沖縄観光情報:マンションの一室で予約制セレクトショップ。那覇・浮島通りから世界へ発信するブランド「HIGA」

マンションの一室で予約制セレクトショップ。那覇・浮島通りから世界へ発信するブランド「HIGA」

post : 2019.01.16 15:00

那覇の中心地、国際通りから一本入ったところにある浮島通り。短い距離ながら、こだわりのカフェ、雑貨店、ファッションショップなどがひしめきあう、感性豊かなストリートです。その一角に、マンションの一室で営業する隠れ家的セレクトショップ「THE ROOM BOUTIQUE OKINAWA」があります。ここは、東京コレクションなどさまざまなショーで活躍する沖縄発ブランド「HIGA」の直営店。目印となる看板はあえて置かず、アポイントなしでは入れない、完全予約制というスタイルが話題のお店です。




「むしろ変なお店だなって思ってくれたら嬉しい。とにかくほかと違うことをやりたかったので」と語るのは、お店のオーナーであり、「HIGA」のブランドオーナーである、沖縄県出身の比嘉一成(ひがいっせい)さん。初めて訪れると「本当にここでいいのかな?」と少し心配になってしまうほど、暮らしが息づくマンション。ドキドキしながら奥まで歩み進め、ドアを開けたときの「あった!」という喜びは、なかなか通常のお店では味わえない感覚です。

「“あの辺りにあるらしいよ”とか“どこにあるんだろう?”ってワクワクしながら探して来てもらえるお店を作りたかった。そこでいいものに出会えたら、きっと誰かに教えたいってなるだろうし、そうやって口コミで広がっていくのが理想的だなって。いつも特別な感覚で訪れられるような、隠れ家的な存在として楽しんでもらいたいですね」




 比嘉さん自らが内装とインテリアを手掛けたという店内は、モノトーンをベースにした洗練された空間。「HIGA」のコレクションをメインに、シューズブランド「premio gordo」など、こだわりのアイテムが迎えてくれます。お店のオープンは、2016年。「HIGA」のブランド設立を機にスタートしました。実はこの「HIGA」、2009年に設立した「COVER」という前身ブランドから発展したもの。「COVER」の頃から数えると今年で10年目という歴史があります。




「もともと『COVER』は、“洋服で体を包む”という意味と、沖縄の方言で“匂い”という意味の“かじゃー”をかけて名付けたんですけど、だんだん県外や海外でも商品を扱ってもらえるようになって、じゃあこの先どうするか? と考えたときに、この名前では沖縄発のブランドとして弱いな、と。英語だから説得力がないし、方言の説明も必要だったりする。だったら思いきって自分の苗字をブランド名にして、世界に向けて発信していこうと。そこで名前を変えて新たにスタートしたのが2015年。“比嘉”は、沖縄で一番多い苗字と言われているから、それによってアイデンティティを示せるし、同じ比嘉さんも喜んでくれるだろうなと思って(笑)」




ブランドコンセプトは「どこにいても自分らしくいられる服」。自分らしくいられるということは、リラックスできているということ。「僕自身、太りやすいとか筋肉質とか、体にコンプレックスがあるんです。洋服を着ておしゃれをすると楽しいはずなのに、サイズ感を気にしてしまったりして楽しくないときがある。それが嫌で、“疲れる洋服は作らない、元気になる服を作る”と決めました。肩が凝らない洋服、でもだらしなく見えない洋服。スタイリッシュに見えるけど、リラックスして着られるものを意識して作っています」




たとえば、「一生使えるアイテム」としておすすめのライダースジャケットは、重厚感のあるルックスながら、素材は軽くやわらかく、自然と体になじむ抜群の着心地。ぽんと羽織れるラフさがあるのに、しっかり計算された女性らしいシルエットで存在感が出せるアイテムです。比嘉さんが「素材に惚れた」というこだわりの牛革は、職人さんが革の凹凸に色を塗りこんでいく“頭張り”という工程が施されたもの。黒は黒でも単色ではなく、わずかに違う黒を浮かび上がらせ、美しいツートンカラーに仕上げるのが特徴です。これぞ、「ラグジュアリーブランドに負けないクオリティ」と語る自信作。




「琉球藍(りゅうきゅうあい)」の存在をもっと知ってほしいという思いから、メンズシャツやワンピースなど、藍染めのアイテムも制作しています。見る角度によって表情が変わる自然ならではの発色、心安らぐしなやかな風合いは、まさに唯一無二。

