ハローから始まる世界への扉《HelloWorld》

ハローから始まる世界への扉《HelloWorld》

Reading Material

歴史文化

放送日:2025.04.07 ~2025.04.11

初回投稿日:2025.04.14
 最終更新日:2025.04.16

最終更新日:2025.04.16

ハローから始まる世界への扉《HelloWorld》 クリップする

しまんちゅ旅はじめました

日本にいながら世界と交流

国際色豊かな沖縄市の一番街商店街に、「世界中に1ヵ国ずつ友達がいることが、当たり前の社会をつくる」という思いを掲げる会社「HellowWorld」があります。

この社会を実現するため、同社が展開するのが、1:「まちなか留学」 2:「WorldClassroom」 3:「まちなかENGLISH QUEST」という三つの事業です。

まちなか留学は、日本国内在住の80ヵ国以上のホストファミリーの家にホームステイすることで、英語を使いながら異文化交流を体験するプログラム。

沖縄と関東で展開しており、学校や企業の団体だけでなく、個人での参加も可能です。

WorldClassroomは公教育向けの英語学習・国際交流プラットフォームで、日本の子どもと海外の子どもが、オンラインで、互いに不慣れな英語でコミュニケーションを取りながら関係を築いていく教育プログラム。

現在は、日本国内の300校以上で導入されていて、沖縄では中学校の約半数で活用されています。

まちなかENGLISH QUESTは、日本人と外国人とでチームを組み、英語を使いながらゲーム感覚でミッションをこなしていく探究型の学習プログラムです。


HellowWorldのCEOの一人。野中光さん
Co-CEOの一人。野中光さん

きっかけは、外国人留学生の孤立

HelloWorldは、二人のCEOの熱い想いからスタートしました。

その一人、野中光さんに立ち上げのきっかけをうかがいました。

「2019年ごろの年末、沖縄に留学していた外国人から、コロナが始まって学校に行けなくなり、3か月間もいたのに、結局友達が一人もできなかった、という話を聞きました。

僕は、大学を休学して1年間世界を旅した経験があって、どの国にいっても現地の人がとてもよくしてくれましたし、友人もたくさんできました。それなのに、地元沖縄にいる外国人を孤立させてしまったことが心に残って。同じ頃、コロナで日本から海外に行けない状況も続いていました。

それなら、日本国内で、外国人と日本人が交流できる仕組みがあれば、双方の課題を解決できるのではないか? と思ったのが始まりでした。どうせなら、さまざまな人種が集まるダイバーシティのコザを拠点にしたらおもしろいと思いました。

教育プログラムのWorldClassroomも同時にスタートしたのですが、コロナ禍もあり、予想以上の反響があって、海外との交流というニーズがあるんだなと手応えを感じました」


弁護士資格を持つCEOの冨田啓輔さん
弁護士資格を持つCo-CEOの冨田啓輔さん

異国の友人を作ることが平和への近道

もう一人のCEOである冨田啓輔さんは、ワーケーションで沖縄に滞在し、その多様性に魅力を感じます。野中さんと出会い、その想いに共感。まちなか留学をさらに発展させたいと、ともに事業を進めることになりました。

「中学・高校時代に海外でホームステイをした経験があり、外国の暮らしに憧れました。大学時代は自転車サークルに所属して、夏休みには一人で台湾やチュニジア、イタリアなどを自転車で旅しました。海外で文化の違う人たちと話すと楽しいし、その国が身近になります。

漠然とですが、いつか世界を感じられる仕事がしたいなと思っていました。

その後、弁護士として働いた後、カリフォルニア大学のバークレー校に留学。バークレーは世界中から人が集まる多様性の街で、母語が違ってもみんな英語でコミュニケーションを取り、異文化を理解し合う平和で開放的な街でした。

昔、自分がしたかったのは、世界と関わる仕事だったことを思い出し、野中さんとの出会いもあって今に至っています。

海外留学は費用の面でハードルが高く、実現できるのは一部の選ばれた子どもだけという現状がありますが、本来、異文化交流の機会はすべての子どもに開かれるべきです。

私たちは、まちなか留学基金を設立して、まちなか留学とまちなかENGLISH QUEST を無償で提供することで、子どもたちが平等に世界と繋がれるようなサポートをしたいと思っています」


