食を通してふれる、沖縄の文化 《那覇市第一牧志公設市場》
食を通してふれる、沖縄の文化 《那覇市第一牧志公設市場》
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歴史文化
放送日:2023.10.30 ~2023.11.03
初回投稿日:2024.01.04
最終更新日:2024.07.12
最終更新日:2024.07.12
2023年3月、約4年の建て替え期間を経て、リニューアルオープンした那覇市第一牧志公設市場は今日も多くの人で賑わいます。今では那覇市民の胃袋的存在ですが、成り立ちは戦後にまで遡ります。戦前の那覇は、現在のゆいれーる旭橋駅のあたりが中心でしたが、第二次世界大戦の10・10空襲で壊滅。いつしか戦火を逃れた開南エリアに人が集まり、闇市が誕生しました。衛生面を危惧した那覇市は近隣の湿地帯で空き地だった牧志エリアに市場を建設。那覇市第一牧志公設市場が誕生しました。
市場の成り立ちは、戦後の歩みとともに
1950年ごろに廃材を使ったまるで長屋のような那覇市第一牧志公設市場がスタートしました。もののない貧しい時代でしたが、売り場に立つのはすべてが女性で、親戚や同郷のつてを頼ってものを仕入れては売り、日銭を稼いで子どもたちを食べさせました。当時の市場では、食材以外にも衣類や食器、雑貨など、暮らしに必要なものはすべて手に入ったそうです。
廃材を使った長屋のような市場
長屋の中はこんな感じ。ここは、市場の組合長、粟國智光さんの祖母(白いシャツの女性の後ろではかりを使っている女性)が創業した山城こんぶ屋。
廃材を使った長屋のような市場
長屋の中はこんな感じ。ここは、市場の組合長、粟國智光さんの祖母(白いシャツの女性の後ろではかりを使っている女性)が創業した山城こんぶ屋。
商売の原点、相対売り
山城こんぶ屋の三代目で組合長の粟國智光さんは、市場の最大の魅力である相対売りを大切にしています。相対売りはパッケージングした商品をただ並べるのではなく、お客さんから欲しい食材や量を聞いて、場合によっては違う品を提案したり、量を確認しながらお客さんが本当に必要な分だけを販売します。そうしたやり取りの中で、世間話や値引きの交渉、ありがとうのしーぶん(おまけ)と、会話が弾みます。
「山城こんぶ屋のお客さんとはもう何十年とお付き合いがありますよ。市場でやりとりされているのは単なる商品の売買ではなくて、人と人とのつながりです」と智光さん。市場の建て替えにあたっては、売り場はお客さんと目線が合いやすい高さであることを重要視しました。
40年前から使用している山城こんぶ屋のはかり。単位は今でも斤(1斤=600g)を使っています。
粟國さんのお母さん、平和子さんは、祖父母が始めた山城こんぶ屋を何十年も見守ってきました。「市場を知らない人はね、毎日お店で退屈しないの?と聞きますが、とんでもない! 毎日いろんなお客さんが来て、お話を聞かせてもらって、こんなに情報がもらえる刺激的な場所はありませんよ。このお客さんが喜ぶ品はなんだろう? 考え巡らせる時間が楽しくて仕方がありません」
山城こんぶ屋のおもてなしの真心は、智光さんにもしっかりと受け継がれているようです。
「お客さんと信頼関係を育むためには、相対売りとしーぶんの心が大切」と平和子さん。
「山城こんぶ屋のお客さんとはもう何十年とお付き合いがありますよ。市場でやりとりされているのは単なる商品の売買ではなくて、人と人とのつながりです」と智光さん。市場の建て替えにあたっては、売り場はお客さんと目線が合いやすい高さであることを重要視しました。
40年前から使用している山城こんぶ屋のはかり。単位は今でも斤(1斤=600g)を使っています。
粟國さんのお母さん、平和子さんは、祖父母が始めた山城こんぶ屋を何十年も見守ってきました。「市場を知らない人はね、毎日お店で退屈しないの?と聞きますが、とんでもない! 毎日いろんなお客さんが来て、お話を聞かせてもらって、こんなに情報がもらえる刺激的な場所はありませんよ。このお客さんが喜ぶ品はなんだろう? 考え巡らせる時間が楽しくて仕方がありません」
山城こんぶ屋のおもてなしの真心は、智光さんにもしっかりと受け継がれているようです。
「お客さんと信頼関係を育むためには、相対売りとしーぶんの心が大切」と平和子さん。
「持ち上げ」で、沖縄の食文化を楽しむ
今では人気のサービスとして定着している「持ち上げ」。1階で購入した食材を2階の食堂で調理していただくシステムで、沖縄の旬の食材をおすすめのおいしい調理法でいただけるとあって、観光客にも地元民にも人気があります。1990年、旧第一牧志公設市場で始まった持ち上げは、「食事処ツバメ」を営む台湾出身の張陳雪貞さんが考案しました。台湾では市場で素材を選んで調理するのは定番のサービスだそう。お店の人とコミュニケーションを取りながら、沖縄の食文化に触れる絶好のチャンスですね。
カラフルな魚が並ぶ鮮魚店で、お店の人からおいしい食べ方を教えてもらい2階で調理してもらう。持ち上げは精肉店でも行っている。
「お客さんからおいしい食べ方はないか?」と聞かれたことがきっかけで、台湾の持ち上げを思い出したという張陳雪貞さん。
カラフルな魚が並ぶ鮮魚店で、お店の人からおいしい食べ方を教えてもらい2階で調理してもらう。持ち上げは精肉店でも行っている。
「お客さんからおいしい食べ方はないか?」と聞かれたことがきっかけで、台湾の持ち上げを思い出したという張陳雪貞さん。
市場は世代をつなぐ架け橋
旧第一牧志公設市場から続くお店が多い中、市場に立つ人はほとんどが女性で、「あんまーの市場」と呼ばれていましたが、世代交代を繰り返す中、現在は男性の姿も目立ちます。また、若い後継者たちも市場に手応えを感じているようです。
「新しい市場は沖縄の生活文化を感じてもらえるような工夫や多様性にも配慮したまちやぐゎーになっています。沖縄の真心が詰まった市場を次世代に繋げていきたいですね」と粟國さんが話してくれました。
男性の姿もチラホラ
「新しい市場は沖縄の生活文化を感じてもらえるような工夫や多様性にも配慮したまちやぐゎーになっています。沖縄の真心が詰まった市場を次世代に繋げていきたいですね」と粟國さんが話してくれました。
男性の姿もチラホラ
那覇市第一牧志公設市場
- 住所 /
- 沖縄県那覇市松尾2-10-1
- TEL /
- 098-867-6560
- 営業時間 /
- 8:00~22:00(2階食堂 L.O. 20:00)
- 定休日 /
- 第4日曜(12月は毎日営業)
正月、旧正月、旧盆(店舗により異なる)
- Webサイト /
- https://www.makishi-public-market.jp/
TVアーカイブ配信中
放送日:2023.10.30 ~ 2023.11.03
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放送日:2023.10.30
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放送日:2023.10.31
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放送日:2023.11.01
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放送日:2023.11.02
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放送日:2023.11.03
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