「琉球藍は、日本では沖縄にしか生息しない貴重な原料。沖縄発のブランドとして、それを使わない手はないな、と。それで、2014年あたりから、南風原(はえばる)に工房を持つ琉球藍の染織家、大城拓也さんと組んで藍染めのアイテムを作り始めました。今、栽培がなかなか難しい状況にあると聞いていますが、僕らはそれを料理する側として、沖縄の本当にいいものを長く伝えていけたらと思ってます」。




沖縄らしさをベタに表現するのではなく、そのエッセンスを散りばめ、スタイリッシュに仕上げる手法も「HIGA」ならでは。沖縄の暮らしに根付くクバの葉で作られた団扇「クバオージ(クバ扇)」をモチーフにしたワンピースは、まさにそれを象徴する一品です。

「もともと、グラフィックの柄を使いたいと思い立ったのがはじまりでした。最初は、2017年にサプール(コンゴ共和国のおしゃれな紳士集団)のイラストを使ったシャツを作ったんです。彼らが沖縄に来たときにお会いして、ものすごく影響を受けたので。その後もグラフィックを継続していこうと思ったときに、浮かんだのがクバオージ。現物そのままだと動きがないので、鳥の羽をイメージして線を重ねて描いてきました」。




 青のほうには、石垣島の『島藍(しまあい)農園』で栽培されている『八重山藍』を使用。沖縄の大地が育てた草木のパワーと、ふわふわと揺れるクバオージのイラスト。身につけるたび沖縄の風をまとった気分になりそうです。




「沖縄には可能性がある。世界に通用するものを生み出すことができるはずだし、それをこのブランドで証明していきたい」という比嘉さん。

中学高校時代は、那覇の街のみならず、修学旅行先の大阪、東京でも古着屋巡りに夢中だったというほど、大の洋服好き。それでも、本気で洋服の道に進もうと決断したのは、20代になってからのこと。東京の服飾専門学校に通いながら、さまざまなデザインコンテストに応募し、KENZOやTSUMORI CHISATO、さらにはジャンポール・ゴルチェなど世界的に有名デなザイナーと直接話をする機会にも恵まれたそうです。そうした貴重な経験を重ねたことで、「自分のブランドを持つ!」という夢がよりリアルに。それでも「デザイナーへの道はスムーズではなかった」と振り返ります。




「卒業後4年間そのまま本土に残って、工場のあるアパレル会社で働きました。デザイナーを目指す友達の中には、とりあえず販売に就く人が多かったけど、僕は“ものづくり”にしがみついていたかった。やっていたのは、ブランドへ営業に行って受注したものを工場で制作して納品するという仕事。そこで、デザイナーさんがどういう方法でどういうものづくりをするかを勉強させてもらいました。ニット工場で実際に糸を巻くところから始まり、編立や裁断まで進行したことも。洋服が作られるまでの動きと流れを学ぶことで、ものづくりの大変さを知ることができて、本当によかったと思っています」。




 会社を辞め沖縄へ戻ったのが2009年5月。ブランド設立は、わずか2カ月後の7月という驚きの行動力です。「地元で発信していくことに意味があるし、地場の力を信じようと。沖縄に媚びることなく、ちゃんとしたものを作れば必ず評価される。迷いはありませんでした」。2016年には、「東京コレクション」に出展。沖縄を拠点とするブランドでは初めての出場という歴史的な快挙でした。




「僕はエリートのデザイナーじゃなくて、泥臭いデザイナーなんです(笑)。デザイナーしかやってこなかったら、わからなかったことがきっとある。営業や工場の現場の経験があった上で、デザインできるのは僕の強み。それが今、沖縄でできている理由なのかもしれません」。

観光で訪れた人には「沖縄のモードに興味があったら覗いてほしい」と比嘉さん。「予約制と聞くと、敷居が高いと感じてしまうかもしれませんが、基本ゆるいのでどうぞ気兼ねなく(笑)。どなたでも気軽に電話して訪ねてきてくださいね」。


店舗情報
THE ROOM BOUTIQUE OKINAWA
住所/沖縄県那覇市松尾2-12-14-301
電話/098-834-8921
営業時間/13:00~20:00
※完全予約制。来店希望の方は、事前にお電話をお願いします。基本的に来店希望の1時間前まで受付。
定休日/木曜日
公式ホームページ/http://higa.jp/
https://www.facebook.com/The-Room-Boutique-Okinawa-1441853399173423/


沖縄CLIPフォトライター 岡部徳枝 

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Information

沖縄県那覇市松尾2-12-14-301