自然に近い暮らしを求めて《まるみつこうさく》
自然に近い暮らしを求めて《まるみつこうさく》
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歴史文化
放送日:2025.02.10 ~2025.02.14
初回投稿日:2025.02.17
最終更新日:2025.02.17
最終更新日:2025.02.17
読谷村のサトウキビ畑を抜けると、美しく手入れされた楽園が広がっていました。
ここは、家具の制作や建築、空間プロデュースを行うKazさんと、天然素材を使った塗装やワークショップを主宰する奥様のTamaさん二人のアトリエであり、自然を感じる大切なガーデン。
そして、二人が心がけている、できるだけ環境に負荷をかけないものづくりを実践する場所です。
古材や廃材を利用して、さまざまなデザインを生み出すKazさん
土から生まれて土へ還る天然顔料「ベンガラ」
KazさんとTamaさんが、ともに仕事や暮らしに取り入れているのが、「ベンガラ」という天然の顔料です。ベンガラは、土から生まれて土へと還る、環境循環型の歴史上に残る最古の赤色顔料です。
日本には、インドのベンガラ地方の土が輸入されたため、ベンガラと呼ばれ、文字にすると、「弁柄」や「紅殻」、または「インド赤」ともいいます。
首里城を象徴する赤い柱もベンガラで塗装されています。ベンガラは、着色力や隠蔽力、防腐、防虫、耐熱、耐水性にも優れています。
ベンガラを水で溶かして、材木に塗っていきます。刷毛よりも手で塗り込むほうが木に馴染みます
ショールームの役割も果たしている小屋は温かみのある空間です。少量のベンガラで、かなりの広範囲をカバーできます
布にベンガラを含ませて、塗り込んでいきます。手についたベンガラはお湯で洗えば大丈夫
島で水と土の尊さを学ぶ
海のない栃木県出身のTamaさん。東京で働きながら休暇には、国内外を旅する生活を送っていました。中でも、日本の小さな島々を巡るのが大好きだったそうです。
その後、旅で訪れた鹿児島県の種子島に移住。人々の輝くようなエネルギーに惹かれました。
「種子島では、食料の自給率が100%を超えていて、自然と共に暮らせる環境が整っていました。島での生活を通じて、自然の大切さを学び、心の安定を得ました。種子島の温泉プール施設で働く中、さらなる学びを求めて、海水の専門機関のある沖縄に来ることになりました。
種子島での自然と繋がる暮らし経て、環境に負荷をかけない循環型の生活を何よりも大切にしたいと思いました。
沖縄でのKazとの出会いで、住環境をどう豊かに整えていくか見直し始め、娘の誕生を機に、夫も環境への意識が強くなりました。
そんな中、Kazの故郷である大阪の建築現場で、代々ベンガラを受け継いでいるという方と出会い、そのシンプルさと心地よさに感動しました。さらに、不要になった塗料は土に還せるので、ゴミが出ないんです。その使いやすさは島である沖縄にとても合っている、これは残していきたい技術だと思いました」
以来、大工仕事はKazさん、ベンガラで塗装する仕上げはTamaさんの担当です。
ワークショップでベンガラの楽しみ方を伝えたい
Tamaさんは、ベンガラのよさを多くの人に知ってもらいたいと、不定期でワークショップを開催。今日はベンガラで布を染めていきます。
「例えば、汚れた衣類を染め直して、その服をよみがえらせる喜びも感じていただけたら。新しいものを買う前に、今あるもので楽しみ、使い尽くす、遊び尽くすことも大切にしたい。
子どもが自分で洋服を染めたり、絵を描いたり、アートのひとつとしても楽しめる、そんなベンガラの遊び方も伝えていきたいです」
天然の着色を追加したベンガラのカラーバリエーション
舐めても安全な天然塗料なので、子どもも安心。画材として使用してもOK
仕上がった美しいベンガラ染め。色止めには土のアルカリ性をミョウバン(酸性)で中和させます
バナナや芭蕉、月桃、野草など、さまざまな沖縄の植物たちが、エネルギーに満ち溢れた空間を演出しています
自然と過ごす心地よさを感じてほしい
10数年前にKazさんがこの土地を借り受けた時には、植物がジャングルのように生い茂り、人が一人通れるぐらいの道しかなかったそうです。数年かけて片付けをしながら、Tamaさんと少しずつ苗を植えて、今の空間を作り上げました。
Tamaさんは、ワークショップなどでこの土地を訪れる人たちには、自然と過ごす心地よさを感じてほしいと話します。
「ワークショップでは、庭に生えている野草でお茶やコスメを作ったり。高級なオーガニック品を海外から取り寄せなくても、その土地にあるもので、いくらでも生み出していけることも伝えられたらいいな」
まるみつこうさく
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放送日:2025.02.10 ~ 2025.02.14
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放送日:2025.02.10
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