ふるさと今帰仁を知る 今帰仁村の校外学習

ふるさと今帰仁を知る 今帰仁村の校外学習

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歴史文化

放送日:2024.12.02 ~2024.12.06

初回投稿日:2024.12.10
 最終更新日:2024.12.10

最終更新日:2024.12.10

ふるさと今帰仁を知る  今帰仁村の校外学習 クリップする

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今帰仁村ならではの取り組み

沖縄県の北部に位置する今帰仁村の三つの小学校(今帰仁、兼次、天底)では、地域の自慢を探しに行く校外学習が行われています。
 
もともとは、“地域の仕事を知る”という沖縄県の補助事業としてスタートした授業でしたが、地域の反響が大きく、県の事業が終了した後は、学校や地域の協力の元、村独自で継続し、今年で10年目になります。
地域のヒト・コト・モノを教育資源と捉えて、教科書に記載されている内容とつなげていくことを目的とし、1年生から6年生までの児童、約600名を対象に、「教室にホンモノ届けます」をキャッチコピーとした授業を行っているのは、今帰仁村教育委員会学校教育課に所属する地域連携コーディネーター兼キャリア教育コーディネーターの上間哲朗さん。

上間さんは、生まれも育ちも今帰仁村で、村を知り尽くした子どもたちの大先輩です。
 

今帰仁 子供達へ指導する上間さん
シーカヤックのこぎ方を説明する上間哲朗さん

教科書の外の学びを楽しむ

「 教科書の事例は遠い地域のことばかりですが、その内容は、今帰仁の地域のヒトやモノ、コトともつながっていることを、子どもたちに肌で、心で感じて欲しいと毎回の授業を考えています。

教科は、生活・社会・理科・総合的な学習の時間を始め、国語や学級活動の授業プログラムまで幅広く対応しています。
 
 2年生のせいかつぐらいから、僕が入ることが多いですね。畑作りや地域の農家や様々な職種の人に話を聞きます。
 
3年生は、社会や総合学習のテーマが地域の自然なので、僕が子どもと遊んでこれは! と手応えがあった内容を授業にしています。全部事前に息子で試してるんですよ。もう遊びが一石何鳥にもなっています(笑)。
 
高学年になると、もっと本格的な産業などにも興味を持ちますね。
 
現在、今帰仁村の学校に勤務する先生のほとんどが村外出身ということもあって、村のことを知りません。今では先生たちの学びたい!という意欲がまた次の新たな授業を生むことにもつながっていきます」
 
と上間さん。
 
過去に行った授業は、50種類以上。例えば、牛舎見学、漁協セリ市場見学、買い物調べ、浜下りって何? 平和学習、木灰そば作り、村内を自転車で回る、選挙について、クワガタ採集、乙羽岳から今帰仁を見るなど、地域の仕事から自然、伝統、文化、風習まで、ありとあらゆる日常が授業になっています。

シーカヤックで、水辺の今帰仁を満喫

今帰仁 シーカヤックを楽しむ様子
今日は、シーカヤックで海から河口域に生息するマングローブを巡り、地元大井川の中流を目指します


今帰仁 親子でシーカヤックを楽しんでいる
校外学習には親も参加。上間さんは「親子共学」と呼んでいます


今帰仁 シーカヤック中に白鷺を発見した親子
羽を休める白鷺に遭遇。なんと豊かな体験でしょう。途中でゴミを見つけた子どもたちは、率先して拾いに行きました


今帰仁 大井川 ウナギを探す子供達
普段は橋の上からしか見ることのない大井川で、パイプに潜む大ウナギを探すも、この日は見つけられませんでした


今帰仁 アルミ缶の上に座る琉詩朗君
アルミ缶を集めて誇らしげな息子の上間琉詩朗くん

授業にシーカヤックを取り入れたきっかけは、上間さんの息子、琉詩朗くんとの遊びからだったそうです。
 
「そとであそ部」と名付けた休日のアウトドアは、琉詩朗くんが成長するにつれてどんどんレベルアップ。そんな時、
 
「小さな船を買ってみるか?」と琉詩朗くんに聞いてみたところ、「どうやって買うの?」「アルミ缶や古紙をいっぱい集めて売りにこう。頑張って何回もやってお金をためて、シーカヤックを買おう!」
 
当時まだ5歳だった琉詩朗くんですが、自分の力で見事にシーカヤックを手に入れました。

遠い教科書を学びながら、 地域の産業を知る

この日は、今帰仁漁協の人たちの協力を得て、今帰仁村の水揚げ高No.1のタマンの稚魚を海へ放流しました。子どもたちにとっては、食卓に上るのが当たり前のタマンですが、実は沖縄県の高級魚です。
 
「小学校5年生の授業で水産業の学習があるんですが、教科書では、北海道のサンマ漁や鹿児島県のカンパチの養殖など、沖縄からは遠い地域の学びをするんですよ。
 
村内の漁業についても学ぼうよ、ということで、若いウミンチュに声をかけて、漁の道具である水中銃を見せてもらったり、地元で獲れた魚捌き体験なども行っています」

今帰仁 タマンの稚魚
今日は今帰仁・兼次・天底小学校の5年生100人が約1000匹の稚魚をウッパマビーチに放流しました


今帰仁 稚魚を放流する子供達
校区をまたいだ授業は、生徒たちの交流の場にもなります


今帰仁 タマンを捌く体験を楽しむ子供達
タマンの魚捌き体験では、自分たちで三枚おろしを作り、ずけ丼にしました


今帰仁 上間さん
「知ること」で、子どもたちの将来の可能性が必ず開くと信じています

子どもを通して、親が変わる、 先生が変わる、学校が変わる、 社会が変わると信じて

「校外学習から帰ると、子どもたちが家ですごくしゃべるんですって。今日はこんなところ行った、こんなもの見たよって。で、親から問い合わせが来るんです。今帰仁にそんな場所あった?って。じゃあ、自分たちもそこに行ってみたい! そんな感じで保護者が学校に興味を持ち始めて、さらに子どもたちの反響が大きいから、先生もノリノリになってきて。
 
僕がやってることは郷育なんですよ。子どもにも今帰仁を楽しんでる大人の姿を見せてやりたい。それって未来が明るいじゃないですか。
 
僕は子どもたちに、将来は自分の好きなことをしたらいいよっていってます。好きなことが、ふるさと今帰仁で見つかったら嬉しいし。
 
僕たちは今、村の将来を背負って立つ子たちを今育てているんですから」


今帰仁村教育委員会
https://www.nakijin.jp/pagtop/kosodate/kyoiku_iinkai/index.html
 

沖縄CLIP編集部

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放送日:2024.12.02 ~ 2024.12.06

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