アートが深めるやんばるの魅力《やんばるアートフェスティバル》
アートが深めるやんばるの魅力《やんばるアートフェスティバル》
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歴史文化
放送日:2024.02.05 ~2024.02.09
初回投稿日:2024.02.27
最終更新日:2024.03.27
最終更新日:2024.03.27
「やんばる」ならではの芸術祭
「やんばるアートフェスティバル」は、沖縄本島北部地域で毎年冬に開かれている地域芸術祭。2017年にスタートし、今年で7回目の開催を迎えました。会場は大宜味村、国頭村を中心に点在する約10ヶ所で、メイン会場は廃校になった大宜味村立旧塩屋小学校。第一線で活躍するアーティストが県内外や海外から集まり、廃校の教室や体育館を舞台にして、やんばるの人々や自然、文化や暮らしとふれあう中で生まれたアートを展示しています。
塩屋湾に浮かぶ方舟のような大宜味村立旧塩屋小学校がメイン会場
窓のすぐ外に青と緑が広がる旧塩屋小学校体育館の魅力的なロケーション
アートに正解はない。感じ方は自由でいい
初回から総合ディレクターを務めている写真家・アーティストの仲程長治さんは、「この会場が素晴らしいのは、ここに通っていた地元のおばあちゃん、おじいちゃんから子どもたちまで、懐かしい母校の教室でアートを楽しめること」だといいます。美術館やギャラリーのような整った展示場所でないことで、誰でも気軽に会場に出向き、気楽にアートを感じることができます。「作品を見てどう感じるかはその人の自由。正解はありません。アーティストの頭の中に入っていくような気持ちで想像を楽しんでほしい」(仲程長治さん)
作品展示やグッズコーナーがある体育館を拠点に、各教室を回って楽しむ
現代アートの分野で活躍する31組のアーティストを招致する「エキシビション部門」でディレクターを務めている金島隆弘さんは、アーティストの作品を〝持ってきて展示するだけ〟の芸術祭ではなく、「本フェスティバルでは、実際にアーティストがやんばるまで足を運んで題材を探し、滞在しながら制作することが大きな特徴」だといいます。開催が回を重ねるごとに地域との関係性が深くなって会場が増え、作品のテーマも重層的になっているそうです。
約3週間の滞在を経て制作された金サジさんの作品『はたむんとからだはいま』は、使われなくなった喜如嘉保育所に展示されています
『phototropin 花たちは僕をどう見てる?』を制作中の仲程長治さん。多くのアーティストがやんばるに滞在して作品を仕上げます
アートにふれると心が動き出す
ひとくくりに「アート」と言っても、その表現方法はさまざまです。たとえば、写真家の浅田政志さんの作品『ティーチ カナサン』では、やんばるの人たちに「究極の1枚」を選んでもらい、それを撮影した浅田さんの写真と共に、1枚にまつわるエピソードが工夫を凝らした方法で展示されています。
また、映像監督の林響太郎さんと音楽家のRyuさんによる作品『カタチをあたえる。』では、やんばるの風の心地よさを音楽と映像で表現。美術家のやんツーさんの作品『TEFCO vol.3 ~海水揚水発電所再開発に向けて~』は、かつてやんばるにあった日本初の海水発電所がテーマで、小学校の理科室に作られた簡易発電装置で実際に発電を行うなど、「これもアートなの?」という新鮮な驚きや発見心が動かされます。
机の引き出しの中に写真のエピソードボードが隠れている『ティーチ カナサン』
簡易発電でスマホ充電もできる『TEFCOvol.3~海水揚水発電所再開発に向けて~』
風による水のゆらぎで映像と音を表現した『カタチをあたえる。』
やんばるの祭祀に着想を得たという華道家・片桐功敦さんの『Tale of unborn』
アートが呼び覚ます地域の記憶
「やんばるアートフェスティバル」では、アート作品の展示だけでなく、アートを通じた地域との交流にも力を入れています。塩屋集落内にはアーティストのUymamProjectが昨年手がけた『歩いて巡る屋外写真展 塩屋湾・ウンガミ』が展示されており、今年は、塩屋集落の区長さんやアーティストと共に集落を巡るフィールドプログラムが開催されました。
普段は見過ごしてしまうような地域の歴史や記憶、人々の暮らしや祭祀のお話を聞きながら歩いた後は、公民館でのユンタク会も開かれて、対話を通じて地域に息づく文化を再発見する機会となりました。
塩屋湾の伝統行事「ウンガミ(海神祭)」の写真(平良孝七さん撮影)を壁に施した作品
エピソードを聞きながら巡ることで新しい発見があります
区長と一緒に、塩屋の風景を歌ったという「えんどうの花」を合唱
五感で楽しむアートフェスティバル
「やんばるアートフェスティバル」の楽しみ方は人それぞれ。現代アートの作品だけでなく、沖縄県内の工芸作家の作品が並ぶ「YAFクラフトマーケット」でお気に入りの一品を探したり、作家と一緒に制作体験できるワークショップに参加したり。また、週末ごとに出店される、やんばるの食材を使った美味しいフードを目的に訪れる人も。塩屋湾を見渡せる体育館の窓際の席に座って、のんびりコーヒーを飲むのが楽しみという人もいるそうです。
約20組の工芸作家が参加するクラフトマーケットでは、作品を購入することができます
クラフト部門、クラフトマーケットのキュレーターを務める麦島美樹さんは、本フェスティバルの魅力を「五感で楽しめること」だといいます。「初めて会場に来る方には、まず体育館の素晴らしい風景を見ていただいて、アートをゆっくり楽しんだら、美味しいフードも食べていただいて。五感をたくさん使ったやんばるの思い出として、良い香りや心地よい手ざわりのクラフトをお持ち帰りいただけたらうれしいです」(麦島美樹さん)
京都から参加している画家の丹羽優太さんは、「普段は制作活動で日々忙しくしていますが、このフェスティバルの期間中はやんばるに長く滞在して、あたたかな人と気候に癒されています。不思議なパワーのある土地ですね」と、やんばるの魅力を語ってくれました。
世界中から集まるアーティストを癒し、創造力をかき立てるやんばるの力。この地で生まれたアートが、地域の魅力をさらに深めてくれます。
アートのような風景が楽しめるこの席に座ってコーヒーを飲むのもおすすめです
やんばるアートフェスティバル2023-2024 嘉例ヌ源(カリーヌムトゥ)
- 住所 /
- 〒905-1311 沖縄県国頭郡大宜味村塩屋538
- ホームページ /
- https://yambaru-artfes.jp/
- 備考 /
- *2024年度の開催期間は、2024年1月20日(土)〜2月25日(日)
休館日、開館時間、イベント日程についてはホームページでご確認ください
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放送日:2024.02.05 ~ 2024.02.09
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