瀬底島で、自然と調和する体験を提供する「島遊舎かぁらんやー」
瀬底島で、自然と調和する体験を提供する「島遊舎かぁらんやー」
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歴史文化
初回投稿日:2025.01.08
最終更新日:2025.01.07
最終更新日:2025.01.07
沖縄本島北部の美しい瀬底島にある「島遊舎かぁらんやー」は、自然や文化と調和する体験を提供しています。この施設では集落散策ガイドや、マース玉お守り作りなど、伝統文化と自然の知恵を感じ取るプログラムが楽しめます。
先人の精神を後世へ
沖縄本島北部の本部半島(もとぶはんとう)と橋で結ばれた瀬底島(せそこじま)は、まるで時が止まったかのような島時間を感じさせてくれる離島です。独自の文化が根付き、中でも4年に一度行われる「豊年祭」は長い歴史とともに現代まで継承されています。
「先人の精神を後世に伝え、残していきたい」と、瀬底島の植物を使った民具作りや、薬草茶提供などを行っている「島遊舎(しまあしびしゃ)かぁらんやー」を運営するのは、比嘉京子(ひがきょうこ)さん、忠(ただし)さんご夫妻です。
京子さんの実家は100年以上続く呉服店。母方の実家は江戸時代から続く酒造所を営む環境で生まれ育った京子さんは、高校卒業後オーストラリアへ渡ってビジネスを学び、その後フランスの生命保険グループでメディカルサポート業務や沖縄の大学院大学の職員としても活躍しました。
「私、古いものにもあまり興味がなかったので、今のかぁらんやーで行っている民具作りなどの仕事を始めるつもりは元々はなかったんです。ですが、島のおじぃおばぁたちから古い暮らしのことを聞きとりしていくうちに、これを語り続けて、残さなければいけないと思いました。」
そう話す京子さんは、実家の呉服店や酒屋を通じて当たり前のように伝統文化に触れる生活をしてきた一方で、海外での生活、家業の縮小などを経験し、日本人としてのアイデンティティが芽生えたことが原点となり、日本や沖縄の未来のために、失われつつある沖縄の伝統文化や、風習、言語、美しい自然を残していく道筋として、島遊舎かぁらんやーを始めました。
一方、夫の忠(ただし)さんは、
「友人のお父さんが、竹細工の伝統工芸士なんです。学生の頃、友人の自宅(工房)が通学路の途中にあって、なんとなく竹細工に興味はありました。『いづれやってみたいなぁ』ぐらいな気持ちでしたが、社会人になってから趣味で竹細工を始めて… でもまさかこれを仕事にするとは思っていませんでした」と話します。
かぁらんやーの体験
“先人の精神を後世に繋いでいく”ことを大切にしながら、日々民具づくりをする比嘉さんご夫妻。ふたりが提案するのは、沖縄に自生する植物をつかった草編み・民具づくり体験です。
京子さんは“精神は文化”だから、文化を繋いでいくことが、先人の精神を残していくことに繋がると話します。
「文化は“生きる”そのもので、精神さえ残れば文化はなんらかの形で残ると感じています。その精神は先人からの教えや知恵を、私たちの“ちむ(心)”であったり、身体で感じ受け取ることが大切だと思います。またそれら先人たちの教えや知恵を感じ取れるところが伝統文化とされているのかもしれないです。島遊舎かぁらんやーでは、そんな伝統文化という堅苦しいものではなく、ワークショップであったり、民具作り体験であったり、島散策であったり、それらの時間のなかで、みなさんに先人の知恵や精神を感じ取っていただけたらと思っています」
島の魅力をしっかりと体験したい方には、島人の知恵がつまった暮らしについての話を聞きながら、集落を散策するプログラムもあります。
神様を迎えて招宴する「根所 神アサギ」、中国古来の土地の神様が祀られている「土帝君(とていくん)」などの拝所をまわります。
お守りにしたい“マース(塩)玉”
マース玉お守り作りはアダンや月桃の葉を使って作ります 。
アダンの葉を手で編んでいき、中にマースを入れます。マースとは、沖縄の方言で塩のこと。塩には邪気を払う力があるとされ、沖縄では古くから生活に根付き、健康や安全を守るお守りにも使われてきました。魔除けや幸せを運ぶお守りとして身につけたいですね。
ご希望の方は、お守りのストラップ部分の紐を作る作業「縄ない」もオプションにて体験することができます。
「指先に全神経を集中させつつ単純作業が続く“縄ない”は、忙しさの中で心を見失ってしまいがちな現代人にこそ必要だと思います。一定のスピードで編む作業は呼吸も一定になるので、ストレスや不安を軽減させて心を整えてくれる瞑想と同じような効果もあると思っていて・・・」と京子さん。
毎日忙しくストレスを抱えがちな現代人にもう一つおすすめなのが「薬草茶」。体験プログラムにオプションで予約することが可能です。
お茶に使用するのは、庭で自然栽培しているフーチバー(よもぎ)や月桃、バンシルー (グァバ)、レモングラス、島桑、長命草、カラキなどの摘みたての薬草です。
薬草を使ったお茶を味わいながら、瞑想をして心を落ち着かせることもオススメです。瞑想をすることで、鳥や虫の鳴き声、風の音を感じることができ、島の自然を体感できます。
島遊舎かぁらんやーでの体験では、慌ただしい現代社会で忘れがちな自然との調和を全身で感じることができ、心安らぐひと時を過ごすことができます。
時代は刻々と変化してますが、瀬底島では、困っている時はお互いに助け合うという「ちゅいしーじー」精神が今でも息づいています。その原点を忘れることなく「目には見えないけれど大切な島の暮らしの精神を、島遊舎かぁらんやーを通じて継承していきたい」と話す比嘉さんご夫妻と、心の静寂を取り戻す体験をしてみませんか?
島遊舎かぁらんやー
- 住所 /
- 沖縄県国頭郡本部町瀬底283
- TEL /
- 0980-43-0082
- Webサイト /
- https://shimaashibisha.com
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