「もしも」を学ぶ防災キャンプ《災害プラットフォームおきなわ》

「もしも」を学ぶ防災キャンプ《災害プラットフォームおきなわ》

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歴史文化

放送日:2024.10.14 ~2024.10.18

初回投稿日:2024.10.22
 最終更新日:2024.10.22

最終更新日:2024.10.22

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琉球歴文化体験モニタープログラム

身近な公園でキャンプ体験

「災害プラットフォームおきなわ」は、沖縄のあらゆる個人やコミュニティが、災害と共に生きる力を持つことを目指して活動している団体です。防災や災害時に役立つ知識を広めるために、2019年から地域コミュニティや自治体と共に「防災キャンプ」を開催しています。

 

防災キャンプでは、地域の避難場所や避難所に指定されている身近な公園や学校、公民館などでキャンプを行います。「災害プラットフォームおきなわ」の理事のひとりで、キャンプ関連の活動もしている宮平未来さんは、「防災の入り口をもっと広くしてハードルを下げるという目的と、公園をもっと面白く使いたいという2つの目的でスタートしました。楽しみながら防災について考える入り口として、キャンプ体験は良いきっかけになります」と話します。

 

那覇の新都心公園で開催された「なは防災キャンプ ’24夏」

那覇市の新都心公園で開催された「なは防災キャンプ ’24夏」。気温など環境の変化を知るため、季節ごとに開催しているそう

 

参加者に防災キャンプの流れをレクチャーする宮平未来さん

参加者に防災キャンプの流れをレクチャーする宮平未来さん(写真中央)

防災キャンプの3つのルール

防災キャンプは、「自己完結」「シーズンごとに行う」「できれば宿泊する」という3つのルールに沿って行われます。「自己完結というのは、自分で考えて自分で行うということ。食べるものを決めたり、眠る場所を決めたり、自分で決めることもキャンプの楽しさの1つですから」と宮平さん。

 

自己完結だけれど、自己責任ではない。自分一人でできないことは、参加者同士がお互いに助け合ったり学び合ったりすることを大切にしているので、「伴走者である僕たちは最終的にいなくなることが理想なんです。最初はもちろんサポートしますけれど、だんだん離れていって(笑)、参加者が自分たちで防災キャンプに取り組めることを大切にしています」(宮平さん)


防災キャンプの最低限の流れは、寝床の確保、食事を作って食べる、そして寝ること

防災キャンプの最低限の流れは、寝床の確保、食事を作って食べる、そして寝ること

 

小さな子も、自分のできることを見つけて一生懸命手伝います

小さな子も、自分のできることを見つけて一生懸命手伝います

 

災害時でも手間なく簡単に食べられる備蓄食品を実食

食事タイムは、災害時でも手間なく簡単に食べられる備蓄食品を実食

ペットと避難所で過ごすために

防災キャンプに参加される方は、子どものいるご家族、ご夫婦、お一人などさまざま。中には、ペットを連れて参加される方もいます。

 

ペットの防災にも力を入れている「災害プラットフォームおきなわ」共同代表理事の畑瀬裕子さんは、「国はペットの同行避難(一緒に逃げる)を推奨していますが、実際にペットと一緒に入れる(同室)避難所はないに等しく、避難所に入れたとしても基本的にゲージに入れないペットは受け入れられないので、もしもの時のために、ペットをゲージに入れるようにしておくことも大切です。それは、経験してみないとわからないことなんですよね」と、もしもの時を想像して準備しておくことの大切さを話してくれました。


ペットと参加する家族

ワンちゃんと一緒に参加するご家族も。ペットの防災について考えるきっかけになったそうです

たくさん失敗していい

寝床の準備を終えて夕食を食べた後は、参加者のみなさんが集まって持ち物チェックをします。実は、キャンプに参加する際の持ち物について、主催者側からはあえて「これを持ってきて」とは伝えないそうです。なぜなら、実際の避難時に必要なものは、人やご家庭によって大きく異なるから。災害時を想像して、最低限どんなものが必要なのかをそれぞれに考えて持ってきます。


「実際にキャンプをしてみると、準備をしていたつもりでも大切なものを忘れていたり、できないことがあったり。たくさん失敗するんですけれど、それでいいんです。想定はしていたけれど、夏は想像以上に暑くて寝れなかったとか、冬は思ったより寒かったとか。いい意味で悔しい思いをして、“次はこうします”とか、“これを買って帰ります”とか、何かしらのアクションが皆さんの中で必ず生まれます」(宮平さん)

 

災害用のライトを使う参加者

災害用のライトや防災バッグなどを、キャンプで初めて使うという方もいるそうです

振り返りで生まれるもの

公園で一夜を過ごした参加者は、朝7時に起床。朝食を食べてから、全員で防災キャンプ体験の振り返りをします。「普段行き慣れていないトイレに子どもたちが行くのが大変だった」「災害時でも、普通のキャンプみたいに楽しめるかな...と課題を感じた」など、率直な意見が飛び交います。

 

「災害プラットフォームおきなわ」の理事で、那覇市若狭公民館館長の宮城潤さんは、「防災キャンプで重要なことは、自分で考えて自分で実践すること。そして、できないことはそこにいる人たちと助け合うこと。防災キャンプを経験し、その経験や活動を記録・共有していくことで、実際に災害があった時には想像力を膨らませて、ここに困っている人がいるとか、お互いにできることを出し合う力が生まれていくと思います」と話します。

 

経験は生きた知識になる。防災キャンプという体験が、もしもの時に大きな力を発揮するWell-beingな学びとなっています。


翌朝の振り返り

翌朝の振り返り。みなさん真剣な表情で、お互いの意見に耳を傾けます

 

「なは防災キャンプ」を毎シーズン開催している、那覇市若狭公民館館長の宮城潤さん

「なは防災キャンプ」を毎シーズン開催している、那覇市若狭公民館館長の宮城潤さん

 

災害プラットフォームおきなわ

Webサイト /
https://dmpokinawa.com/

沖縄CLIP編集部

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