべての工程を紅型と呼ぶそうです。一つの作品を仕上げるまでには、10以上の工程が必要になります。
紅型の「びん」は「色」を、「がた」は「模様」を表しています。
縄さんの周りには、紅型で残したいモチーフに溢れています
デザインを彫って型作り。型作りは精密で時間がかかる大変な作業です
柔らかな色彩が 紅型ナワチョウの魅力
沖縄で発展した紅型は、顔料で染めるのが特徴。紫外線が強い沖縄では染料は色褪せやすくなりますが、発色が豊かな顔料は褪色しにくいので、紅型は、沖縄だからこそ発展した技法かもしれません
色を挿した後、濃い色でデザインにぼかしを入れる作業を「隈取り」といいます。濃い色で縁取るように筆を動かす縄さんの図案が、みるみる立体感を帯びてきました。
「紅型を作る醍醐味は隈取りかもしれませんね。鳥取出身のわたしは、どうやら育ってきた景色の彩度が低いのか、紅型なのに色が柔らかいね、といわれるんですが、自分では、紅型だと思う色を挿しています。それがいいのかどうかはわかりませんが、これが自分の感性だし、わたしらしさだといつからか思うようになりました」
お菓子の柄や沖縄の玩具、ハジチ(琉球の刺青文化)、海の柄だったり、縄さんが残したいと思う沖縄を紋様にするのが自分らしいのかなと思います、と縄さん
紅型の帯にこめる思い
「工房を独立後は、紅型をもっと身近に感じてもらいたいと思い、カバンや額装した作品を作っていたのですが、海外で参加したグループ展で、お手伝いしてくださった日本大使館の奥様方が、必ず着物をお召しになられていて。着物は 日本の伝統的な衣装であり、身に纏うだけで相手に対する敬意を評するものであることを再認識しました」と縄さん。
その後は、帯を中心とした創作活動を続けています。柔らかい色合いの中に、縄さんが残したいと思う沖縄が生き生きと描かれた帯は、個展や展示会で完売するほどの評判となっています。
今は帯が主流となった紅型ナワチョウのバッグですが、現在でも注文で、制作を受け付けています
亜熱帯の力強い植物が、紅型ナワチョウによって柔らかい色彩の中に優しく描かれています
自身も普段から着物を纏い、日本文化としての着物と紅型の良さを伝えています
紅型を後世につないでいくために
実は紅型は、過去に2度、喪失の危機にありました。1度目は19世紀後期に琉球王府が解体され、王朝の庇護がなくなった時、そして2度目は沖縄戦で全てが燃えてしまったことです。
縄さんは、今自分が紅型を続けていけるのは、沖縄が平和な世の中だからこそ、と話します。しかし、コロナ以降は事情も急変。材料の高騰やこれまで手に入っていた材料が入らないなど、創作を取り巻く状況は少しづつ変化し続けています。
今、奇跡的に、自分が紅型に携わることができているのは、紅型を継承してくれてきた先人たちがあってこそ。
「わたし自身は、弟子を取るにはまだ早いような気がしますが、紅型染めを続けて、次の時代にバトンタッチできたらなと思っています」
紅型ナワチョウ
- Webサイト /
- https://bingata-nawachou.com/
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