アートで心を自由に《画家 山本マーサ》

アートで心を自由に《画家 山本マーサ》

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歴史文化

放送日:2025.03.17 ~2025.03.21

初回投稿日:2025.03.24
 最終更新日:2025.03.24

最終更新日:2025.03.24

アートで心を自由に《画家 山本マーサ》 クリップする

しまんちゅ旅はじめました

父がほめてくれた子ども時代

やんばるの森と美しい海に恵まれた名護市の嘉陽集落
やんばるの森と美しい海に恵まれた名護市の嘉陽集落
 

名護市の東海岸、自然豊かな嘉陽集落で、奥様と一人息子の天心くん(2歳)と暮らす画家の山本マーサさん。

二十数年前に大阪から宮古島へ移住。約11年間宮古島で暮らした後、那覇へ。大阪でも宮古島でも、学童など子どもと関わる仕事につき、1年前に那覇から嘉陽地区へ引っ越しました。

現在は画家として活動しながら、幼稚園児のアートクラスやフリースクールで絵画の授業を受け持ち、子どもたちにアートに触れる楽しさを教えています。

 

「専門職だった父親は若い頃からずっと絵を描いていたようで、アーティスト気質の人でした。僕は最初から絵が好きというよりはへんなことばっかりやっていました。タコの吸盤を食いちぎって机のヘリにくっつけて遊んだり、ちょっと奇怪な行動をしてよく親に怒られていました(笑)。

図工の授業でフクロウの彫刻を作った時、人間の手を翼にしたデザインを考えたら、父親が”お前は天才だ“とほめちぎってくれたんですね。

絵を描いても、いつも上手や! ってものすごくほめてくれた。それがなんかうれしくて。

子どものころから両親が共働きで忙しかったので、僕はずっと学童で絵を描いていた気がします」


自宅で創作する山本マーサさん
自宅で創作するマーサさん。集中すると何時間でもキャンバスに向かっています

幻想的な山本マーサさんの作品
幻想的なマーサさんの作品

山本マーサさんの作品

マーサさんは見たものを描くよりは、心のままに筆を動かすことが多い

山本マーサさん
「僕はちっさい子どもとめっちゃ話が合うんです。僕が子どもだからかな(笑)」

ものづくりは自由

那覇で学童のスタッフとして働いていたころ、子どもたちと一緒に絵を描くことはありましたが、正式に絵を教えるとは思っていませんでした。

ある時、友人から紹介された絵画教室へ見学に行ったマーサさん。

その絵画教室は自由で、誰もができる方法で楽しく素敵な作品を作る場。

技術指導よりも創作の楽しさを重視していて、マーサさんはとても感銘を受けました。

例えば、ろくろに丸い画用紙を設置して、回しながら絵の具で絵を描いたり、いろいろな楽器を鳴らし、その音の印象を絵にしてみたり、青いプラスチックコップを大量に準備して、部屋全体に並べたり積み上げたりして、すごい空間を作ったり。

「うまくいえないけれど、自分もああいった楽しさや感動を、子どもたちと共有したいと思いました」

その後、自分のアトリエを持ち、本格的に創作をスタート。

絵画教室で学んだことを活かしつつ、自分なりの工夫を加えて、子どもを対象にした絵画教室も開始し、喜ぶ子どもたちから、たくさんの幸せとやりがいをもらいました。

アトリエでの活動をきっかけに、放課後の児童クラブでアートクラスを担当するように。イベント的にワークショップを開催するなど、活動の幅が広がり、現在につながっています。

沖縄市知花の「志塾フリースクールLINO」でアートの授業
沖縄市知花の「志塾フリースクールLINO」でアートの授業。真剣な顔でモデルに挑みます。見たままでもいいし、心で感じたことを表現するのでもいい自由な時間。言葉にできない感情も子どもたちは絵で表現します

旧嘉陽小学校を活用した、美ら島自然学校で近所の子どもたちを集めてワークショップ
旧嘉陽小学校を活用した、美ら島自然学校で近所の子どもたちを集めてワークショップ

絵具を使ったワークショップ
今日は絵の具を使って遊びます。色水でどんな表現ができるか、わかりやすく子どもたちに伝えます

色水を布に垂らすシンプルな作業
きれいな色水を布に垂らすシンプルな作業ですが、みんなで作り上げる楽しさがあります

アートは気持ちを表すツール

「保育園の子どもたちは、何をやってもとにかく無邪気に楽しんでくれる。

成長するにつれて、 楽しいだけではなくて、うまく描けないと恥かしいとか、自信がないとか、いろいろな葛藤が生まれるんですけど、僕は、もう君らは最高やから、もう、めっちゃいいわっ!てほめまくります。実際、どの作品もめっちゃいいんですけど。でもこういう声がけがスイッチになって、素敵なものをどんどん作るんですよ。そういう子どもたちの姿に僕はいつも感動させてもらっています。 心がけていることは、絶対に無理強いはしないってことですね」

山本マーサさんの作品
辛い経験があり、誰にも心を開けなかった時にマーサさんが描き始めた絵

絵に救われた人生

マーサさんには、精神的にものすごくきつい時代がありました。そんな時、子ども園を運営する友人に誘われて、思い切って園に足を運んだそうです。

「僕は本当にボロボロだったんですけど、子どもたちと触れ合っていたら、なんか元気になったんです。

同じ頃、精神科医の知人が、苦しみの表面でパチャパチャするのでは無く、一番底の深いところにある感情をすくい上げて絵にぶつけろ。お前には絵があるのだからと。

それから絵を描き続けて、描き続けて、だんだん元気になってきたんです。神様、僕に絵を描かせてくれてありがとう! 心からそう思いました」

 

筆を持ち絵を描く子ども
長男の天心くんは二歳。無邪気に筆を遊ばせます

山本マーサさんと家族
マーサさんにとって、何より大切な家族。自宅のそばの海で散歩

これからも嘉陽で絵を描き続ける

嘉陽に引っ越してきてから、マーサさんの創作が変わったと、奥様のみゆきさんにいわれるそう。

「多分ね、環境は影響していると思うんですよね。海がすぐ近くにあるんで、暇があったら家族と海に行って、散歩したり、貝殻を拾ったり。

自然が身近にあるということに加えて、嘉陽の皆さんは豊年祭や伝統など、文化的なことをとても大事にされています。よそから来た僕たちを温かく迎え入れてくれて、行事にも参加させてくれて。もう感謝しかないですね」

来年には、画家としての活動を本格化する予定だというマーサさん。

今年はそのための準備や、ライフワークでもある龍の絵を描き続けられる、広いスペースを探したいそう。

「これまでもこれからも、絵は僕の道標。自分が絵に救われたように、僕の絵が、誰かの何かのきっかけになれたら嬉しいなと思います。嘉陽の自然と人々に囲まれて暮らしながら、いずれは世界的なアーティストになるのが目標です」

 

山本マーサ

https://www.instagram.com/masahiro_artwork/

沖縄CLIP編集部

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放送日:2025.03.17 ~ 2025.03.21

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