伊是名島の伝統行事「公事清明祭(クージヌシーミー)」

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歴史文化

初回投稿日:2014.04.11
 最終更新日:2024.03.27

伊是名島の伝統行事「公事清明祭(クージヌシーミー)」

清明祭(シーミー)とは、元々は18世紀頃に中国から伝わってきた習慣で、

太陰暦の清明の節に行われる先祖のお墓参りのことです。

毎年どこよりも先に「伊是名島(いぜなじま)では、『公事清明祭(クージヌシーミー)』を行わないと、

一般家庭の清明祭ができない」といわれる大事な伝統行事が、

例年4月初旬に伊是名村主催で行われています。


公事清明祭

 

なぜ伊是名島なのかというと、伊是名島が

琉球国王・尚円王(しょうえんおう/第二尚氏王統の始祖)の生まれた島だからです。

伊是名島の象徴・伊是名城跡のふもとには、尚円王の父と母の墓として

建立されたといわれる伊是名玉陵(いぜなたまうどぅん)があり、

ここは第22代尚家当主・尚裕(しょうひろし)氏をはじめ、近代の王族も眠っているお墓でもあるのです。

その伊是名玉陵が『公事清明祭』の儀式が行われる場所になります。


伊是名城跡

 

清明祭の料理といえば、重箱(ごぼう、かまぼこ、三枚肉、

こんにゃく、魚の天ぷら、揚げ豆腐、昆布など)ですが、

伊是名玉陵に供えられるお供え物は独特です。

 

豚の頭・丸裸の鶏・生魚など、

一般の清明祭では、供えられていないような品々が

専用の台に盛りつけられて並びます。

どこに何が配置されるかは昔から変わりません。


豚の頭・丸裸の鶏・生魚など

 

また、それらの料理を盛りつけしている器類にもご注目ください。

尚家の紋章が入っている琉球漆器は、なんと本物なのです。

 

尚家・親族の銘苅家(めかるけ)が伊是名村に寄贈したものですが、

普段は博物館入りしている文化財が取り出され、

公事清明祭の本番で実際に使われ続けているというのは、とても稀なことですよね。

 

しかし年々痛みが激しくなってきたため、

今年から復元された漆器が一部使われています。


復元された漆器

 

公事清明祭には、主催の伊是名村の村長や教育長のほか、

東京からは、尚裕氏の次女・野津恵子さんをはじめ尚家関係者が列席。

また村内の王族・四殿内(ゆとぅぬち)といわれる

銘苅家・伊礼家・名嘉家(玉城家は今年は欠席)から代表者が参拝し、

線香を焚き、全員で合掌して、王家ゆかりの先祖供養祭『公事清明祭』を

厳かに執り行いました。


公事清明祭

 

この『公事清明祭』については、どなたでも静かに見学することが可能だそうです。

また、伊是名城趾と伊是名玉御殿、伊是名ふれあい博物館は、年中見学ができます。

琉球国王のふるさと・伊是名島へ、島旅はいかがでしょうか。


伊是名ふれあい博物館

 

伊是名ふれあい民俗館

開館時間/9:00~17:00

入場料/200円(小中学生100円/団体割引有)

 

 

伊是名玉御殿(県指定文化財)

住所 /
沖縄県島尻郡伊是名村字伊是名1番地

桑村 ヒロシ(KUWA)

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