未来に残したい沖縄の観光のカタチ《うちなー旅》
未来に残したい沖縄の観光のカタチ《うちなー旅》
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歴史文化
放送日:2024.01.29 ~2024.02.02
初回投稿日:2024.02.15
最終更新日:2024.03.27
最終更新日:2024.03.27
大学生が伝える、私たちの沖縄
宜野湾市のコミュニティスペース「トポセシア」で、真剣にディスカッションを重ねる沖縄在住の大学生たち。彼らは、「100年先まで残したい沖縄」をテーマに、新しい観光プログラムを生み出している「うちなー旅」のメンバーです。「うちなー旅」は、地元の大学生が見て聞いて感じたリアルな沖縄、そこにある本当の魅力を、ローカルな視点から紹介するプロジェクト。
観光で訪れた方々にもっと沖縄を好きになって頂きたい。そして、自分たちの愛する沖縄を、この先ずっと良い形で未来につないでいきたい。メンバーたちは、そんな思いで自ら観光地の視察を行い、その土地の人たちとコミュニケーションを取りながらツアープログラムを作成。当日は観光客とともに土地を巡り、ガイドを行います。
メンバーは、1年ごとの入替制。4期生となる2023年度は、具志知樹(ぐしともき)さん、津波璃子(つはりこ)さん、山城桃花(やましろももか)さん、岡森由花(おかもりゆうか)さんの4人が集結。4月のスタート時より、それぞれの沖縄への思いや、新しい観光のアイデアを話し合いながら、冬に実施となるツアーに向けて、準備を進めてきました。
「リゾート地である沖縄は、オーバーツーリズム問題もあり、“責任ある観光”とは、どんなものだろうとずっと考え続けてきました。観光で訪れた皆さんに、“海がきれい”だけではない沖縄を知って頂いて、沖縄を本当に好きになってもらえるような新しい観光の形ってないのかな?って。そんなとき『うちなー旅』を知って、自分がやりたかったことはこれだ!とビビッと来て、応募しました」(津波さん)
「自分は沖縄に生まれ育ったのに、実は地元について知らないことばかり。観光に関してもどこか人任せにしている部分がありました。でもそれでは、うちなーんちゅとして恥ずかしい。沖縄の文化歴史を深く知り、沖縄愛をもっと深めたいと思って参加しました。『うちなー旅』では学ぶことも多く、それを今度は観光客の方々に伝える役割も担えて、とても光栄なことだと感じています」(具志さん)
出会って知った、うるま市の魅力
メンバーが今年度のツアー地として選んだのは、沖縄本島中部の東海岸に位置するうるま市。実は4人は、今回の視察で訪れるまで、うるま市のことをほとんど知らなかったそうです。訪ねて知ったのは、うるま市は4つの市町が合併してできた都市なので、地域ごとに異なる歴史文化が残っていること、その一方で、観光客の滞在時間が短い通過型観光地の傾向があること。
「実際に現地を歩き、土地の人たちと話すことでガイドブックやネットには載っていない素晴らしい観光資源がたくさんあることを知りました。観光客の方々がもっと滞在したいと思ってくださる魅力がいっぱいあるので、それをしっかり私たちが伝えていきたいと思いました」(岡森さん)
ツアーの始まりは、ユネスコの世界遺産に登録された勝連城跡と、そのふもとにできた新施設「あまわりパーク」。勝連城跡は、うるま市の代表的な観光名所ですが、メンバーたちが大切にするのは、自分たちならではのガイド。階段を登っていくときの歩くスピードや、女性らしい石垣の曲線美のこと、御嶽(ウタキ)や井戸(カー)といった沖縄特有の文化など、自分たちが実際に歩いて回り、気づいたこと、感動したことなどを自分たちの言葉でゲストに伝えることを心がけています。
頂上からは、うるま市を360度見渡せる絶景。ゲストの皆さんと一緒に、その景色を眺めながら、「これから訪ねる地域が、あそこに見えますよ」、「あの地域のこんなところが素敵なんですよ」と、うるま市のことをお話したいと考えています。
阿麻和利(あまわり)が教えてくれたこと
まずは「あまわりパーク」を訪ねてから、勝連城跡に登城して頂きたい。そんなツアー行程も、メンバーのこだわりのひとつ。「あまわりパーク」の歴史文化施設館には、琉球王朝や勝連城跡の歴史、勝連城跡の最後の按司・阿麻和利の軌跡などが展示されています。
「何も知らずに登城するのと、ここでいろいろな歴史や背景を知ってから登城するのとでは、だいぶ気持ちが違ってくると思うんです。阿麻和利のことに想いを馳せたり、琉球王朝時代を想像したり、ゲストの方がお城に立ったとき何か思いが深くなるようなお手伝いをしたいと考えて、この順番を決めました」(津波さん)
阿麻和利は、歴史上、琉球政府の反逆者と言われることもある人物。けれど、地元では住民の暮らしを豊かにした英雄として崇められている。メンバーたちは、そんな阿麻和利を巡る二面性を、ゲストの方に伝えたいと語ります。
「事実はひとつでも、見え方によってものごとは180度変わる。阿麻和利の二面性は、自分たちの活動に重なる部分もあるなと感じました。観光客の方たちが見ている沖縄と、地元の私たちが見ている沖縄。その考え方についても、ゲストの方に伝えられたらいいなと思っています」(津波さん)
