つどう、まなぶ、むすぶ。《若狭公民館》

つどう、まなぶ、むすぶ。《若狭公民館》

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歴史文化

放送日:2025.03.24 ~2025.03.28

初回投稿日:2025.04.01
 最終更新日:2025.04.01

最終更新日:2025.04.01

つどう、まなぶ、むすぶ。《若狭公民館》 クリップする

しまんちゅ旅はじめました

ゆるやかに続ける「朝食会」

那覇市若狭にある「若狭公民館」は、子供からお年寄りまで、地域に住むさまざまな人たちが気軽に立ち寄れる場所。宮城潤館長をはじめ、職員の皆さんは、「つどう・まなぶ・むすぶ」をテーマに、人と人が出会い交流できる場所、誰ひとり取り残さない居場所づくりに取り組んでいます。

 

「公民館に来る人たちは、生き生きとしていて素晴らしいんですけど、地域には多様な人がいるので、何かを抱えて生きづらそうにしている人とか、相談できる場所がどこにもない人とか、そういう人たちのための取り組みができないかなといつも心がけています」と宮城潤館長。

「若狭公民館」の宮城潤館長
「若狭公民館」の宮城潤館長
 

若狭公民館が目指しているのは、地域の皆さんから「愛される公民館」。そのためにどんなことに取り組んだらよいのか。職員の皆さんは、週に1度全員で集まって情報共有を行ったり、意見を交換しながら、自分たちにできることを話し合っています。

地域の人のふとしたアイデアから実現したユニークなイベントもたくさん。毎月1回、おかずを一品持ち寄り、みんなで朝食を食べる「朝食会」はその先駆け的企画です。2007年に喜屋武敦宏さんの発案でスタートし、今年で18年。

「朝食会」を企画・運営している喜屋武敦宏さん
「朝食会」を企画・運営している喜屋武敦宏さん

来てもいい、来なくてもいい、がんばらない朝食会。だからときには、喜屋武さんと宮城館長、2人だけで朝ごはんを食べることも。そんなふうに、ゆるゆると無理せず続けていくことに意味がある。「朝食会」は、若狭公民館の居場所づくりの原点になっていると宮城館長は語ります。

朝ごはんを食べながらゆんたく
みんなで朝ごはんを食べながらゆんたく

公民館ができること

「何かをやりたい、でもどうしたらいいかわからない。そんな思いを持った人たちが相談に来たら、少しだけ後押し。地域の人たちがやりたいことをサポートする。それが公民館ができること」と、宮城館長。

若狭公民館
波上宮、波上ビーチにもほど近い若狭公民館

誰でも気軽に相談できる場所であるように、いつも扉を開いておく。SNSや広報誌「musubu」などで、情報発信に力を入れているのも、そのアクションのひとつです。一度や二度では届かない情報も、根気強く発信していれば、きっといつかキャッチしてくれる人がいる。「もしかして若狭公民館だったら形になるかも」。誰かにとって、そんなきっかけになってもらえたらと、日頃から継続的に情報を発信しています。

職員の佐藤純子さん
職員の佐藤純子さん

若狭公民館には、好きなときに、好きなことをして、集いを楽しんでいる人たちがたくさんいます。そうした居場所づくりのポイントは、「何もしないこと」と話すのは、職員の佐藤純子さん。

たとえば高齢者の皆さんの居場所となっている「new!喫茶むすぶ」。いつのまにか集まった人たちが、「私は折り紙ができる」、「私はお料理が得意」と、それぞれの特技を持ち寄るようになり、交流の輪が拡がっていったそう。

「居場所というのは、誰かに作ってもらうものではなくて、自分たちが主体的に関わることで、自分の居場所になっていくものだと思います」

若狭公民館のロビーの机で好きなときにものづくり
若狭公民館のロビーの机で好きなときにものづくり

「童謡と唱歌を楽しむ会」は、日本に残る名曲を後生に歌いつないでいきたいと、2007年に始動した会。年に一度の「若狭公民館まつり」では、舞台上で心をひとつに美しい歌声を披露しました。

「童謡と唱歌を楽しむ会」の皆さん
「童謡と唱歌を楽しむ会」の皆さん

ふだんはちょっぴり孤独を感じていたという高齢者の方が、「ここに来てよかった、ここにいると楽しい」と話してくれたことも。若狭公民館は、地域の人たちにとって笑顔になれる場所、生きがいを感じられる場所になっています。

音楽でつくる、子供たちの居場所

本格的なドラムセットでジャズに挑戦
本格的なドラムセットでジャズに挑戦

 

週に2回行われている「ジュニアジャズオーケストラおきなわ」は、小学生を対象に2016年10月からスタートしたプロジェクトで、プロのミュージシャンから直接ジャズを指導してもらえるというもの。若狭地域で音楽を通じて子供の居場所づくりをしたいと、「琉球フィルハーモニックオーケストラ」の上原正広さんから、宮城館長に相談があり、若狭公民館で実施することに。

 

挑戦できる楽器はピアノやベース、トランペットなど多彩
挑戦できる楽器はピアノやベース、トランペットなど多彩

 

楽器の寄贈や寄付金を募り、助成金を活用しながらの実現。高価な楽器を購入することなく、月謝もなく、子供たちが手ぶらで来て音楽が楽しめる環境が用意されています。このプロジェクトの魅力は、1年ごとに担当する楽器を変えられること。家庭で楽器を購入したとなると、そのひとつの楽器のみに打ち込むことが多いですが、「今年はあの楽器もやってみたいな」という子供たちの好奇心や新たな挑戦意欲に応えられるようになっています。


