伊江島の食材を那覇で満喫! おいしく楽しい”食の家 しまぶくろ”

伊江島の食材を那覇で満喫! おいしく楽しい”食の家 しまぶくろ”

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初回投稿日:2017.03.30
 最終更新日:2024.08.26

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那覇の中心地・国際通りから一本入ったところに突如現れる「竜宮通り社交街」。昔ながらのスナックが建ち並ぶ路地を歩いていると、ところどころから気持ちよさそうなカラオケの歌声が聞こえてきます。そんな風情豊かな社交街の一角に、伊江島(国頭郡伊江村 くにがみぐんいえそん)の味を堪能できるお店があると聞き、訪ねてみました。
 
 
「あなたの胃袋、しまぶくろ!」。手描きの看板から目に飛び込んできたダジャレに思わず笑みがこぼれます。お目当てのお店「伊江島 食の家 しまぶくろ」は、焼き鳥屋やウイスキーパブなどが入ったテナントビルの2階にありました。
 
 
店内は、カウンターとテーブル席3つでレイアウトされたアットホームな空間。「いめんしょり」と書かれた陽気なシーサーが迎えてくれます。伊江島の方言で「ようこそ!」という意味だそう。
 
 
ドアに貼られていた伊江島方言「いーじまぐち五十音表」を見てみると、なにやらかわいらしいイラストと言葉がいっぱい。伊江島は、店主・しまぶくろ徳明さんの故郷。沖縄本島北部の本部港(もとぶこう)から船で30分のところにある人口約5千人の島です。
 
 
徳明さんは、「一番好きな場所は?と聞かれたら、迷わず“伊江島”と答える」というほど生まれ島を愛する料理人。まずは、小さい頃によく食べたという揚げ菓子「紅芋プルプルー」を作ってくれました。伊江島の「はるおばさん」が手作りしたものを仕入れて、お店で揚げているのだそうです。
 
 
 
「はるおばさん」が作るマーブル模様の「紅芋プルプルー」は、ふかした紅芋と小麦粉をこね、乾燥させてスライスしたもの。もとは小さく平らだったものが油で揚げると、プルプル~と踊るように大きくなって浮いてくるのだとか。本来の子ども用味付けは砂糖ですが、ここではおつまみ用に塩で。“さくふわっ”な食感と素朴な味がたまりません。
 
 
実はこの「しまぶくろ」、もとは東京・渋谷にあったお店。15年前、那覇で料理人をしていた徳明さんが、友人の沖縄料理店に招かれ上京。のちの2008年に独立・開店したのが始まりでした。故郷の伊江島にもっと近い場所で…と、那覇に移転したのが2015年2月。渋谷時代には難しかった島からの仕入れもスムーズになったことから、伊江島食材をふんだんに取り入れたメニューが実現したそうです。
 
 
島らっきょう、ジーマミー(ピーナッツ)、そしてタコ採り名人だという徳明さんの父親から仕入れたタコのお刺身など、伊江島の美味が勢ぞろい。
 
 
空鍋で蒸してじっくりと水抜きしたタコは、モチモチした食感で噛めば噛むほど味わいが増す絶品です。
 
 
渋谷でのオープン当時から徳明さんと二人三脚で歩んできたまきこさんは、奄美大島(あまみおおしま)出身。いつも笑顔が絶えないユーモアいっぱいのお2人です。冒頭のダジャレコピー「あなたの胃袋、しまぶくろ!」を書いたのはまさにこの方。ほっと和む可愛らしいメニューの絵も、まきこさんの手描きです。
 
 
看板メニューとして人気の「ラフテー」と「テビチ」は、なにより衝撃的な黒さが特徴ですが、その正体は15年熟成の自家製タレ。東京で初めて仕込んだタレを毎日丁寧に注ぎ足し、遠路はるばる沖縄まで運んできたのだそうです。「このタレは、東京の苦労も楽しさも知ってる。おいしいと言ってくれたみんなの笑い声も入っています。しまぶくろの大事な歴史なんですよ」と徳明さん。おいしさが増す、素敵なお話です。
 