広報担当の兒玉優香さん
広報担当の兒玉優香さん
 

広報を担当する兒玉優香さんは、もともと子どもの英語教育とキャリア教育に興味があり、HelloWorldに入社。WorldClassroomを誰もが国際交流を経験できる多様性のインフラとして、日本全国・世界の学校で、公教育の当たり前にすることを目指しているといいます。

「英語が苦手だと感じて、自分にはできないと思い込んでいる子も少なくありません。しかし、実際にWorldClassroomで海外の同世代と英語で会話し、伝わったという成功体験は、そんな意識を大きく変えています。

その結果、もっと英語を頑張りたい!とモチベーションが高まる子も増えています。

まちなか留学のようなホームステイは、気持ちの上でちょっとハードルが高い、という子どもには、街歩き感覚で参加できる、まちなかENGLISH QUESTが気軽な国際交流になっています。さまざまな層に合った国際交流のプログラムを用意することで、より多くの子どもたちが多様性に触れる機会を得てほしいと思っています」


コザの一番街
昼間は静かな一番街商店街ですが、夕暮れからは異国情緒漂う雰囲気に

日本、中国、台湾など、さまざまな国籍のスタッフと富田さん
日本、中国、バングラデシュなど、さまざまな国籍のスタッフと冨田さん

WorldClassroom中のスタッフは、日本と海外の教室を見守ります
WorldClassroomのスタッフは、日本とインドネシアのオンライン国際交流を見守ります。時に会話を促したり、困っていることがないかなどをチェックします

カリキュラムを作成中するスタッフ「英語で失敗したら恥ずかしい」という子どもには、AIキャラクターとの英会話練習も。スタッフがオンラインで活用をサポートします

若者の「やりがい」を育む社風

沖縄本社には、中国や台湾、ブラジルなど10カ国の外国人を含む約30名のスタッフが在籍し、日本語と英語がちゃんぷるーに飛び交います。固定のデスクは特になく、必要に応じた環境で仕事をします。

この日、WorldClassroomで日本とインドネシアの中学校を繋いでいた大城朝志さんは「一生懸命、英語でコミュニケーションを取ろうとする子どもたちが、お互いに頑張って、通じ合った時の喜びを見ていると、こちらも本当にうれしくて、この仕事をやっていてよかったなと思います」。

琉球大学在籍時にインターンとして参加し、そのまま就職したスタッフも多く、みな「働きやすい、やりがいのある会社」と笑顔で答えてくれました。

子ども達の未来を開く国際交流

沖縄市商工会議所のセレモニー

ホームステイに出発する前と終了時には、沖縄県内の会場でセレモニーを行います。ホストファミリーとの別れが悲しくて、泣いてしまう子どももいるそう
 

この日はオランダ人のホストファミリー宅に半日間お邪魔した子ども達
この日オランダ・カナダ出身のホストファミリー宅に半日間お邪魔した子どもたち。オランダの家庭料理を楽しくつくりました

みんなでゲームをしながら少しずつ打ち解けてきたよう

みんなでゲームをしながら少しずつ打ち解けてきたよう。英語で質問もできました

未来へ向けたミッション

「HelloWorldでは、国際交流を届けるその先に、多様性を社会に実装する、というミッションを掲げている」と野中さん。

SNSなどの影響で、人は自分の興味のある情報にしか触れず、異なる価値観を持つ人々と交わる機会が減っています。そんな時代だからこそ、子どもたちが実際に外国人と触れ合うことで、違いに気づき、共通点を見つける、世界に関心を持つといった経験が重要だといいます。

実際にまちなか留学やWorldClassroomを経験した子どもたちは、例えば、韓国で大統領選があったと聞いた時に、「あ、韓国の友達と話したことがある」と、そのニュースに少し興味を持つようになる。そうした体験が他者への関心を育み、分断のない持続可能なイノベーションが生み出される社会のきっかけになる。

子どもたちの未来へ向けたHelloWorldの取り組みは、まだまだ始まったばかりです。

 

HelloWorld

https://inc.hello-world.city/

沖縄CLIP編集部

TVアーカイブ配信中

放送日:2025.04.07 ~ 2025.04.11

  • 放送日:2025.04.07

  • 放送日:2025.04.08

  • 放送日:2025.04.09

  • 放送日:2025.04.10

  • 放送日:2025.04.11

同じカテゴリーの記事

しまんちゅ旅はじめました