気をつけたい海の生き物、ハブクラゲ
気をつけたい海の生き物、ハブクラゲ
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歴史文化
初回投稿日:2014.05.19
最終更新日:2024.04.10
最終更新日:2024.04.10
青い海と青い空、まぶしいくらいに真っ白な砂浜。時間をわすれるほど美しい沖縄の海にも、気をつけたい危険な生き物がいます。
(写真提供:沖縄県衛生環境研究所)
ハブクラゲ(英名:Box Jelly Fish)は沖縄や奄美に生息する、強い毒を持つクラゲで、刺されるととても痛く、患部はミミズのように腫れ上がります。触手に多数の刺胞(しほう。毒針と毒液が入ったカプセル)を持っていて、触れるとここから毒針が飛び出します。成長するとカサ(触手以外の部分)の高さが10cm以上、伸び縮みする触手を含む全長は150cm以上になり、青みのある半透明な体のおかげで、海の中で見つけにくいやっかいなクラゲです。
水温が高くなる5月〜10月頃に県内のほぼ全域で発生し、水深50cmほどの浅い場所で発見されることもあります。ハブクラゲが大きくなる7月〜9月が、観光シーズンと重なっているため、毎年この時期に被害が増えるそうです。沖縄には自然のままの手付かずのビーチが多く残っていてとても美しいのですが、ハブクラゲ侵入防止ネットのない海岸では、まれに刺されることもあるので注意が必要です。
県内のリゾートホテルや、市町村の運営する大きなビーチでは、監視員を置き、ハブクラゲ侵入防止ネットを設置しています。私は以前ビーチ監視員として働いていたのですが、ネットの外側を泳いでいた方が、ハブクラゲに刺されているのを手当したことがあります。大人でもびっくりするほどの痛みなので、泳ぎなれないお子さんや、高齢者の方はショックで溺れてしまう可能性もあるので、特に注意が必要だと感じました。
対策法としては、ラッシュガード、または長袖のTシャツやスパッツなどを着用し、肌の露出を控えることで、被害を最小限に抑えるとことができます。それでも刺されてしまった時はどうしたらよいのでしょうか?
ハブクラゲの触手にはたくさんの刺胞があるので、少し触れただけでは全部は発射されません。ところが刺された部分をこすると、それが刺激となって、残っている未発射の刺胞が発射して傷が広がってしまいます。この刺胞の発射を止めるのに有効なものは食酢で、応急処置として使われます。
ハブクラゲに刺されたときの応急処置
① 痛みを感じたらすぐに海からあがる。刺された部分は絶対にこすらない。
② 食酢を薄めずに、患部へたっぷりかける。
③ 触手を手でそっと取り除く。
④ 痛いときは水や冷水で冷やす。
酢は食用のものなら、米酢、りんご酢など何でも良いのですが、飲料用に薄められたものは効果がありません。かといって医療用の酢酸だと、逆に刺胞の発射を促進させてしまいます。アルコールも刺胞の発射を促してしまうので、刺されたら消毒をせず、すぐにお酢をかけて下さい。
ただし酢はすべてのクラゲに有効なわけではなく、カツオノエボシなどは逆に刺胞の発射を促進させてしまいます。カツオノエボシはハブクラゲと違って、鮮やかな青い色をした10cm程度の小さなクラゲです。刺されると、紅斑(こうはん。皮膚の炎症によって赤くなること)や、水疱(すいほう)などの症状がでます。監視員のいるビーチでは、すぐに助けを呼んで応急処置をしてもらい、痛みがひどいようなら病院へ。
ハブクラゲに限らず、もしも遊泳中に事故にあった場合は、海の緊急通報用の連絡先118番に連絡して、助けを呼んでくださいね。(携帯、PHSからもつながります。)
海で遊ぶ際に気をつけて欲しいのは、ハブクラゲだけではありません。私がビーチ監視員をしていたときに、もっとも多い被害は日焼けによるやけどでした。美しい海を見ていると時間を忘れてしまいがちですが、炎天下では日射病や日焼けにも要注意。沖縄の日差しは強烈なので、一時間に一度は涼しい木陰で休憩を取り、こまめに水分・塩分補給を行って下さい。
また、ビーチへ行く前にチェックしてほしいのが潮の時間です。大潮の干潮時はかなり潮位が下がるので、ハブクラゲ防止ネットまで海水がほとんどなく、海に入れないビーチもあります。潮の時間をチェックして満潮前後に泳ぎに行くと、気持ちよく遊泳できますよ。※「沖縄 潮汐表(ちょうせきひょう)」で検索するか、地元の新聞で調べることができます。
しっかりとした知識を持ってビーチへ行けば、安全で快適に過ごすことができます。皆さんにとって、沖縄の海が楽しい思い出となりますように。
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