五穀豊穣を願う糸満大綱引き

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歴史文化

初回投稿日:2014.09.28
 最終更新日:2024.03.27

五穀豊穣を願う糸満大綱引き

この記事は、2014年に開催された「糸満大綱引き」のレポート記事です。

旧暦8月15日に当たる9月8日、

伝統行事の糸満大綱引きが糸満市で行われました。

これは豊年と大漁祈願・家内安全・無病息災を祈り、

南北に分かれた雌雄の綱の結合によって実りを予祝し

勝負の結果で吉凶を占う神事です。


綱引きの様子

 

観光に配慮し、祝祭日に開催する地域も多い中、

糸満市では古式伝統を遵守し、

旧暦の8月15日に行われています。

また、祭りの当日に大綱作りが行われるのも

県内ではここだけ。

 

綱の長さは雄綱(ウージナ)・雌綱(ミージナ)を

合わせて全長180m、

太さは結合部付近の最大が直径1.5m、

綱に用いられる稲わらは総重量が約10トンと、

「大綱引き」の名に相応しい作りとなっています。

 

 

 

大綱引の前には、1千人余りの市民が参加する

「道ズネー」と呼ばれるパレードが始まり、

舞踊や歌、子どもエイサーなどを観客に披露しながら

練り歩きます。

 

 

その中には糸満市の公式ゆるキャラ

「いとちゃん」の姿も!

 

 

道ズネーを盛り上げるのは、

地元青年団による「旗頭(はたがしら)」。

各地域の「シンボル、まもり神」として

繁栄を込めて考案・制作された旗頭は

竿の長さ6m50cm~8m、重量40〜50kgという

かなり巨大なもの。

 

 

 

1本の旗頭に持ち手は15人程度。

後ろに連なるチンク隊と呼ばれる楽隊が

金鼓や太鼓を鳴らしながら加勢します。

 

 

道ズネーの先頭に位置する2つの旗頭。

「ゆがふう(世果報)」とは世の果報、

すなわち豊年、豊穣、幸福などを意味する言葉で、

「かりゆし(嘉例吉・嘉利吉)」とは

めでたいことや縁起のよいことの意味。

通常「ゆがふう旗」は雄綱、

「かりゆし旗」は雌綱に付きます。


 

道ズネーが終了すると、雌綱のミミに雄綱のミミを入れ、

「カヌチ棒」と呼ばれる巨大な丸太棒を入れひとつにします。

 

 

 

雄雌の綱が結合されると、南北両陣営から

シタク(支度)と呼ばれる伝説上の人物、

イチマンマギーとマカビチャーンに扮した若者が登場。

綱の中央で対峙して両陣営の士気を高め、

にらみ合いが終わるといよいよ大綱引の開始です。

 

 

勝敗は競技時間30分以内に10m引いたら勝ち、

時間内で10m引けないときは、2m以上引いた方が優勢勝ちとなり

時間内で双方2m以上引けない場合は引き分けとなります。

 

 

「ハーイヤ」という掛け声とともに綱を引く

ニシカタ(北組)とヘーカタ(南組)に分かれた両陣営。

30分の制限時間で決着が着かず、

判定の末、ニシカタが昨年に続いて勝利しました。

 

 

糸満市内外から約3万6千人が訪れた今年の大綱引き。

「勝った方の綱を持ち帰ると、その年は無病息災で過ごせる」

とも言われており、

嬉しそうに綱を持ち帰る子どもたちの姿も見られました。

 

衆人綱(スニンジナ)、万人綱(マンニンジナ)とも呼ばれ、

誰でも参加できる開かれた行事の糸満大綱引き、

来年はぜひ綱を引いてみてはいかがですか?

糸満大綱引き

開催日 /
旧暦の8月15日
住所 /
沖縄県糸満市国道331号線(糸満ロータリー付近)
Webサイト /
https://www.city.itoman.lg.jp/

沖縄CLIP編集部

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