連載/島の恵み、島の味 その21 豚肉特集/中味汁
連載/島の恵み、島の味 その21 豚肉特集/中味汁
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食べる
初回投稿日:2014.12.17
最終更新日:2024.08.30
最終更新日:2024.08.30
前回のおでんにつづき、沖縄の家庭には欠かせない豚肉料理「中味汁(なかみじる)」。
今回も紅あぐーの生産者、喜納家の食卓からご紹介します。
そば屋や定食屋の看板に書かれている「中味汁(なかみじる:場所によっては中身汁と書くところも)」というメニュー。
移住した頃、いったいどんな食べ物なんだろうと疑問に思いつつ、なかなか頼む度胸が無いまま時は流れ・・・
しばらくして、中味とは豚の内蔵(主に小腸、大腸、胃)のことだと人づてに聞き、「なるほど!中味=中身ねぇ!」と妙に頷いてしまいました。昔からモツ系は大好物!
早速近所のそば屋で頼んでみることに。定食屋ではご飯と副菜と中味汁のセット。沖縄そばの上に山盛り中味が乗った「中味そば」といったメニューもあります。
子供たちの保育園や学校の給食にも出てくる定番料理。それだけ沖縄の暮らしに身近な食材なんですね。見よう見まねで作るようになったのですが、思うように柔らかく炊けなかったり、中味の臭いが残ってしまったり、なかなかうまくいきません。
試行錯誤しているところ、「今回の豚肉特集で、中味のつくり方も喜納家に教わってしまおう!」という魂胆で、中味汁もお願いします!と図々しくも頼んでしまいました(笑)。
中味の下処理は、まず下茹で。スーパーや市場では、下茹でされた状態で販売されています。
湯がいた中味に小麦粉をまぶしてよく揉んで水洗いをするのが、臭みを抑えるポイント。
中味を鍋に移し柔らかくなるまで1~2時間ほど下茹でします。
中味汁の出汁は、鰹だしと、具に使う干し椎茸の戻し汁です。
ここまでは、普通の中味汁。このあと驚愕の事実を知ることに。。。
喜納家の中味汁は、なんと、豚肉でも高級な部位”ソーキ”を出汁用に使ってしまうんです!
なんという贅沢な!!
一般家庭では、なかなか出来ない贅沢なソーキの使い方。この豪快さ、さすが喜納農場です。想像を超えてます。
柔らかくなった中味をいったん茹でこぼして、鍋に中味、ソーキ、こんにゃく、刻んだ干し椎茸をいれ、ソーキの出汁、鰹出汁を、椎茸の戻し汁をいれて火にかけます。
味付けは、醤油と塩のみ。贅沢な出汁を存分に楽しむ為のシンプルな味。「しのぶ、色味を抑える為に、醤油は少なめで塩で味の調整しなさいね」と背中から優しく声をかける母ともこさん。
窓から差し込む柔らかい午後の光の中で、静かに伝わる喜納家の中味汁のレシピ。
鍋からゆらゆらと揺れる湯気。鰹出汁の懐かしい匂い。沖縄の、ある家族の風景に立ちあいながらふと思い出すのは、遠くの家族。そういえば、最初に母から教わった味ってなんだっただろうか。遠い記憶をたどりながら、沖縄の家族の味を作ってみようと思うのでした。心温まる家庭の台所にお邪魔させていただき、喜納家のみなさまありがとうございました~。
喜納農場
- Webサイト /
- https://kinafarm.com/
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