「かすりの里」の道を歩く(南風原町)
「かすりの里」の道を歩く(南風原町)
Reading Material
歴史文化
放送日:2023.10.23 ~2023.10.27
初回投稿日:2023.12.30
最終更新日:2024.05.24
最終更新日:2024.05.24
心地よい「シャーラ、トントン」の響き
日本のかすりの源流とも言われる、琉球かすり。その生産地として知られる南風原町には、「かすりの道」と呼ばれる工芸の道があります。本部、喜屋武、照屋の3つの集落をまたがる約2kmの道すがらには、かすり模様を施した石畳や壁タイルがあちこちに散りばめられ、大小さまざまな工房や、織り上がった反物を洗う洗濯屋、全国的にも珍しい織機の製作所など、かすりづくりに関連するお店が点在しています。
晴れた日には、洗濯屋の軒先で鮮やかな反物が風に揺れる風景が見られるかも知れません
本部集落にある丸正織物工房を訪ねると、「シャーラ、トントン」という、かすりを織る機織りの音が聞こえてきました。いつまでも聞いていたくなる、心地よいリズムです。最近は自宅で機織りをする人が減り、昔ほどよく聞こえなくなったそうですが、「シャーラ、トントン」という言葉は、今でもかすりの里を象徴する音色として親しまれています。
機音に誘われて丸正織物工房へ。シャーラは、布の間に杼を滑らせる音、トントンは、筬で糸を締める音
続いて、同じ本部集落にある大城廣四郎織物工房へ。ここでは、糸括り、染色などの力仕事を男性が担い、女性たちは機織りの工程を担当しています。琉球かすりには完成までにおよそ20の工程があり、それぞれの作業を分業で担うのが南風原の特徴です。工房名にある大城廣四郎さんは、戦後、琉球かすりの復興に尽力した第一人者。現在は3代目の一夫さん、お孫さんの拓也さんが伝統の技と、南風原ならではのかすりづくりを受け継いでいます。
かすり柄を入れるために、染める前に糸括りをする。歴30年、50年のベテラン職人もいるそう
琉球藍で糸を染める大城拓也さん。藍を含んだ重い糸束を絞るのは、男性が担う力仕事
晴れた日には、洗濯屋の軒先で鮮やかな反物が風に揺れる風景が見られるかも知れません
本部集落にある丸正織物工房を訪ねると、「シャーラ、トントン」という、かすりを織る機織りの音が聞こえてきました。いつまでも聞いていたくなる、心地よいリズムです。最近は自宅で機織りをする人が減り、昔ほどよく聞こえなくなったそうですが、「シャーラ、トントン」という言葉は、今でもかすりの里を象徴する音色として親しまれています。
機音に誘われて丸正織物工房へ。シャーラは、布の間に杼を滑らせる音、トントンは、筬で糸を締める音
続いて、同じ本部集落にある大城廣四郎織物工房へ。ここでは、糸括り、染色などの力仕事を男性が担い、女性たちは機織りの工程を担当しています。琉球かすりには完成までにおよそ20の工程があり、それぞれの作業を分業で担うのが南風原の特徴です。工房名にある大城廣四郎さんは、戦後、琉球かすりの復興に尽力した第一人者。現在は3代目の一夫さん、お孫さんの拓也さんが伝統の技と、南風原ならではのかすりづくりを受け継いでいます。
かすり柄を入れるために、染める前に糸括りをする。歴30年、50年のベテラン職人もいるそう
琉球藍で糸を染める大城拓也さん。藍を含んだ重い糸束を絞るのは、男性が担う力仕事
「かすり」だけではない、奥深い魅力
東側にある喜屋武集落には、琉球かすりとはまた違う魅力を持つ、南風原花織を手がける工房があります。縦糸と横糸を1本ずつ交互に織る平織とは異なり、花織は2本、3本と横糸を飛ばしたりして模様を作り出す緻密な織り方で、まるで刺繍のように立体的に浮き上がった色柄が魅力です。「喜屋武という地域は昔から花織が盛んで、祖母がずっと織っていましたので、私も花織をやるようになりました」とは、手織工房清の湧川清美さん。花織を始めてみて、「おばぁってすごかったんだな」と祖母の凄さに改めて気づき、尊敬が深まったそうです。
多彩で繊細な浮柄が魅力の南風原花織。クァンクァン織など南風原だけで使われる名称もあります
かすりの道の一角には、国内に数軒しか残っていない手機織機の製作所もあります。「大城織機製作所」2代目の大城義政さんは、国の選定保存技術保持者にも認定された名工。何を織るか、また織り手の身長など細かなオーダーに合わせて、1台1台調整しながら織機を作っています。「設計図はないですね。この仕事をして長いから、もう頭に入っています」と大城さん。「自分の母親もそうですけれど、80代まで機織りをしていた人は頭の回転も早いし、手先を長く使っているからボケないし、健康なんですよ」と教えてくれました。
