家麹がつなぐ伝統の味噌《玉那覇味噌醤油》

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歴史文化

放送日:2024.04.15 ~2024.04.19

初回投稿日:2024.05.07
 最終更新日:2024.04.26

家麹がつなぐ伝統の味噌《玉那覇味噌醤油》

琉球王朝の末期にあたる安政(1855~1860年ごろ)の時代に創業以来、約170年続く首里の「玉那覇味噌醤油」。もともと泡盛を製造していましたが、同じ醸造発酵から派生して、醤油と味噌作りもスタートしました。

氏族の屋敷だった建物は戦争で倒壊しましたが、柱や梁にかろうじて残っていた麹菌を元に味噌づくりを復活させました。残念ながら施設の老朽化に伴って、10年ほど前から醤油作りは休止しています。

創業以来変わることなく、昔ながらの製法で生み出す味噌は、米麹の仕込みから商品の発送まで、すべてを自社で行っています。

味噌の仕込みには、一週間をかける

毎週月曜日に米麹を作って寝かせ、大豆と合わせるまでの味噌の仕込みには一週間をかけています。今では米麹から手作りする味噌屋は県内でも玉那覇味噌醤油のみ。もくもくと湯気が立ちこもる工場の中は麹菌にとって最適な25度を保っています。

大きな釜の中で540キロの米を蒸し、床一面に敷き詰めて冷まし、麹菌を植え、小箱に入れて木曜日まで麹室で寝かせて発酵させます。

味噌に大事な麹菌は、気温や湿度の変化に敏感です。5代目代表の玉那覇有紀さんは、毎日工場に出向いて、麹にとっていい環境が保たれているかを厳しくチェックしています。

工場の中
創業当時からの家麹が息づく工場の中

一年中クーラーのない環境
蒸した米を冷ましています。一年中クーラーのない環境で行う大変な作業です

麹菌をまきます
適温まで冷ました米に麹菌をまきます。3日間、麹室で発酵を待ちます

玉那覇有紀さん
5代目の玉那覇有紀さん。「湧水の豊富な首里だから味噌作りを続けられました」

大豆を蒸し上げます
金曜日に大豆を蒸し上げます

工場長の仲座方吉さん
工場長の仲座方吉さんが、大豆が蒸し上がるのをじっと待ちます。米麹と混ぜ合わせる味噌作りの最終作業です

1週間かけて仕込んだ味噌
1週間かけて仕込んだ味噌は、夏は3・4カ月、冬は5・6カ月かけて寝かせます

梱包
同じ工場の中で一つ一つ丁寧に梱包され、各地へ出荷されます。近くの人はタッパーを持ってやってきて、量り売りで購入していきます

味噌が地域とつなぐ

玉那覇味噌醤油から徒歩1分ほどの首里当蔵保育園では、給食には玉那覇味噌醤油の味噌汁が出ます。食育に力を入れている園では、保育士たちが作り、子どもたちが絵付けをしたオリジナルのやちむんで給食をいただきます。子どもたちは工場見学にも訪れました。味噌がどのようにして作られるのか、職人たちの仕事を目の当たりにし、工場に立ち込める湯気や匂いに触れて以来、味噌への関心が高まったそうです。

味噌汁
大豆の優しい甘さを感じる味噌が子どもたちはお気に入り

保育園
家では味噌汁を飲まないのに、保育園ではお代わりする子もいます

味噌のおいしさを広めたくて

那覇のビジネス街として知られる泉崎の朝、ひと際賑わいを見せるお店があります。玉那覇有紀さんの甥にあたる中西武久さんが営む食堂「味噌めしや まるたま」です。

2014年に祖母が亡くなったことをきっかけに、味噌に対する思いが強くなり、
幼いころから慣れ親しんできた先祖代々の味噌のおいしさを広めたいと、2016年にまるたまをオープンしました。那覇でおいしい朝食を食べられるお店が少ないという声をよく耳にしたこともこの場所を選ぶ決め手になりました。

中西さんは「全国からやってくる観光のお客さまにも、沖縄の味噌が受け入れてもらえてうれしいです。味噌を隠し味に使うと、コクが出てまろやかになりますよ。ぜひ醤油を味噌に置き換えてみてください」

朝食
朝食にはやっぱり味噌汁が合います

家麹に守られた首里の伝統の味はこれからも続いていきます。 

(有)玉那覇味噌醤油

住所 /
沖縄県那覇市首里大中町1-41
TEL /
098-884-1972
営業時間 /
9時〜17時
定休日 /
土日祝日
Webサイト /
http://www.tamanahamiso.co.jp/
味噌めしや まるたま
住所:沖縄県那覇市泉崎2-4-3-1F
電話:098-831-7656 
営業時間:8時〜14時30分、17時〜20時30分
定休日:日曜日、第2・第4木曜日
https://marutama-miso.com/

沖縄CLIP編集部

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