「ジュニアジャズオーケストラおきなわ」代表の上原正広さん

「ジュニアジャズオーケストラおきなわ」代表の上原正広さん

 

「ゆるゆると音楽を続けてもらっていい。演奏がうまくなることは二の次。子供たちには、まずここに自分の席がある、居場所があるってことを第一に伝えたいです」と「ジュニアジャズオーケストラおきなわ」代表の上原さん。

「私はこのプロジェクトを10年ワンスパンだと考えているんです。ここで音楽をやっていた子供たちが大きくなって、今度は下の世代の子供たちの活動を支えてくれたら、循環していきますよね。そうすれば持続可能な取り組みとして、地域のジャズオーケストラとしてずっと続いていくと思います」

みんなの“やりたい!”を実現できる場所

30以上ものサークルがあり、さまざまな人が集う「若狭公民館」。近年は、アートな視点から、新たなコミュニティづくりに取り組む「アートな部活動」など、画期的なプログラムも行われてきました。週に1度の「アート部」は、中学生たちが放課後に集まって、絵を描いたり、お菓子をつくったり、その日やりたいことにゆるやかに打ち込む活動です。

職員の佐久田立々夏さんも一緒に楽しむアート部
職員の佐久田立々夏さんも一緒に楽しむアート部

 

「アート部は、“何かやりたい”をみんなが主体性を持って実現できる場所」と、職員の佐久田立々夏さん。「中学生は多感な年頃なので、友達にも話せないこともあるかなと思って、私とみんなで交換日記のような日誌をやっています。学校のことや悩み事、自分の好きなこと、いろいろ書いてくれています」

 

参加している中学生たちは、「佐久田さんが一緒に楽しんでくれるのが嬉しい」と満面の笑顔。「ほかの職員の人たちも、みんなすごく話しやすい」と、若狭公民館の魅力を話してくれました。

「三線サークル若狭島うたの会」代表の武富照和さん

「三線サークル若狭島うたの会」代表の武富照和さん

 

「三線サークル若狭島うたの会」は、八重山民謡唄者・大工哲弘さんが講師を務めるサークル。

小学生のまりかさんは、「ジュニアジャズオーケストラおきなわ」に参加しているほか、この「三線サークル若狭島うたの会」にも参加。「若狭公民館まつり」では、「てぃんさぐぬ花」を歌い、観客から大喝采を浴びました。


大勢で一緒に声を合わせて島うたを歌う楽しい時間

大勢で一緒に声を合わせて島うたを歌う楽しい時間

 

小学生から70代まで、世代を超えて一緒に歌三線を奏でられる喜び。島うたがつなぐ人と人との縁、三線で生まれる居場所の素晴らしさを感じさせる場所です。

多文化で多様性のあるコミュニティ

沖縄に暮らす、さまざまな国籍の人たちが集う「多文化カフェ」。地域に住む外国人にも扉を開きたいと毎週木曜日に開催されています。誰が来るか、何をするかは、決まっていません。すべては、その日次第。

「予定を決めてしまうと、予定をすることが目的になるんですけど、目的はここに集うこと。何もなくても嬉しい、楽しい。ここがあるだけで、安心につながるっていう場所になっていると思います」と、職員の佐藤純子さん。

「多文化カフェ」に参加する職員の佐藤純子さんと宮城潤館長
「多文化カフェ」に参加する職員の佐藤純子さんと宮城潤館長

 

この日は、スペイン出身の言語学者、クロス・ルベンさんによる世界の国旗当てクイズや、みんなで外国の帽子をかぶってみる遊びで盛り上がりました。

クロス・ルベンさんが持ってきてくれた国旗でクイズがスタート
クロス・ルベンさんが持ってきてくれた国旗でクイズがスタート

 

自国ネパールの帽子をかぶりながら、その服装について解説してくれたのは、「沖縄ネパール友好会」のオジャ・ラックスマンさん。多くのネパール留学生たちが暮らす若狭地域。「留学生たちと地元の人たちと、顔の見える関係をゆるやかにつくっていくことを大事にしています」と語る宮城潤館長は、「何か一緒にできないかな」という思いで、オジャさんと一緒にイベントを企画。2017年から毎年4月に「ネパールニューイヤーパーティー」を開催しています。

「沖縄ネパール友好会」のオジャ・ラックスマンさん
「沖縄ネパール友好会」のオジャ・ラックスマンさん

 

「いつもオープン、いつもウェルカム。外国籍の人も、日本の人も一緒にいる本当の“多文化“を実行、実現できているのが若狭公民館です」と、オジャさん。


「公民館は可能性がたくさんある場所」と宮城館長
「公民館は可能性がたくさんある場所」と宮城館長

 

「公民館がおもしろくなったら、地域がおもしろくなる。もっともっと “公民館っておもしろい!”と可能性を感じてもらえるようにしたいです」

そんな宮城潤館長の頼もしい言葉が胸に響きました。

那覇市若狭公民館 指定管理者(NPO法人地域サポートわかさ)

住所 /
沖縄県那覇市若狭2丁目12−1
TEL /
098-917-3446
Webサイト /
 https://cs-wakasa.com/kouminkan/

沖縄CLIP編集部

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放送日:2025.03.24 ~ 2025.03.28

  • 放送日:2025.03.24

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