ふつうの風景にある、大切な文化
メンバーたちは、うるま市の視察を重ねる中で、さまざまな素敵な人と出会いました。そのひとりが、勝連城跡のふもとにある南風原区の区長・野島大雅(ひろまさ)さんです。
「みんなで南風原区一帯を回っているときに、“これはなんだろう? どんな歴史があるんだろう?”と、疑問に思ったことを地元の方たちに尋ねていたんですが、皆さん必ず“区長さんに聞いたらいいよ”っておっしゃるんです。それで、区長さんを訪ねて公民館に行ったら、集落を一緒に歩きながら、いろいろな歴史を教えてくださって、たくさん勉強させて頂きました」(具志さん)
南風原区は、1726年に勝連城跡南側の元島原から移動した村であること、その移動を指導した人が前浜親雲上(カッチンバーマー)という人物であり、偉人として祀る報恩社が今もあること。それから、村の移動のとき、邪気払いとして村の東西南北に置かれた村獅子のことや、ノロ殿内や神獅子、井戸など、地元の人たちが大切に守ってきた文化のこと。のどかな集落の景色の中に、こんなにも沖縄の大事なものが存在していたなんて。メンバーたちは、そんな驚きと感動があったと語ります。
「何も知らなかったら気づかず通り過ぎてしまうような、ふだんのなにげない道にいろいろな意味があって、深い歴史がある。そう思うとだんだん楽しくなって、もっと沖縄のことを知りたいと思うようになりました。観光客の方にも、そんなふうに感じて頂きたくて、南風原区をツアーコースに組み込ませて頂くことにしました」(津波さん)
南風原区に生まれ育ったという区長の野島さんも、「大学生が自分の地元に興味を持っていろいろ尋ねてくれることで、自分も地元のことを改めて学び、地元の良さを再確認する機会をもらっています」と嬉しそう。野島さんに伝授された知識の中から、メンバーたちがどのような魅力を感じ、どのような言葉でゲストにお話をするのか。ツアー本番が楽しみです。
ゆんたくから生まれる人の縁
ツアーのランチは、南風原区から車で約30分、宮城島にある「あごーりば食堂」へ。「あごーりば」とは、島の言葉で「めしあがれ」という意味。メンバーたちが視察で立ち寄った際、古民家のあたたかな雰囲気と、お客さんとお店の方が和やかにゆんたく(おしゃべり)する様子に一目ぼれ。「うちなー旅」のコースで、ランチと三線演奏の体験をするスポットとして協力頂くことになりました。
「あごーりば食堂」は、地元の有志の方々が、地域の人が集える拠点を作りたいと古民家を借り、自らリノベーションを手掛けてできた食堂。なんと働く人はみなボランティア。メンバーの津波璃子さんは、この食堂が大好きになり、週に一度お手伝いに通っているそうです。
三線体験の講師を務めるのは、「あごーりば食堂」のオーナー、新屋秋夫(にいやあきお)さんと、有志の一人である岸本次夫(つぐお)さん。この日は、メンバーの山城桃花さんが工工四(三線の楽譜)を持参して、講師の方や常連客の皆さんと一緒に演奏。みんなで歌ったり踊ったり、笑顔あふれる時間を過ごしました。
「もともと三線を少しやっていたので、この食堂に来ると、知っている曲を皆さんと一緒に三線を弾けるのですごく楽しい。おしゃべりしているだけで、心が休まるし、ずっとここにいたいって思うくらい大好きな場所です」(山城さん)
地元の皆さんが歌う民謡を聞いたり、うちなーぐち(沖縄の言葉)を教えて頂いたり、おいしいごはんを食べながら、ふだんの暮らしの中にある沖縄の魅力に触れられるひととき。「うちなー旅」のツアーには、沖縄の大学生が心から素晴らしいと感じた歴史や文化、「楽しい、嬉しい」と笑顔になれた瞬間。そんな感動を伝えるプランがたっぷり詰まっています。大学生が作る新しい沖縄の観光の形。ぜひ、ふだんとは違う特別な旅を体験してみてください。
ツアーは「サスティナブルオキナワ」HPより、以下の手順でご予約頂けます。
【予約の流れ】 HPクリック▷ライン追加▷アンケート回答▷ツアープラン決定▷料金支払い▷ツアー当日
※ツアーにつきましては、サスティナブルオキナワへお問い合わせください。
うちなー旅(一般社団法人サステナブルオキナワ内)
- 住所 /
- 那覇市首里平良町2-38-2
- TEL /
- 090-1945-4709
- 営業時間 /
- 月〜金 11:00〜17:00
- 定休日 /
- 土日・祝日・年末年始
- Webサイト /
- https://www.sustainable-okinawa.com/uchina-tabi
- Instagram /
- https://www.instagram.com/journal_okinawa/?img_index=1
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放送日:2024.01.29 ~ 2024.02.02
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