織機以外にも、糸車や杼など手織りに関係する道具を製作している大城さん。
多彩で繊細な浮柄が魅力の南風原花織。クァンクァン織など南風原だけで使われる名称もあります
かすりの道の一角には、国内に数軒しか残っていない手機織機の製作所もあります。「大城織機製作所」2代目の大城義政さんは、国の選定保存技術保持者にも認定された名工。何を織るか、また織り手の身長など細かなオーダーに合わせて、1台1台調整しながら織機を作っています。「設計図はないですね。この仕事をして長いから、もう頭に入っています」と大城さん。「自分の母親もそうですけれど、80代まで機織りをしていた人は頭の回転も早いし、手先を長く使っているからボケないし、健康なんですよ」と教えてくれました。
織機以外にも、糸車や杼など手織りに関係する道具を製作している大城さん。
「かすりの里」をこれからも
かすりの里の中心になっているのは、琉球絣事業協同組合のある「琉球かすり会館」です。
館内には、組合員が手がけた琉球かすりや南風原花織の着物やかりゆしウェアはもちろん、バッグやポーチなどの小物も販売されています。規格外品や反物のハギレを再利用して、若い感性で新しいかすりアイテムを生み出している新ブランド「Go-maai(ゴーマーイ)」も、サステナブルな取り組みとして注目されています。
会館はまた、琉球かすりの後継者育成の場でもあります。1980年から続いている後継者育成事業は、約8ヵ月かけて琉球かすりの技術を学ぶもので、町外からの応募も可能です。「本事業の卒業生たちは、町内の工房への就職率100%ですよ」と、宮城竹子理事長。琉球かすりの道は、ここでも未来に紡がれています。
琉球絣事業協同組合の宮城竹子理事長。後継者育成事業は、42年間、途切れることなく続いています
かすりや花織を余すことなく再利用するブランド「Go-maai」。若い感性で生み出されるアイテムが人気を集めています
かすりの里での機織りを生業とし、日々、糸や布と向き合っている女性たちからは「毎日が楽しい」「布が織り上がっていく工程が好き」「織りを通じていろんな発見があった」「私に幸せをもたらしてくれるもの」といった声が聞こえてきました。生涯を通じて続けられる手仕事が、女性たちの生き方に豊かさを与えています。
かすりの道
「かすりの道」の看板を目印にして、自由に散策することができます。駐車場は「琉球かすり会館」近くの南風原町商工会駐車場をご利用ください。
館内には、組合員が手がけた琉球かすりや南風原花織の着物やかりゆしウェアはもちろん、バッグやポーチなどの小物も販売されています。規格外品や反物のハギレを再利用して、若い感性で新しいかすりアイテムを生み出している新ブランド「Go-maai(ゴーマーイ)」も、サステナブルな取り組みとして注目されています。
会館はまた、琉球かすりの後継者育成の場でもあります。1980年から続いている後継者育成事業は、約8ヵ月かけて琉球かすりの技術を学ぶもので、町外からの応募も可能です。「本事業の卒業生たちは、町内の工房への就職率100%ですよ」と、宮城竹子理事長。琉球かすりの道は、ここでも未来に紡がれています。
琉球絣事業協同組合の宮城竹子理事長。後継者育成事業は、42年間、途切れることなく続いています
かすりや花織を余すことなく再利用するブランド「Go-maai」。若い感性で生み出されるアイテムが人気を集めています
かすりの里での機織りを生業とし、日々、糸や布と向き合っている女性たちからは「毎日が楽しい」「布が織り上がっていく工程が好き」「織りを通じていろんな発見があった」「私に幸せをもたらしてくれるもの」といった声が聞こえてきました。生涯を通じて続けられる手仕事が、女性たちの生き方に豊かさを与えています。
かすりの道
「かすりの道」の看板を目印にして、自由に散策することができます。駐車場は「琉球かすり会館」近くの南風原町商工会駐車場をご利用ください。
南風原町観光協会
- 住所 /
- 沖縄県島尻郡南風原町本部158
- TEL /
- 098-851-7273
- Webサイト /
- https://www.haebaru-kankou.jp/
- 丸正織物工房 /
- https://marumasa-orimono.com/
- 琉球絣事業協同組合 /
- https://ryukyukasuri.com/
TVアーカイブ配信中
放送日:2023.10.23 ~ 2023.10.27
-
放送日:2023.10.23
-
放送日:2023.10.24
-
放送日:2023.10.25
-
放送日:2023.10.26
-
放送日:2023.10.27
同じカテゴリーの記事
よみもの検索