 
伊江島の小麦粉を天ぷらやそば、ヒラヤーチーなどに使用しているのも「しまぶくろ」ならでは。伊江島は、琉球王朝時代から小麦の一大生産地だったと伝えられています。戦後一時的に生産が減少し危機を迎えましたが、「小麦作り文化を守りたい」という農家の人たちの熱意で復活。中でも、貴重な在来品種である「江島神力(えじまじんりき)」は島の誇りとして今なお大事に育てられています。小麦のふすま(表皮)と胚芽をそのまま挽いた「全粒粉」なので風味豊かで粘りがあり、食物繊維やミネラルなど、栄養もいっぱい。
 
 
 
香ばしい伊江島小麦と熊本産の菜種油を使い、外はサクサク、中はジューシーに仕上げた天ぷらは、重くないのにしっかりと食べごたえがあり、馴染みある島天ぷらとはちょっぴり違う新鮮な味わい。旨みがぎゅっと詰まったカジキマグロ、シチュウマチなどの鮮魚、香り高く緑が美しい伊江島の生アオサなど、できたてアツアツの天ぷらを堪能できます。
 
 
徳明さんの作るお料理は、沖縄の郷土料理をベースにしながら、ちょっとした遊び心とアイデアを感じさせるところが魅力です。「フーチバーポーポー」は、そのひとつ。ポーポーとはクレープのような生地にアンダンスー(油みそ)を巻いた沖縄の伝統的なおやつですが、ここではその生地にフーチバー(よもぎ)をプラス。味噌の優しい甘みのあとに訪れるフーチバーの苦みが絶妙です。ほかにも、アンチョビの代わりにスクガラス(稚魚の塩辛)を使った「じゃがすくバター」、伊江島そばを使ったナポリタン「沖ナポリタン」など独創的なメニューがたっぷり。
 
 
観光で訪れた人に「沖縄料理はおいしい!」と思ってほしい。これは、沖縄を心から愛す徳明さんとまきこさんのこだわりです。初めて見る食材・お料理を食べるのは、ちょっぴり勇気がいりますよね。たとえば、よもぎそばと、県産野菜のフーチバー、サクナ、ハンダマで作った「島野菜の緑焼きそば」。
 
 
一見「苦そう」と思うかもしれません。けれど、苦みを旨みに生かし、「滋味深いお野菜をおいしく」がしまぶくろ流。けっして奇をてらった味ではない、すっと馴染む味。どこか懐かしく、ほっと安心できるおいしさがあるんです。
 
 
卵不使用の野菜出汁を使用したフーチャンプルーなど、ベジタリアンやビーガン向けのお料理も対応してくれます。きっかけは、「魚や肉を使わない沖縄料理を食べてみたい」とお客さんにリクエストされたことから。誰も我慢せず、みんなで同じ食卓を囲み、笑顔でおいしいものを食べてもらいたい…。そう思い立ち、限られた食材の中でおいしいものを作ることに挑戦。沖縄料理の新しい可能性を見出すきっかけにもなったといいます。
 
 
取材に訪れた夜は、地元の常連客はもちろん、本州からの観光客、台湾から訪れた外国人観光客などで大賑わい。いつのまにか唄三線が始まり、歌って踊っての宴空間に。「おいしいものがあると隣の人とも仲良くなれると思うんです。そういう人と人が出会う場所になれたら」と徳明さん。伊江島のサトウキビから生まれたラム酒「イエラムサンタマリア」を飲みながら、故郷の話を聞くのもまた至福のとき。翌日は、伊江島へと足を伸ばす旅もいいかもしれません。おいしいごはんとお酒と笑顔の輪が広がる食の家。沖縄の家で寛ぎたくなったら、ぜひ訪ねてみてくださいね。
 

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食の家 しまぶくろ

住所 /
沖縄県那覇市牧志3-10-5
電話 /
098-917-5222
定休 /
火・水曜
Facebook /
https://www.facebook.com/iishimabukuro/

岡部 徳枝

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